楠 聖伸, 保井 俊之, 前野 隆司
日本創造学会論文誌 25 93-108 2022年
本研究は、Seligman、Boniwell並びに前野らの主観的幸福度に関する先行研究をもとに主観的幸福度を高める要因に着目し、児童養護施設入所児童(注1)の主観的幸福度の向上を目的としたグループ学習型ワークショップを提案し、その有効性を定量的かつ定性的に検証するものである。グループ学習型ワークショップは、自己受容並びに他者とのつながり及び感謝がテーマの二つのワークから構成する。筆者らは、児童養護施設入所児童のグループを対象に当ワークショップを実施し、人生満足尺度を用いた定量的検証並びに半構造化インタビューによる定性的検証により、提案するグループ学習型ワークショップが主観的幸福度の向上に有効であることを検証する。これにより、児童養護施設入所児童の退所後の自立支援の方法の一つとして、入所児童の主観的幸福度の向上を目的としたグループ学習型ワークショップが展開できることを示す。