研究者業績

青木 恭子

アオキ キョウコ  (Kyoko Aoki)

基本情報

所属
武蔵野大学 看護学部 講師

J-GLOBAL ID
201801013838369750
researchmap会員ID
B000322459

論文

 24
  • 青木 恭子, 森 恵美, 坂上 明子, 前原 邦江, 岩田 裕子
    日本母性看護学会誌 19(1) 47-55 2019年3月  
    本研究目的は、「高年初産婦に特化した産後1ヵ月までの子育て支援ガイドライン」に則った看護を実践した看護職者が、本ガイドラインを現場適用する上で感じた困難と対処を明らかにし、本ガイドラインをより円滑に現場適用するための看護研修会の改善の方策を検討することである。本ガイドラインの効果検証研究で看護介入を行った看護者6名を対象にフォーカスグループインタビューを行い、得られたデータを質的・帰納的に分析した。その結果、困難は【褥婦のニーズと看護者が提供したいケアとのすれ違い】、【看護介入ガイドラインに則ったケアそのものの難しさ】等の5のカテゴリーに集約された。対処は《この高年初産婦らしさを尊重したケア実践》、《施設の看護基準の改善と看護者間のコミュニケーションの活発化》等の4のカテゴリーに集約された。以上の結果から、本ガイドラインの円滑な現場適用に向けた看護研修会の改善策が示唆された。(著者抄録)
  • 前原 邦江, 坂上 明子, 岩田 裕子, 三國 和美, 青木 恭子, 森 恵美
    日本生殖看護学会誌 15(1) 5-14 2018年6月  
    生殖補助医療(ART)によって妊娠した女性の妊娠の受けとめを明らかにすることを目的に、妊娠初期(n=41)と妊娠後期(n=41)に縦断的質問紙調査を行い、文章完成法テストの質的内容分析を行った。ART後の妊婦の妊娠の受けとめは多様であり、肯定的受けとめ5カテゴリー、両価的受けとめ2カテゴリー、懐疑的受けとめ1カテゴリー、中性的受けとめ4カテゴリーが認められた。妊娠初期にはART後の妊婦に特徴的な懐疑的受けとめや両価的受けとめが約20%を占めていた。妊娠初期から後期を通して良好な受けとめであったケースは約57%、妊娠後期に受けとめが好転したケースが約19%、妊娠後期になってARTによる妊娠に関連付けた不安が出現したケースが約8%であった。妊娠初期には約12%が無回答だった。妊娠初期だけではなく後期にも妊娠の受けとめを確認する意義があり、不妊治療経験の意味づけや妊娠の受容を考慮した看護が必要であろう。(著者抄録)
  • Hiroko Iwata, Emi Mori, Akiko Sakajo, Kyoko Aoki, Kunie Maehara, Koji Tamakoshi
    Nursing open 5(2) 186-196 2018年4月  
    Aims: To identify the course of maternal fatigue during the first 6 months postpartum and to determine factors associated with it. Design: A prospective cohort study. Methods: Women (N = 2,697) in 13 Japanese hospitals provided longitudinal data using self-report questionnaires at five time points. Maternal fatigue was assessed using the Postnatal Accumulated Fatigue Scale. We focused on the effect of maternal age and parity on the course of maternal fatigue and used a mixed between/within-subjects analysis of variance. Factors associated with maternal fatigue were analysed using stepwise multiple regression. Results: In the 6-month postpartum period, the level of fatigue was highest at 1 month and significantly decreased from 1-4 months postpartum. Primiparas showed a significantly higher level of fatigue than multiparas during hospital stay and their levels of fatigue more closely approximated the 1-month peak. Multiparas showed significantly higher levels of fatigue than younger primiparas at 6-month postpartum. Factors associated with maternal fatigue included satisfaction with sleep, concerns about child-rearing, satisfaction with social support, financial burden and meal times per day.
