研究者業績

中村 太戯留

ナカムラ タギル  (Tagiru NAKAMURA)

基本情報

所属
武蔵野大学 データサイエンス学部 (教養教育) 准教授
学位
博士(学術)(慶應義塾大学)
修士(政策・メディア)(慶應義塾大学)
学士(環境情報学)(慶應義塾大学)

J-GLOBAL ID
200901029865078729
researchmap会員ID
5000048922

慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科にて論文博士を取得、同環境情報学部講師(非常勤)。東京工科大学メディア学部助手、同片柳研究所助教を経て、同メディア学部演習講師(非常勤)。武蔵野大学データサイエンス学部(教養教育)准教授。博士(学術)。
専門は社会神経科学、実験心理学、言語学(語用論)。ポジティブ情動(ユーモア)に関する言語論的モデル化、心理学的実験、そして脳科学的実験を推進している。


論文

 58
  • 中村太戯留
    第42回日本認知科学会大会予稿集 772-775 2025年9月  査読有り筆頭著者
    ユーモア理解の地域差について,ユーモア理解の「見いだし」理論による説明の可能性を検討した.具体的には,保護フレームないし関連性がユーモアの面白さに与える影響について,ひねり,ユーモア態度,居住地域による変調の可能性を実証的に検討した.その結果,居住地域により関連性を感知するひねりやユーモア態度に違いがあり,保護フレームの作用と合わせて,ユーモアの面白さに影響する可能性が示唆された.
  • 中村太戯留, 岡田龍太郎
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 6 71-78 2025年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「データサイエンス活用 1」および「データサイエンス活用 2」という連続した科目の連携を強化しつつ,前年までの問題点を解消する取り組みについて報告する.この科目は予測力や選択力の育成を念頭に,各授業回の前半で講義し,後半でグループワークも含めてその内容を演習するという内容の授業となっている.ただ,設定可能な授業時間枠の都合から,各授業回は 1 コマのみとなっていた.そのため,受講生が最終課題に取り組む期間が短いことと,そのグループワークのために要する授業時間外の活動時間の確保が困難ということが問題であった.対策として,開講時間が近接した別科目と連携し,2 コマ続きの授業時間枠をタイムシェアリングする方法を導入した.2 つの授業回の間に別科目の授業回をはさむことで課題に取り組む期間を長くすることができ,2 コマ続きの授業にすることで授業時間内の受講生のグループワーク時間を増やすことが可能となった.その結果として,受講生の毎週の授業時間外の活動時間は,前年の 5.2 時間から 3.6 時間に減少し,適正化が確認された.このことから,設置可能な授業時間枠が限られた科目群における授業時間枠のタイムシェアリングの有効性が示唆された.
  • 中村太戯留
    Musashino University Smart Intelligence Center 紀要 6 4-11 2025年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では,「人工知能基礎」と「データサイエンス基礎」という全学科必修の情報科目における多様な学生の学修意欲の向上を図りつつ,前年までの問題点を解消する取り組みについて報告する.前年までは,より難易度の高い後者の科目を先に実施しており,またその科目の最終課題のテーマに対する受講生の関心が低いことが問題であった.また,入学直後の授業であるにもかかわらず,大学で授業を受講するための前提となる大学のコンピュータネットワークや受講生自身のノートパソコンについて学ぶ機会が提供されていないことも問題であった.対策として,科目の受講順序を入れ替え,前者の科目の最初に受講の前提となる事項を学ぶ機会を追加し,そして後者の最終課題のテーマを多様な関心に対応しうるものに調整した.アンケートの結果から,追加したネットワークやコンピュータに関する項目を学べたこと,最終課題のテーマに対する関心や成果に対する満足度が向上したことを確認することができた.このことから,一連の対策を講じたことの有効性が示唆された.
  • 中村太戯留
    第41回日本認知科学会大会予稿集 575-578 2024年10月  査読有り筆頭著者
    情動知能は,情動の性質を理解して賢く活用する力のことで,非認知能力の下位概念であるが,他の下位概念との関係は必ずしも明らかではない.そこで,情動知能,レジリエンス,そして批判的思考の各尺度を用いて検討した.情動知能の因子は,レジリエンスや批判的思考の因子と相関があり,それぞれクラスターを形成しており,そして4つの成分に整理することができた.すなわち,情動知能を高める手掛かりとして,これらの因子を活用できる可能性が示唆された.
  • Koharu Sano, Keiko Ojima, Tagiru Nakamura, Ryotaro Okada, Takafumi Nakanishi
    International Journal of Smart Computing and Artificial Intelligence 8(1) 1-19 2024年6月  査読有り
    This study introduces a self-mental care management system utilizing an emotion estimation technique applied to heart rate variability parameters derived from vital data. The escalating prevalence of pandemics has exacerbated the dearth of accessible mental healthcare services, underscoring the heightened significance of investing in mental health programs. However, advancements in sensor technology, marked by enhanced precision and reduced size, facilitate the rapid acquisition of vital data from users. In our approach, we capture electrocardiogram (ECG) data concurrently with the narration of emotionally evocative stories. Through the analysis of the resulting data trends, emotions strongly correlated with the newly acquired ECG data were identified and inferred to be the emotions manifested within the ECG data. Our methodology enables the estimation of user emotions based on ECG data, and is further implemented in an application featuring real-time visualization of users' emotional states through chat icons. The deployment of this application empowers users to monitor emotional fluctuations and effectively manage their mental wellbeing.

