福田 友秀, 木下 佳子, 沖野 優子, 久間 朝子, 高橋 紀美子, 田山 聡子, 寺地 沙緒里, 本家 淳子, 丸谷 幸子, 宮崎 聡子
日本クリティカルケア看護学会誌 12(3) 55-63 2016年10月 査読有り筆頭著者
本研究の目的は,看護師がICU退室後の患者の精神的問題についてどのように考え,そして臨床実践を行っているかを明らかにすることである.対象は第10回日本クリティカルケア看護学会交流集会3に参加した看護師36名とし,ICU退室後患者の記憶のゆがみに関する看護師の認識と看護実践についての4グループからなるフォーカスグループインタビューを実施した.得られたデータを質的記述的に分析した結果,【記憶のゆがみの要因】として,不安が強い患者は記憶がゆがみやすいなどの3つのカテゴリー,【記憶のゆがみとICUでの出来事との関連】として,せん妄でも意識清明でも記憶のゆがみが起こっている・ICU患者は記憶が欠落しやすいがそれが防衛機制として働いているかもしれない,などの4つのカテゴリー,【記憶のゆがみへの看護師の対応】として,記憶のゆがみをタイムリーにケアすることに困難を感じるなどの4つのカテゴリーが導き出された.今後は,ケアに関する具体的な方策を検討し,患者に還元していくことが求められる.(著者抄録)