  • 岩田 裕子, 森 恵美, 坂上 明子, 前原 邦江, 森田 亜希子, 青木 恭子, 玉腰 浩司
    母性衛生 58(4) 567-574 2018年1月  
    本研究は、褥婦が有する身体症状の産後6ヵ月間の推移を明らかにすることを目的とした。母子共に重篤な異常がない褥婦を対象に13施設で実施したコホート調査の一部である。産後入院中、1、2、4、6ヵ月時の5時点において、自由意志による質問紙調査に有効回答が得られた2,709名を分析対象とした。37種類の身体症状の有無を調べ、時間の推移による割合の変化の統計学的検定には、コクランのQ検定を用いた。対象者の年齢は平均33.0歳、初産婦1,464名(54.0%)、経産婦1,245名(46.0%)であった。産後6ヵ月間の身体症状の出現パターンは、以下の5通りであった。1)出産直後の有症率が最も高く、その後産後6ヵ月まで低下、2)出産後1ヵ月間の有症率が最も高いがその値は低く、産後6ヵ月まで緩やかに低下、3)出産直後から産後1ヵ月にかけて有症率が上昇し、その後徐々に低下するか変化なし、4)出産直後の有症率は低いが、産後4ヵ月までに急激に上昇、5)出産後6ヵ月間殆ど有症率の変化なし。産後6ヵ月間に褥婦が経験する身体症状は様々であり、身体症状の出現パターンを考慮したケアが必要になると考えられる。(著者抄録)
  • 前原 邦江, 森 恵美, 岩田 裕子, 坂上 明子, 小澤 治美, 青木 恭子
    日本生殖看護学会誌 14(1) 5-12 2017年6月  
    初産婦の産後6ヵ月間における子どもの特徴に関するストレスの関連要因を明らかにし、不妊治療の影響を検討することを目的とした。本研究は、母子共に重篤な異常がない褥婦を対象としたコホート調査の一部である。産後2、4、6ヵ月時に質問紙に有効回答が得られた初産婦1,115名を分析対象とし、育児ストレスショートフォーム(PSI-SF)子どもの側面得点を従属変数とした重回帰分析を行った。産後2、4、6ヵ月時の全時点で、不妊治療と子どもの特徴に関するストレスとの間に有意な関連は認められなかった。年齢が高い、抑うつ傾向が有る、母親の夜間睡眠時間が短いこと、産後2ヵ月時には混合栄養であること、産後6ヵ月時には1日あたりの授乳回数が多い、授乳から寝かしつけまでに時間がかかることが、子どもの特徴に関するストレスに関連していた。情報的および評価的サポート、乳児の世話経験は、子どもの特徴に関するストレスが低いことに関連していた。(著者抄録)
  • 前原 邦江, 坂上 明子, 岩田 裕子, 三國 和美, 青木 恭子, 森 恵美
    日本生殖看護学会誌 14(1) 41-49 2017年6月  
    本研究は、生殖補助医療を受けた妊婦の母親役割獲得過程を促す看護介入プログラムを実践した看護職者が経験した看護実践上の困難と工夫を明らかにすることを目的とした。スペシャリストである看護実践者3名を参加者としてフォーカスグループインタビューを行い、質的内容分析を行った。看護実践上の困難のテーマは、【対象者に語ってもらうまでの関係性を作ること】【不妊・治療経験を聴き、想起・統合を促すこと】【流産・死産の不安が強く、妊娠を喜んで受け入れられない場合や育児準備が進まない場合のかかわり方】【自分らしい母親像の形成や育児のイメージの具体化を促すこと】【分娩・育児にこだわりがある人や極端な認知・行動をする人への情報提供や保健指導】【夫や家族との関係性に働きかけること】の6つが抽出され、実践上の工夫が明らかになった。スペシャリストは、生殖補助医療を受けた妊婦の特徴をふまえた個別性の高いケアを行っていた。(著者抄録)
  • 青木 恭子, 森 恵美, 坂上 明子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (39) 35-42 2017年3月  
    【目的】看護職者が性感染症女性患者に対して看護を提供するために、患者-看護師関係をどのように構築しているかを明らかにする。【方法】産婦人科の外来・病棟で3年以上勤務経験がある看護職者6名を対象に半構成的面接を実施し、得られたデータを質的・帰納的に分析した。【結果】性感染症女性患者の看護において、看護師は、【出会いから場面を重ねて患者像を探っていく】、【患者像を明確化し、看護の方向性を見極めようとする】、【患者の受診行動を受け止め寄り添い振り返る】、【患者像と照らし合わせて患者の反応をみながら性感染症の説明を行う】、【看護に向けてこの患者の環境調整や準備をする】、【患者との関係を築きかかわりを持てない障壁や困惑を感じる】の6カテゴリーから、患者-看護師関係を構築していた。【考察】性感染症女性患者-看護師関係の構築における以下の4つの特徴が明らかになった。(1)患者からの強い訴えに応じて患者-看護師関係が受動的に始まる。(2)看護師は患者像を明確化し、看護の方向性を見極めるが、患者のセクシュアリティに対する躊躇によって、患者と看護ニーズを共有し、共に問題解決に向かうような患者-看護師関係が構築されないことがある。(3)患者と看護目標を共有できるような患者-看護師関係でないため、看護評価が曖昧になり、次回の看護につながらない。(4)プライバシーを保護してセクシュアリティに配慮することで、患者-看護師関係が構築され、患者の行動を方向付けることができる。(著者抄録)
  • Hiroko Iwata, Emi Mori, Akiko Sakajo, Kyoko Aoki, Kunie Maehara, Koji Tamakoshi
    Journal of affective disorders 203 227-232 2016年10月  
