研究者業績

三浦 一朗

ミウラ イチロウ  (MIURA ICHIRO)

基本情報

所属
武蔵野大学 文学部 教授
学位
学士(文学)(東北大学)
修士(文学)(東北大学)
博士(文学)(東北大学)

J-GLOBAL ID
201501013888998985
researchmap会員ID
B000245130

委員歴

 6

論文

 20
  • 三浦一朗
    日本文学 73(10) 78-79 2024年10月  招待有り筆頭著者
  • 三浦 一朗
    怪異を読む・書く 385-401 2018年11月  招待有り筆頭著者
  • 読本研究新集 7 47-63 2015年6月  査読有り筆頭著者
    「死首の咲顔」では微笑む宗の死首を通じて、彼女が本当に欲しかったものと比べればほんのささやかなことに幸せを感じ、そのわずかな幸せに安んじて死んでいく宗のけなげさ、いじらしさが描かれる。そして同時に、そのように五蔵への一途な愛情を貫き、貞操にかへて命を落とした「身さひはひなき」宗が、世間からはそのように理解されず、むしろ命を賭して義と信を貫いた誉れ高い烈女として祭り上げられ、語り継がれていく様が悲劇として描かれていることを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    弘学大語文 40(40) 31-38 2014年3月  筆頭著者
    蘇東坡「西湖」は美人西施の「淡粧濃沫」になぞらえることで、西湖という一つの地の晴雨それぞれに素晴らしい魅力を描き分けた。これに対して『おくのほそ道』は、「松島」「象潟」の二章で蘇東坡詩を踏まえながらも違いを設け、「松しまはわらふがごとく、象潟はうらむがごとし」と、一人の美人の異なる風情、すなわちその晴れやかな笑顔と、美しさの中にも憂いを帯びた面影とになぞらえることによって、二つの著名な歌枕が面影を通わせつつもそれぞれに素晴らしい魅力を持つことを描き分けている。そこにこそ、蘇東坡詩を踏まえた『おくのほそ道』の独創性があることを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    京都語文 19 74-88 2012年11月  招待有り筆頭著者
    本稿では『雨月物語』所収九編が相互にどう関わり合うのかについて論じた。九編は各々が示す関心や問題意識のあり方から概ね三つの作品群に分かれる。(1)「貧福論」や「仏法僧」に見られる現実の不可測性に対する強い関心は、人は望まずとも不可避的に道を踏み外しうるという無気味な現実認識を示す「吉備津の釜」において、為すべき道と人間の「性」との関係を問うことへと発展を見せる。その「吉備津の釜」の作品世界はさらに、(2)よく美徳をなした人間が報いられることの余りに少ない世の不条理を詠歎的に描く「菊花の約」や「浅茅が宿」、また、(3)悪は悪と見定めつつも罪を犯した者たちに対して柔軟な人間観を示す「白峯」「夢応の鯉魚」「蛇性の婬」「青頭巾」へと連続する。その全てに、不条理さを抱えた現実状況に対する複眼的な認識態度が通底し、端々に人間を見る眼差しの優しさ、温かさが滲む。これが本稿の提示する『雨月物語』全体の見取り図である。
  • 鳥獣虫魚の文学史―日本古典の自然観4 魚の巻 279-294 2012年7月  招待有り筆頭著者
    「夢応の鯉魚」に描かれた鯉には、俗塵を離れた別天地へと人の心を誘うイメージが与えられており、特に琵琶湖周遊の場面にそれは色濃い。そして、そのイメージによって鯉は、逆に執着を離れられない興義の姿を浮かび上がらせる。鯉になりきれず、鯉への執着から離れることもできなかった興義はどこまでも人間であることに囚われた存在である。本編に描かれた鯉は、そうした興義が抱える人間の弱さや愚かさを写し出す鏡のような役割を果たしていることを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    弘学大語文 38(38) 15-20 2012年3月  筆頭著者
    「浅茅が宿」には、その一途さや貞節さが少なくとも生前には何ら報いられることなく、孤独と絶望の中で焦がれ死にしていった宮木の「旧しき恨み」とその哀れさ、およびそうした現実の理不尽さが描き出される。秋成は『徒然草』百三十七段の所説に対して、戦乱に巻き込まれた庶民の夫婦のそうした悲劇を置き、こうした悲惨な現実の中により深い悲哀があり、またそこにこそ人の心を動かすものがあるのだと批評的に述べるために、「浅茅が宿」という篇名を選んだことを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    文芸研究 171(171) 13-26 2011年3月  査読有り筆頭著者
    「貧福論」には、不条理さを抱えた複雑な現実状況に対する、複眼的で柔軟な認識と思考態度がある。内実や基準は変わっても、どの時代、どの社会にも践み行うべき道として倫理や道徳があり、それに伴う善悪美醜の判断や感受性がある。それを当然の前提としながらも、しかしそれだけで割り切ることはしない。原理主義、教条主義に陥らず、かつ、全てを相対主義の混沌に放り込むのでもない。そのことを明らかにした上で、そうした「貧福論」の複眼的な現実認識のありかたを視座とすることが、『雨月物語』を総体的に把握する鍵となることを論じた。
  • 三浦 一朗
    日本文芸論叢 19(19) 1-12 2010年3月31日  筆頭著者
