瀧澤 透, 坂本 真士, 田口 学, 竹之下 由香, 田中 江里子, 山下 志穂, 菅原 育子, 渡邉 直樹
自殺予防と危機介入 25(1) 65-69 2004年3月
青森県の自殺死亡の状況をとらえるため,平成10年〜平成13年の4年間について青森県内67市町村の標準化死亡比(SMR)を全体および男女別について算出し,χ2検定と,期待値が5未満の場合はポアソン検定により統計的に地域差を求めた.また,社会指標とSMR値との間で相関係数を求め,地域差の関連要因について分析を行った.男性は黒石市,天間林村,六戸町,平賀町,市浦村の5市町村,女性は田子町,階上町の2町村が自殺が有意に高い地域であった.地域差の関連要因は,SMR値全体(男女計)およびSMR男性での水稲収穫率で正の,婚姻率および水道普及率で負の有意な相関がみられた.全体では第一次産業割合(農業)で正の,男性では受診率(気分障害=鬱病など)で正,単独世帯,第一次産業割合(漁業),出稼ぎ(労働人口あたり)で負の有意な傾向がみられた.自殺死亡数の少ない女性では社会指標との関連はみられなかった