    BACKGROUND: Depressive symptoms are common in postpartum women. The present study aimed to describe changes in the prevalence of depressive symptoms during the first 6 months postpartum, and their association with maternal age and parity. METHODS: A prospective cohort study was conducted with 3769 women at 13 hospitals in Japan. Depressive symptoms were measured during hospital stay and at 1, 2, 4, and 6 months postpartum, using the Japanese version of the Edinburgh Postnatal Depression Scale (EPDS). The effects of maternal age and parity were assessed by comparing four groups: younger primiparas (aged <35 years); older primiparas (≥35 years); younger multiparas (<35 years); and older multiparas (≥35 years). Data were analyzed using a mixed between/within-subjects analysis of variance, Cochran's Q tests, and chi-square tests. RESULTS: Mean EPDS scores significantly decreased from 1 to 2 months postpartum in all groups. The proportion of women with EPDS scores ≥9 significantly decreased during the same period for primiparas but not for multiparas. Primiparas also had significantly higher EPDS scores than multiparas during hospital stay and at 1 month postpartum. LIMITATIONS: As we used convenience sampling, our study sample was not fully representative of Japanese mothers. This study was also limited by our focus on the postpartum period. CONCLUSIONS: The first month postpartum represented peak prevalence for depressive symptoms. Primiparity was a risk factor for depressive symptoms only during the first month postpartum. Healthcare professionals should be sensitive to postpartum duration and parity when monitoring depressive symptoms.
  • 土屋 雅子, 森 恵美, 岩田 裕子, 青木 恭子, 前原 邦江, 坂上 明子, 小澤 治美, 玉腰 浩司
    母性衛生 57(1) 90-97 2016年4月  
    本研究の目的は、産後1ヵ月間の(1)精神疾患の既往と抑うつ傾向の関連性、(2)精神疾患を有する母親の抑うつ傾向の関連要因を明らかにすることである。母子ともに重篤な健康問題のない単胎児を出産した褥婦で参加同意を得た者を対象に、多施設前向きコホート研究を実施した。コホートの中から精神疾患(妊娠中を含む)を有する母親32名と、精神疾患を有さない母親2,024名を解析対象とした。抑うつ傾向は、日本語版エジンバラ産後うつ病自己評価票を用いて評価した。精神疾患を有する母親における、産後入院中、産後1か時の抑うつ傾向の割合は31.2%、25.0%であり、精神疾患を有さない母親と比べて高かった。精神疾患を有する母親の抑うつ傾向は、産後入院中では妊娠中の喫煙、妊娠高血圧症候群、今回の妊娠を望んだ者、昼寝の未取得に関連し、産後1ヵ月時では、妊娠中の喫煙、分娩様式、手段的サポートの準備状況、夫との話し合い、サポートを獲得する母親の力に関連していた。以上より、精神疾患を有する母親には、妊娠期及び産褥早期の生活管理、産後の手段的サポートの確保、継続的な心理的支援の必要性が示唆された。(著者抄録)
  • 岩田 裕子, 森 恵美, 坂上 明子, 前原 邦江, 小澤 治美, 青木 恭子, 土屋 雅子
    母性衛生 57(1) 138-146 2016年4月  
    本研究は、産後1ヵ月時の褥婦が認識するソーシャルサポート源・量とその満足度の2側面から記述し、ソーシャルサポートとうつ症状との関連を明らかにすることを目的とした。関東および関西の13分娩施設で出産した褥婦に対して、ソーシャルサポート、産後うつ症状、基礎的情報について、自記式質問紙法により調査した。その結果、産後1ヵ月時の褥婦2,854名(回収率86.2%)にとって、実父母は手段的サポートと情報的サポートの主なサポート源となっていた。一方、夫・パートナーは手段的サポート、評価的サポート、情緒的サポートの主なサポート源となっていた。ソーシャルサポートに対する満足度に関しては、8〜9割以上の褥婦が「満足」していたが、評価的サポートに対する満足度は最も低く、「満足」していたのは81.8%の褥婦であった。ソーシャルサポートへの満足度は産後うつの有意な予測因子であり、不満足群は満足群と比較して、産後うつのリスクが2.7〜3.5倍であった。褥婦のソーシャルサポートに対する満足度をアセスメントし、個別の状況に応じてサポートを提供することが重要であろう。(著者抄録)