    「白峯」には、なぜ崇徳院は「罪深きこと」と自覚しながら、道を踏み外して天皇家と天下に祟り鎮魂を拒む御霊と化していったのかという問題意識がうかがえる。常識的な道理や基準はあるべき理として認めながら、一方で、そうした理が通らない、あるいは理によっては割り切れない現実のありようを凝視するという問題意識は、以降の秋成の著述活動にも通じていくものである。「白峯」はそうした現実のありように対する関心が、秋成において歴史の問題と結びついた始発点と位置づけられることを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    文化 73(3・4) 19-37 2010年3月  査読有り筆頭著者
    「菊花の約」の語り手は、典拠「范巨卿雞黍死生交」を踏まえて丈部左門と赤穴宗右衛門の信義の交わりを読者の共感を得られるように描きながら、末尾では典拠から大きく離れ、二人の信義を顕彰する美談としては語らないことをあえて選んでいる。その結果として本編に描き出されたのは、誰よりもよくそれを実践しながらも、報いられることの余りに少なかった二人の信義の悲劇であること、末尾の一節には、そうした現実の理不尽さに対する嘆きと憤りが込められていることを明らかにした。
  • 三浦 一朗
    日本文学 57(12) 62-65 2008年  査読有り筆頭著者
  • 日本文芸論稿 (29) 1-13 2005年3月  筆頭著者
    「女しき」姿と「婬なる」姿との両極に振れる真女子の造形は、執着と一途な愛情という正負両面を分かちがたいものとして一身に併せ持ってしまう人間の不可思議な現実を、一人の女性の姿に具現させた点に高い達成があることを明らかにした。
  • 日本文芸論叢 (17-18合併号) 34-43 2004年3月  筆頭著者
    「仏法僧」には、秀次一行の姿を通じて、大師の霊威に対する賛仰の念は揺らぎないものとして人々のうちにある、しかしその霊威によってさえ根本的には解決しないことがこの世にあることが示される。その認識がもたらす不気味さや不安こそが本編の「怪異」の内実であることを明らかにした。
  • 日本文芸論叢 (16) 27-36 2002年3月  筆頭著者
    「夢応の鯉魚」には、その印象的な奇談としての相貌の内に、放生の功徳により仮の方便として死の恐怖を受けた後もなお執着から離れられない興義の、ひいては人間の愚かさ、業の深さが描かれる。それがあくまで明るい奇談として示されることは、作者が興義の見せたような人間の否定的な一面に対して、自らの身の上にも引き当てながら、全く仕方のないことだと微苦笑の対象として描いていることを意味すると論じた。
  • 日本文芸論稿 (27) 18-29 2002年1月  筆頭著者
    江戸読本として初めて五巻を一つの話柄で統一した「壺菫」は、唐代伝奇「霍小玉伝」の構成を採り入れつつ、信じ続けていた男に裏切られた女の怨みによる怪異を恐ろしくも哀れさを誘うよう描くことに呼応して、『源氏物語』夕顔巻・葵巻の和文も利用して作られていることを明らかにした。その上で、中国短編小説を原拠としつつ長編化を試行錯誤した江戸板の読本における嚆矢として、本編の史的意義を指摘した。
  • 日本文芸論叢 (15) 30-44 2001年3月  筆頭著者
    女が「慳しき性」を募らせて鬼に堕すのは唾棄すべき事態であり、男はそうならないよう「おのれをよく脩めて教へ」ねばならない、それが当時の正論なのは動かない。ただ現実にはたとえそれを重々承知していても、また当人が進んでそうしようとしたのでなくても人は不可避的に道を踏み外すことがある。本編は正太郎と磯良の姿をそうしたものとして描くことを明らかにし、この現実の不可測性への意識は秋成晩年の「命禄」のモチーフへ連続するものであることを指摘した。
  • 文芸研究 (151) 50-59 2001年3月  査読有り筆頭著者
    『奥の細道』旅立の条の「行春や」句は、源氏物語』からの引用と呼応して「行春」の語から想起される惜別の情、および『遊仙窟』末尾の一節を意識させる設定と呼応して「鳥啼魚の目は泪」の表現が示す身を切るような別れのつらさが、惜春の情と相俟って、はじめてこの句は二義性を獲得していることを明らかにした。
  • 日本文芸論稿 (26) 30-44 1999年10月  筆頭著者
    哀傷の念のあまり鬼に堕した院主に、快庵は「至誠」に通じる「直くたくましき性」を見出し、心動かされたからこそ彼の救済を決意した。一方、その後も長い間苦趣を免れずにいた院主の姿は彼の業の深さと共に哀れさを見せる。末尾の院主消失というカタルシスは直前の彼の哀れさをより強く読者に印象づけ、消失後にも哀れさはなお揺曳する。本編が、このようにして禅林説話では詳述されない妖魔の苦趣に注目し、その内面を掘り下げた作品であることを明らかにした。
  • 日本文芸論叢 (12) 25-35 1998年3月  筆頭著者
    本編末尾は宮木を失った勝四郎の哀傷の念を前景化する。その構図において生前の宮木の姿がもう取り戻せないことが強調され、宮木の貞節の美しさを引き立てると同時に、彼女の恨みへと読者の思いを至らせるという機能を勝四郎は果たす。それはまた彼女を失った勝四郎の深い悲しみそれ自体をもう一つの主題として描くことでもある。この理解の妥当性は、本稿で典拠として指摘した丹後国風土記逸文の存在によっても裏づけられる。

