三桝 裕也, 森 治, 吉川 真, 川口 淳一郎, 山口 智宏, 池田 人, 中宮 賢樹, 竹内 央, 佐伯 孝尚, 津田 雄一, 谷口 正, 船瀬 龍
日本航空宇宙学会誌 61(7) 247-252 2013年7月5日 査読有り
本稿は,世界初のソーラー電力セイル実証機IKAROSが打ち上げられてからおよそ2年間という期間に実証された,ソーラーセイルの誘導・航法に関する成果をまとめたものである.世界初となるソーラーセイルの軌道上での実際の航法・誘導において,光圧加速度・光圧トルクのその類稀なる大きさから,一般的な手法だけでは評価しきれない点が少なからず存在し,そのため,IKAROSの誘導・航法技術に関しては,いくつかの工夫がなされた.ここでは,航法技術に関して,セイルによって発生する光圧加速度を精密に計測するための推定法,及び評価結果を,また,誘導技術に関しては,光圧トルクによって発生する姿勢のドリフト運動を考慮した誘導法,及びその評価結果について紹介する.また,航法技術に関連して,IKAROSに搭載されたDDOR用のトーン生成器によって得られたデータの評価結果についても紹介する.