  • 青木 恭子, 森 恵美, 坂上 明子, 岩田 裕子, 前原 邦江, 土屋 雅子, 岡村 実佳
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (38) 57-61 2016年3月  
    本実践報告は、森らが開発した「高年初産婦に特化した産後1ヵ月までの子育て支援ガイドライン」(全270頁)の効果検証研究を行うにあたり実施した看護研修会の報告である。効果検証を行うためには、(1)本ガイドラインに則った看護を提供できる看護職者の養成と(2)現場適用の調整が必要不可欠であると考え研修会を企画した。そこで、本研修会では、本ガイドラインに対応した看護介入プログラムの実施のための知識・技術の提供と演習によって、現場適用できる能力を養うことを目的とした。本研修会に先立ち、筆者らは看護介入の媒体である、健やかで楽しい子育て生活へのガイドブックと、看護職者向けの研修教材である、看護介入プログラム実践ガイド、看護介入パスとチェックリストを独自に作成し、研修会プログラムを策定する等準備を行った。本研修会はエビデンスに基づく看護ガイドラインの現場適用に必要となる教育であるため、看護職者向けの先駆的研修であると考える。そこで本稿では、本ガイドラインの概要を説明した上で、本研修会の実施内容と実施展開の工夫、研修会の課題などを報告する。本研修会は参加者が病棟に戻って伝達講習できることを期待して企画し、研究協力施設より臨床経験10年以上の看護職者が参加した。実施した結果、参加した看護職者自身は知識・技術の習得ができたが、病棟で伝達講習するのは困難であることが課題であるとわかった。よって現場に出向くアウトリーチ研修を行う方針とし、実際に行った。(著者抄録)
  • Miyako Tsuchiya, Emi Mori, Akiko Sakajo, Tomoko Maekawa, Hiroko Iwata, Kunie Maehara, Akiko Morita, Harumi Ozawa, Yoshimi Mochizuki, Kyoko Aoki, Miyuki Makaya, Koji Tamakoshi
    Japan journal of nursing science : JJNS 13(1) 83-94 2016年1月  
    AIM: Post-partum fatigue is a serious concern for mothers worldwide. The aim of this study was to identify age-specific determinants of self-perceived fatigue after childbirth among Japanese primiparous women. METHODS: A multicenter prospective cohort study was conducted in Japan. The degree of fatigue was assessed using the Postnatal Accumulated Fatigue Scale during the hospital stay after childbirth. Associated factors were stratified into two age groups (<35 or ≥35 years old); data were analyzed using stepwise multiple regression. RESULTS: In the younger group, significant determinants of post-partum fatigue included: anticipated difficulties in child-rearing after discharge; perception of inadequate sleep conditions; dissatisfaction with childbirth; shorter sleep and meal times; longer duration between feeding and infant bedtime; unemployment; and having hyperemesis gravidarum. In the older group, significant determinants of post-partum fatigue included: anticipated difficulties in child-rearing after discharge; perception of inadequate sleep conditions; shorter meal times; formula feeding; and dissatisfaction with childbirth. CONCLUSION: Primiparous mothers who anticipated new life with their infants to be difficult and who had an irregular lifestyle tended to report higher levels of fatigue during the post-partum hospital stay. Nurses and midwives should assess maternal sleep and eating conditions, providing support to ensure adequate maternal rest. Special efforts should be made to reduce anxiety about new life with infants among younger primiparous women who had experienced hyperemesis gravidarum.