MISC

 10

書籍等出版物

 10
  • 兵藤裕己、中野幸一、青木健、伊藤聡、菊池隆雄、工藤玄之、三嶌顕一、三浦一朗、吉井美弥子
    桐原書店 2023年2月 (ISBN: 9784342121050)
  • 兵藤裕己、中野幸一、青木健、伊藤聡、菊池隆雄、工藤玄之、三浦一朗、三嶌顕一、吉井美弥子 (担当:共著)
    桐原書店 2022年2月 (ISBN: 9784342121029)
  • 菊地勇夫, 荒武賢一朗, 籠橋俊光, 兼平賢治, 菊池慶子, 高橋美由紀, 高橋陽一, 三浦一朗, 宮田直樹 (担当:共著, 範囲:第七章第五節「岩沼の文学・文化」(pp.396-417))
    岩沼市 2021年3月
  • 三浦 一朗 (担当:共編者(共編著者), 範囲:第一〇章第二節、第五節、第六節)
    岩沼市 2019年3月
    宮城県岩沼市の歴史をたどる。第6巻は近世の岩沼に関する資料集。三浦は第一〇章第二節「『おくのほそ道』と武隈の松」、同第五節「往来物」(一部)、同第六節「岩沼出身の知識人鈴木雨香の文事」の編集・解題を担当。
  • 『浮世草子大事典』編集委員会編 (担当:分担執筆, 範囲:『敵討浮田物語』(PP.195-196)、『楠軍法鎧桜』(PP.239-240)、『風流酒水石亀』(PP.711-712)、『風流神代』(PP.713)、『武道継穂梅』(PP.743-744)、『武勇双級巴』(PP.751-752)、『文武酒食財』(PP.755-756))
    笠間書院 2017年10月 (ISBN: 9784305708472)

