室岡 陽子, 藤縄 直人
日本脊髄障害医学会誌, 25(1) 74-75, May, 2012 InvitedLead author
洗腸法推奨の条件を満たす脊髄損傷者5名(男4名、女1名、平均49.2歳)に洗腸指導を行い、その効果について検討した。全例下剤を内服しての排便で、便秘や失禁、排便時間の延長、下剤の調整困難などを訴えていた。洗腸には洗浄液バッグと2段式ストッパーを用い、100ml/分程度の速度で微温水を500mlから800ml程度まで注入するものとした。洗腸指導後の腹部X線による便貯留量評価では、直腸だけでなく上行結腸からS状結腸までの各部位も減少していた。2ヵ月間の洗腸記録では、全例指導通り注入量を増量し実施していた。排便にかかる時間の変化はあったが、排便間隔は定期的となり、失禁もなくコントロールできるようになった。実施中の体調不良や皮膚障害などはなかった。3ヵ月後の質問紙調査では、全員が「操作は簡単であった」「すっきりと排便できた」「失禁の不安が軽くなった」「日常生活で気持ちが楽になった」、4名が「生活にゆとりがもてるようになった」と答えた。