  • Hiroko Iwata, Emi Mori, Miyako Tsuchiya, Akiko Sakajo, Kunie Maehara, Harumi Ozawa, Akiko Morita, Tomoko Maekawa, Kyoko Aoki, Koji Tamakoshi
    Japan journal of nursing science : JJNS 13(1) 147-55 2016年1月  
    AIM: Older maternal age has become more common in Japan. Studies suggest that older maternal age and primiparity are associated with post-partum depression. The present study aimed to identify predictors of post-partum depression in older Japanese primiparas at 1 month post-partum. METHODS: Participants were 479 primiparas aged 35 years and over, drawn from a prospective cohort study. Data were collected using self-report questionnaires. Depression was measured with the Japanese version of the Edinburgh Postnatal Depression Scale. Stepwise logistic regression analysis was conducted on binary outcome variables of depression at 1 month post-partum, along with a stratified analysis based on the risk status of depression. RESULTS: Five predictors were identified: (i) the depression score during hospital stay; (ii) financial burden; (iii) dissatisfaction with appraisal support; (iv) physical burden in daily life; and (v) concerns about infant caretaking. Stratified analysis identified dissatisfaction with instrumental support in the low-risk group, and the Child-care Value Scale score as unique predictors in the high-risk group. CONCLUSION: These results highlight the importance of early assessment of depressive symptoms and the provision of continuous care.
  • 森 恵美, 前原 邦江, 岩田 裕子, 土屋 雅子, 坂上 明子, 小澤 治美, 青木 恭子, 森田 亜希子, 望月 良美, 前川 智子
    母性衛生 56(4) 558-566 2016年1月  
    【目的】分娩施設退院前の高年初産婦(35歳以上)の蓄積疲労、産後うつ症状、母親役割の自信と母親であることの満足感を、34歳以下の初産婦や経産婦のそれとの比較によって明らかにする。【方法】関東・関西の13施設において分娩施設退院前の褥婦3411名の身体的心理社会的健康状態を質問紙により調査し、年齢・初経産別の4群で検討した。【結果】1)高年初産婦は経産婦に比べて自覚疲労が高く、産後うつ病のリスクが有意に高かった。2)高年初産婦の退院前の母親役割の自信尺度得点と母親であることの満足感尺度得点は、経産婦より有意に低かったが、34歳以下の初産婦とは有意差はなかった。【考察】高年初産婦は、産後退院前には34歳以下の初産婦とは身体的心理社会的健康状態に有意差はなかったが、経産婦と比べると疲労が強く、産後うつ症状のリスクは高く、母親役割獲得過程も進んでいなかった。初産婦に対しては年齢にかかわらず、産後入院中に睡眠・休息への支援、精神的看護、母親役割獲得過程への看護が重要であることが示唆された。今後は、退院前後の生活環境等への適応による健康状態を縦断的に分析して、入院中の看護を考える必要があろう。(著者抄録)
  • Hiroko Iwata, Emi Mori, Miyako Tsuchiya, Akiko Sakajo, Kunie Maehara, Harumi Ozawa, Akiko Morita, Tomoko Maekawa, Kyoko Aoki, Miyuki Makaya, Koji Tamakoshi
    Japan journal of nursing science : JJNS 12(4) 297-308 2015年10月  
    AIM: The number of older primiparas is increasing in Japan. These women have been shown to be more vulnerable to post-partum depression. This study aimed to identify factors for predicting post-partum depressive symptoms during hospitalization after childbirth in Japanese primiparas aged 35 years and over. METHODS: The present authors used the data of 479 primiparas aged 35 years and over from a prospective cohort study. Data were collected using self-report questionnaires on the day before hospital discharge. The questionnaire consisted of: demographics and background information; depressive symptoms; fatigue; maternal confidence and maternal satisfaction; child-care values; physical symptoms; perceptions of daily life during hospitalization; concerns about child care and daily life; and infant feeding. Additionally, vital records data were obtained from the hospitals. A stepwise logistic regression analysis was performed on the binary outcome variable of depressive symptoms, measured by the Japanese version of the Edinburgh Postnatal Depression Scale. Women who scored 9 or more were considered to be at high risk for post-partum depression. The authors obtained informed consent from all participants and institutional ethics approvals before initiating the study. RESULTS: The following six variables reliably predicted the risk of post-partum depression: emergency cesarean section, lower satisfaction with birth experience, higher physical burden in daily life, long-term complications with the newborn, more concerns about newborn caretaking after discharge, and more concerns about one's own life after discharge. CONCLUSION: Recognition of women with these factors will help nurses to identify those at risk for developing post-partum depression and to provide appropriate care during hospitalization after childbirth.