講演・口頭発表等

 10
  • 平成27年度日本文芸研究会第2回研究発表会 2015年12月5日 日本文芸研究会
    『春雨物語』「樊噲」について、従来問題とされてきた樊噲の父殺しとその後の開悟という設定の典拠として、『大般涅槃経』『教行信証』をはじめとする仏教経典や仏書、また『今昔物語集』『三国伝記』など種々の説話集に見える阿闍世説話の存在を指摘した。特に、樊噲が抱える父殺しに対する悔恨や罪悪感を書き込む文化五年本との関係が密であることを指摘し、それらの事実を踏まえた作品末尾の解釈について言及した。
  • 日本文芸研究会第66回研究発表大会 2014年6月15日 日本文芸研究会
    後に同題で論文化。同拙稿の概要を参照されたい。
  • 井上諭一, 川浪亜弥子, 佐々木正晴, 以上, パネリスト, 三浦一朗, コーディネータ, 生島美和
    平成25年度弘前学院大学文学フォーラム 2013年1月26日 弘前学院大学文学部
  • 弘前学院大学国語国文学会平成23年度夏季大会 2011年7月9日 弘前学院大学国語国文学会
    後に「「浅茅が宿」篇名小考」として論文化。同拙稿の概要を参照されたい。
  • 日本文学協会第26回研究発表大会 2006年7月16日 日本文学協会
    後に同題で論文化。同拙稿の概要を参照されたい。

共同研究・競争的資金等の研究課題

 3

学術貢献活動

 1

社会貢献活動

 2

教育内容・方法の工夫

 3
  • 件名
    視聴覚教材の活用
    年月日(From)
    2004/04/01
    年月日(To)
    2004/04/01
    概要
    歌舞伎や浄瑠璃、能、狂言など伝統芸能の舞台映像や、映画化された古典文学作品などを教材とする授業
  • 件名
    ブログを利用した非常勤講師と学生との間でのフィードバックの仕組み構築、および授業外学習時間確保の試み
    年月日(From)
    2005/10/01
    年月日(To)
    2011/03/31
    概要
    演習形式の授業で、ネット上に専用のブログを設置し、授業時間外でも意見や疑問を自由に発言できる環境を準備した。そこでの発言も授業内での発言と同様に評価した。
  • 件名
    毎回の授業でのコメントペーパーの活用とフィードバック
    年月日(From)
    2011/04/01
    年月日(To)
    2011/04/01
    概要
    毎回の授業で、学生に小紙片を配布し、記名式で興味や関心を持った点、疑問点などを記入して提出させる。次回の講義でコメントを紹介し、疑問に回答することで講義を一方通行に終わらせず、教員と受講学生との間でのフィードバックを可能とする仕組みを構築する。

実務経験を有する者についての特記事項(教育上の能力)

 3
  • 件名
    『岩沼市史』編集専門部会(近世部会)調査執筆員
    年月日(From)
    2013/04/01
    年月日(To)
    2013/04/01
  • 件名
    新潟大学人文学部非常勤講師(集中講義)
    年月日(From)
    2015/08/31
    年月日(To)
    2015/09/03
  • 件名
    立教大学大学院文学研究科兼任講師
    年月日(From)
    2017/04/01
    年月日(To)
    2018/03/31
    概要
    大学院開講科目「日本文学演習4A」「同4B」を担当。

資格・免許

 1
  • 件名
    高等学校教諭専修免許(国語)
    年月日
    2001/12/01
    概要
    宮城県教育委員会、平13高専第23号

実務経験を有する者についての特記事項(職務上の実績)

 1
  • 件名
    武蔵野大学クリエイティブ・ラーニングスクエア運営委員会運営委員
    年月日(From)
    2017/06/01
    年月日(To)
    2017/06/01