西本 直子

2012年から行っている国の名勝・和歌の浦にあるあしべ屋妹背別荘の保存活用の活動について報告する。今回は保存活用に向けて、まず当該建造物の歴史が忘れられてしまい、地元と確認する必要がある点や、建物が島にあるために引き起こされる設備の諸問題や建設当時との価値観のズレを克服するために、歴史的建造物にこそ必要とされる先端的技術について述べる。

寝台の既往研究では形態の象徴性ばかりが主に論じらていたが、実大復元を行い工学と美学の両面から寝台の意匠をはじめて検証できることになる。用材としてヒマラヤスギが見つかった。古代の膨大な時間と労力の集中を現代にそっくり行うことは困難で、新しい技術で代行する部分を切り分けた。復元にむけて資料化を視野にいれて検討事項を挙げる。共著・西本直子・葛西幸一

これまで不明であったS.8391の各目盛の実測値を報告するとともに、ヒンジの取り付けをやり直している痕跡が残存する点を述べた。今後、詳細な考察をさらに進め、このきわめて稀なものさしの報告を行った。

名勝・和歌の浦に現存する「あしべ屋妹背別荘」は名勝の構成要素である「あしべ屋」の別館であるが、個人所有で近年は寺に貸されていたために、その歴史が忘れられ一時解体の危機にあったところを護り保存活用を試みている。登録有形文化財制度など歴史的建造物を市民が護るという重要な概念の浸透には時間が必要だが、市民レベルで活動が始まっている。一方、保存には高度な知識が求められ、伝統木構造の考え方はそこで新たな技術を生むために必要と考えている。

岩国・錦帯橋は、縮小模型の組み立てを体験できるユニークな施設を併設する。錦帯橋の接合部は内田の基本形でいえば、渡り顎、ほぞ、栓、相欠きが多くは大入れと組み合わせて簡潔に使われているが、鼻梁、後梁が「剪断キー」としての迫持を成たたせるという極めてユニークな仕組みを持っている。一点留意するのは、江戸時代より接合補強として金属帯、鎹、釘が細かく使われていることである。

日本の木接合技術としての継手仕口は名称と形態の照合が難しい。内田祥也著「在来工法の研究-木造の継手仕口」の分類方法をもとに、日本と他国の木接合部を比較研究し、広く木材の性状と接合の考えを確認すると共に、形の扱いの再の有無を見いだそうとする試み。１２世紀イギリスの例、イタリアの古代木造船に見られる例と日本の金輪継との比較。

日本の木接合技術である継手仕口は名称と形態の照合が難しい。内田祥哉著「在来工法の研究-木造の継手仕口」では木接合の形を要素に分解し、各要素の主に力学的働きを定義して、複雑な仕口もこれら要素の組み合わせであるとする。この考えをもとに、日本と他国の木接合部を比較する試み。インドに見られる日本の金輪継と似た事例や日本の明治期の竹栓を持つ継手の例を考察する。

和歌山市小野町にあるRC造３階建、旧西本組本社ビルは1990年代に建設会社本社ビルとしての使命を終え、2000年に登録有形文化財として再利用法を模索している。設計者の岩井信一の早稲田大学建築学科卒業設計をそのまま採用した計画と伝えられるが、立面計画に見られるルネサンス様式の特徴を作図確認し、傾向を分析すると共に、再利用模索過程で行われた2005年までの企画や掲載書籍を纏めた。共著：西本真一・西本直子

和歌山市和歌の浦にかつて存在した茶屋・あしべ屋は初代藩士徳川頼宣が計画した和歌の浦の聖地に配され大正期まで続いた旅館であったが、今はその地の残る石碑が2010年に名勝指定となっている。一方、その向かいの妹背山にはあしべ屋の別館であった木造家屋が現存していながら知られていない。夏目漱石や南方熊楠も訪れた旅館別館遺構としての存在価値を問う。<br /> 共著：西本直子・西本真一

2011年７月に行われた同講座、講師：増田一眞の内容報告。

2011年11月、鎌倉・円覚寺で行われた伝統木構造の会主催「木構造耐震補強セミナー」講師：金沢工業大学 後藤正美教授の内容報告。

19世紀にスキアパレッリによりトリノ博物館に収蔵された古代エジプト新王国時代の職長カーの妻、メリトのかつら箱は収納家具として異例の大きさである。同館が2010年にこれを広い展示室に移設して始めて十分な実測が可能となった。2001年、2010年の実測調査結果を元に行った分析結果を纏めた。

設計監理を行った和歌山市秋葉山『木村邸』は４つの庭を持ち、庭を夏の涼に使う家であり、和歌山の山の木を施主と選び製材し乾燥し、大工の親方が仕口を刻んで造った。伝統的仕口の評価が難しいため、継手仕口を内部に配して鑑賞できるようにして、外周部は構造用合板で固めて４号申請で計画している。

建具屋「杢正」にて見学した建具用材の乾燥方法、加工用具及び加工方法、建具製作方法について。

尾島俊雄著「この都市のまほろば」を地方再生の参考図書として紹介。

設計をした和歌山市西鍛冶町『土蔵のある家」は大正時代の土蔵外壁を町の有志の素人による左官ワークショップにより再生したことと、家族４人に80平米ほどの住宅機能を鉄骨で増設して、土蔵内部は機能を決めずに『何もない空間」とした点を述べた。

大正11年築造の漆喰壁の蔵をワークショップで改修するために参加者を全国に呼びかけた。

古代エジプトの家具の快適性を検証する試論。

G.Killen著”Ancient Egyptian Furniture&quot; Vol.I及びVol.IIを読む過程で頻出した英和木工用語を纏めた。

中川武教授の書かれた千原大五郎氏への弔文の仏訳。

古代西アジア世界の中での古代エジプトの家具木工品についての試論。

古代西アジア世界の中での古代エジプトの家具木工品についての試論。

古代エジプトの家具についての試論。

新宿オゾン／東京ガスで行った古代エジプトの家具復元計画と古代エジプト住居インテリアの考察。

G.Killen著”Ancient Egyptian Furniture&quot; Vol.IIで扱われている箱物家具のうち、新王国時代のカー、ペリパウト、ツタンカーメン王らの副葬品について省察した。

新宿オゾン／東京ガスで行った新王国時代の、カーの椅子（Inv.No.8333,トリノ・エジプト学博物館蔵）、ペリパウトの卓（No.2469、大英博物館蔵）、壷立て（大英博物館蔵）、ツタンカーメンの寝台（Jde62018、CarterNo.586、カイロ博物館蔵）ランプ（Inv.No.14379、トリノ・考古学博物館蔵）復元計画の報告。

古代エジプトの家具をカタログ的に纏めるG.Killen著”Ancient Egyptian Furniture&quot; Vol.Iをテキストとして、著者と文通を行いながら、各例を省察した。