  • 前原 邦江, 森 恵美, 土屋 雅子, 坂上 明子, 岩田 裕子, 小澤 治美, 青木 恭子, 森田 亜希子, 前川 智子, 望月 良美
    母性衛生 56(2) 264-272 2015年7月  
    産後入院中に母親役割の自信が低かった褥婦を分析対象として、退院後から産後1ヵ月までに母親役割の自信が高まった要因を、高年初産婦と34歳以下の初産婦それぞれ明らかにし比較することを目的とした。本研究は、母児共に重篤な異常がなく研究参加に同意が得られた褥婦を対象に13施設で実施した前向きコホート調査の一部である。産後入院中と産後1ヵ月時の計2回、自由意志による質問紙調査に有効回答が得られた者のうち、産後入院中の母親役割の自信得点が低得点であった高年初産婦245名及び34歳以下初産婦500名を分析対象とした。産後1ヵ月時の母親役割の自信得点の高低を従属変数、分娩様式を制御変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。研究者らの所属大学の倫理審査委員会の承認を得た。退院後から産後1ヵ月までに母親役割の自信が高まった要因は、高年初産婦では家事・育児の手段的サポートに満足していること、34歳以下初産婦では評価的サポートに満足していることと母乳栄養が確立していることであった。両群共に日常生活で無理をしていること、高年群では既往歴が有ることは、母親役割の自信と負の関連を示した。(著者抄録)
  • 前原 邦江, 森 恵美, 岩田 裕子, 坂上 明子, 小澤 治美, 青木 恭子, 森田 亜希子, 前川 智子
    日本生殖看護学会誌 12(1) 5-14 2015年6月  
    本研究は、初産婦の産出後の母親としての自己肯定感に関連する要因を明らかにし、不妊治療の影響を検討することを目的とした。倫理審査委員会の承認を得て、13施設で単胎児を出産し母子に重篤な異常がない褥婦を対象に研究参加募集を行った。産後入院中の質問紙調査に有効回答が得られた初産婦1517名(高年群479名、34歳以下群1038名)を分析対象として、母としての自己肯定感得点の高低を従属変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った。34歳以下群では一般不妊治療及びARTによる妊娠は、自然妊娠と比べて母親としての自己肯定感が高いことが示されたが、高年群では不妊治療の影響は認められなかった。両群ともに、出産体験に満足していること、夫婦共に挙児を希望してたことが、母親としての自己肯定感が高い要因であった。34歳以下群は自然流産・死産歴が有ること、高年群では切迫早産、DM合併妊娠又はGDMが、母親としての自己肯定感と負の関連を示した。不妊治療による妊娠か否かとともに、妊娠・出産体験の受けとめの影響を考慮することが重要であろう。(著者抄録)
  • 岩田 裕子, 森 恵美, 土屋 雅子, 青木 恭子, 坂上 明子, 佐伯 章子, 望月 良美, 前原 邦江, 小澤 治美, 森田 亜希子, 前川 智子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (37) 1-10 2015年3月  
    症例は35歳以上の日本人初産婦で、産後一ヵ月に陥る産後鬱病(PPD)を予防するための、看護介入の実施可能性について検討した。MEDLINE、PubMed、CINAHL、Cochrane、Database of Systematic Reviews、Cochrane central Register of Controlled Trials、PsychInfo、医中誌Webから、「ランダム化比較試験」、「準ランダム化比較試験」、「メタアナリシス」、「比較研究」、「診療ガイドライン」、「産後」、「産褥」、「看護」、「援助」、「支援」、「ケア」、「鬱」、「鬱病」および、その英語対応語を検索語として邦文および英語文献を検索した。その結果、1998〜2009年に発表された8文献がヒットした(n=4946)。8文献ともランダム化比較試験に関する英語文献で、4試験がオーストラリア、3試験が英国、1試験がカナダで実施されていた。八つの研究内容は、体験報告会(3文献、2776名)、カウンセリング(1文献、103名)、専門家または非専門家による家庭訪問(2文献、723名)、ピアサポーターによる電話訪問(1文献、612名)、グループや小冊子によるサポート(1文献、732名)の5カテゴリーに分類された。以上の分析により、PPDの予防のためには、出産体験の振り返りを含むカウンセリングと家庭訪問や電話を介した社会的サポートの2タイプの看護介入が実践的かつ有益であると考えられた。但し、全てが海外の試験例であるため、国内の実情に合わせた対応が必要である。
