佐々木真由美, 中山千秋, 大岡友子, 山本このみ, 今野理恵子, 淺野敬子, 中島聡美, 小西聖子
武蔵野大学心理臨床センター紀要 (21) 1-10 2021年12月 査読有り
性暴力被害者は、PTSD等の精神疾患の有病率が高いことが報告されているが、被害に遭ったことを知られたくない等の理由から、受診できない事例が多い。本研究は、厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業「犯罪被害等によるストレス性障害に対する対応状況及び多職種・地域連携に関する実態調査」(武蔵野大学、2020)のうち、29の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」(以下:センター)を対象に、被害者の精神科医療機関等への紹介を中心に連携の実態と、連携促進に資する取り組みについて、χ2検定を用いて分析した。紹介件数が多い機関(年間10件以上)では、少ない機関(9件以下)に比べ、スーパーヴァイズの依頼(p=.003)、紹介事例のカンファレンス(p=.002)の取り組みが有意に多かった。精神科医療機関等の利用促進にはセンターと医療機関等が事例を通した協力関係を構築することが重要である。(著者抄録)