青木 裕見, 木下 康仁, 瀬戸屋 希, 岩本 操, 船越 明子, 武用 百子, 松枝 美智子, 片岡 三佳, 安保 寛明, 萱間 真美
日本看護科学会誌 42 21-30 2022年 査読有り
目的:COVID-19パンデミックに対応した福祉施設管理者の体験を明らかにすることを目的とした.
方法:7施設の福祉施設管理者8名を対象に半構造化面接を実施し,質的記述的分析を行った.
結果:36のカテゴリと109のサブカテゴリが抽出された.研究参加者は,人的・物的な医療資源のない自施設で未曽有の感染症に果敢に対処していた.不安・緊張を抱える中,組織内のスタッフと情報共有を密にし,勤務体制の再編成を行い,支援の優先度を見極めつつ障害特性に応じた対応を工夫しながら,本人・家族への支援を続けていた.そこでは,従前からの組織内の関係性や対策,さらに一般社会との相互作用も影響しており,とくに地域の医療との協力は必須であった.
結論:緊急時でも支援を継続させるためには,平時から組織内で情報共有を密にし,業務の優先順位を整理しておくことが重要であると示唆された.またパンデミックを乗り越えるには医療との協働は不可欠であり,看護支援のニーズが高いことが示唆された.