  • 小澤 治美, 坂上 明子, 森 恵美, 前原 邦江, 前川 智子, 森田 亜希子, 土屋 雅子, 岩田 裕子, 青木 恭子, 望月 良美, 佐伯 章子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (37) 17-26 2015年3月  
    システマティックレビュー(SR)によって、産後1ヵ月間の高年初産婦における母乳育児推進及び母親役割の自信を高めるための看護介入のエビデンスを得ようとした。CCRCT,CDSR,MEDLINE,CINAHL,PsycINFO,PubMed,医学中央雑誌Webの七つのデータベースを用いて文献を検索した。設定した2種のキーワードのもとに検索した結果、母乳育児推進のための介入で、洋文献3、和文献0が評価対象となった。母親役割の自信を高めるための介入で洋文献2、和文献1が評価対象となった。各介入はそれぞれ一つの論文から示されたもので、エビデンスの強い介入は抽出されず、効果が認められた介入については日本の高年初産婦は含まれていなかった。産後1ヵ月迄の母乳育児推進のための介入は入院中に母子同室と頻回授乳への支援を行い、退院後は電話相談によって継続的に支援することが示された。母親役割の自信を高めるための介入は、母親がアクセスしやすい方法で情報提供を行うことなどが示された。
  • 前原 邦江, 森 恵美, 土屋 雅子, 坂上 明子, 岩田 裕子, 小澤 治美, 前川 智子, 森田 亜希子, 望月 良美, 佐伯 章子, 青木 恭子, 玉腰 浩司
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (37) 27-35 2015年3月  
    産後2ヵ月時の育児ストレスについて、高年初産婦と34歳以下の初産婦に違いがあるか、高年初産婦の産後2ヵ月時の育児ストレスを予測する要因を明らかにする分析を行った。産婦の背景および妊娠分娩の状況を診療録より収集した。また、産後2ヵ月時に育児ストレスショートフォーム(PSI-SF)を用いて、産後2ヵ月時の育児ストレスを測定した。産後1ヵ月時に母親役割の自信尺度と母親であることの満足感尺度を用いて母親役割の自信と満足感を測定した。また、産後1ヵ月時に疲労蓄積事故診断チェックリストを参考にして作成した尺度を用いて疲労度を測定した。高年初産婦448名、34歳以下の初産婦964名から回答を得た。分析の結果、高年初産婦は34歳以下の初産婦よりも、産後2ヵ月時において子どもの特徴に関するストレス、親自身のストレスが高かった。また、高年初産婦のストレスに関する要因は、産後1ヵ月時の疲労、手のかかる子どもと認識していることなどがあった。児の合図のよみとりと要求への応答への自信、母としての自己肯定感が高いほど産後2ヵ月時の親のストレスが低かった。
  • 森 恵美, 土屋 雅子, 岩田 裕子, 坂上 明子, 前原 邦江, 青木 恭子, 小澤 治美, 森田 亜希子, 前川 智子, 望月 良美, 佐伯 章子
    千葉大学大学院看護学研究科紀要 (37) 37-45 2015年3月  
    産後入院中から1ヵ月間における介護介入によって、褥婦の疲労の蓄積を予防できると仮定し、既存の研究についてシステマティックレビュー(SR)をすることで、高年初産婦における産後の蓄積疲労予防のための産後1ヵ月間の看護介入に対するエビデンスを明らかにした。既存のガイドラインとSRの検索を実施した後、CCRCT,CDSR,MEDLINE,医学中央雑誌Web版など七つを用いて検索を行った。検索の結果4件の洋文献、0件の和文献が抽出され、分析の対象となった。分析の結果、褥婦の疲労の蓄積を予防できる看護介入として、授乳時の姿勢、産後疲労要因と対処法を記したブックレットによる介入、軽度の産後運動プログラム、行動教育的睡眠介入プログラムがあることが分かった。この4種類の看護介入のエビデンス評価を行ったところ、ブックレットと行動教育的睡眠介入プログラムがエビデンスの強さはBと評価された。軽度の産後運動プログラムはC、授乳時の姿勢はDとの評価であった。
  • 前原 邦江, 森 恵美, 坂上 明子, 岩田 裕子, 前川 智子, 小澤 治美, 森田 亜希子, 青木 恭子
    母性衛生 55(2) 369-377 2014年7月  
    本研究は、高年初産の母親の産後1ヵ月間におけるソーシャルサポートの体験を記述することを目的とした。研究協力の得られた高年初産の母親21名を対象に、産後入院中および産後1ヵ月時に半構成的面接法によりデータ収集を行い、質的・帰納的に分析した。その結果、【自分たちなりの育児生活への移行に向けた不安と準備】、【産後の身体的負荷への助けと不満】、【育児の試行錯誤の中での精神的支えと当惑】、【育児の専門的・情報的支援の探求と納得】、【自分たちなりの育児生活の始動における協働と自負】の5つのテーマが見出された。高年初産の母親の産後のサポートの特徴を理解し、個々の家族への支援や社会資源の活用につなげることが重要であろう。(著者抄録)
  • Akiko Sakajo, Emi Mori, Kunie Maehara, Tomoko Maekawa, Harumi Ozawa, Akiko Morita, Kyoko Aoki, Hiroko Iwata
    International journal of nursing practice 20 Suppl 1 9-19 2014年3月  
    The purpose of this study was to gain a deeper understanding of the postpartum experiences of older primiparas at the time of their postpartum hospital stay. Participants were Japanese primiparas aged 35-44 years who gave birth, without abnormalities for either the mother or child. Data were obtained using a semi-structured interview with 22 participants. Thirteen themes emerged through content analysis. We found that there were distinctive experiences, which included 'the health and growth of the baby: relief and continued anxiety', 'awareness of strengths and of concerns of primiparas', 'meaning of the pregnancy and childbirth experience' and 'developing one's own child-care approach'. Findings suggest that nursing care during the post-delivery hospital stay should use the unique strengths of older primiparas to enable their smooth transition to maternal role attainment.
  • 青木 恭子, 鎌田 艶子, 石井 邦子
    日本母性看護学会誌 8(1) 23-29 2008年3月  
    高校生に対する性感染予防教育や避妊教育の課題や望ましい教育方法を模索することを目的に、高校生の性行動の実態や性行動に関する関心、性に関する講話への反応を調査した。対象は女子高生284名であった。性交経験者は28.5%であり、性行動への関心は性交経験がある者またはセックスパートナーがいる者が有意に高かった。性教育によって獲得した知識は性感染症に関することが多く、有用である知識は妊娠に関することが多かった。性教育によって知識を獲得し予防行動をとるとした者は75.7%であった。性交人数が多い者ほど、避妊・STD予防行動をとっておらず、性行動への関心が薄く、性教育への反応が小さかった。避妊・性感染症予防行動に対する関心が高まるこの時期は性教育を行う好機であり、女子高生が避妊に比べて性感染症予防に対する関心が薄いことを考慮して性教育を行うことが大切である。また、専門家による集団への講義形式が、知識普及の効果はあるものの予防行動の実行では限界があることから、対象に合わせた多様な性教育が必要である。(著者抄録)

MISC

 20

講演・口頭発表等

 17

共同研究・競争的資金等の研究課題

 6