MISC

 28
  • 中村 太戯留
    日本心理学会第89回大会発表論文集 1316 2025年9月  筆頭著者
    ユーモア理解の見いだし理論では,保護フレームが機能した状態において関連性を感知するとユーモアが生じると提案している。一方,優越理論では攻撃性がユーモアの本質,またエネルギー理論では抑圧された性的ないし暴力的な心的エネルギーの放出がユーモアの本質と提案しており,統一的な見解には至っていない。そこで,これらの理論が本質と提案する攻撃性や性的要因や暴力的要因を含むネタ,そして対照条件としての夫婦ネタというユーモアのネタの種類ごとの面白さと保護フレームや関連性感知の関係について,質問紙調査により実証的に検討した。その結果として,面白さは,保護フレームと関連性感知の影響を受けつつ,特に後者から強い影響を受けることが確認された。優越理論やエネルギー理論が本質とする攻撃性や性的ないし暴力的な要因による面白さは,男性の関連性感知から強めの影響を受ける可能性が示唆された。一方,夫婦ネタの強めの面白さは,男女双方の保護フレームと関連性感知から影響を受けることによる可能性が示唆された。すなわち,見いだし理論の保護フレームと関連性感知という機制により,ネタの種類別のユーモア理解を整理できる可能性が示唆された。
  • 中村 太戯留
    日本心理学会第88回大会発表論文集 737 2024年9月  筆頭著者
    自分は守られているという認識のときに危ない知らせを得るとユーモアが生じる,というのがユーモア理解の「見いだし」理論の骨子である。先行研究では,攻撃的ユーモア,遊技的ユーモア,そして支援的ユーモアに分類可能であることが報告されているが,「見いだし」理論との対応づけは不明となっている。そこで,本稿では,向社会的行動尺度およびハピネス尺度との関係からユーモア理解の特性を探った。攻撃的ユーモアは,向社会性と負相関の関係になっていることから,反社会的な傾向,すなわち社会的に危ない知らせを強調する傾向を有すると考えられた。一方,支援的ユーモアは,向社会性と正相関の関係になっていることから,向社会的な傾向,すなわち社会的に守られているという認識を強調する傾向を有すると考えられた。なお,遊技的ユーモアは,社会的に守られているという認識と,社会的に危ない知らせのバランスが取れた状態と推測された。そして,支援的ユーモアは,ハピネスと正相関になっていることから,心理的にも重要な役割を果たす可能性が示唆された。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    生理学研究所年報 44 230-231 2023年12月  招待有り筆頭著者
    本研究で、は語用論的解釈における認知要素と情動要素の協働機制を、皮肉理解や比喩理解の神経基盤に着目しつつ探求している。比喩の面白さ(ユーモア)の理解においても扁桃体が賦活しており、扁桃体は情動要素(関連性の感知など)として重要な役割を果たしていると考えられた。一方、ユーモアを生じる前提として保護フレームは認知要素としての文脈情報の一種と考えられる。その神経基盤の候補としては、側頭葉前部、尾状核、前帯状回が挙げられた。すなわち、語用論的解釈においては、情動要素に加えて、認知要素が共同して機能していると解釈された。
  • 中村太戯留
    日本心理学会第87回大会発表論文集 670 2023年9月  筆頭著者
    ユーモア理解の“見いだし”理論(中村, 2022a)は,ヒトの生存と関連性のある事柄を見いだした際に,“保護されている”という認識の枠組み(保護フレーム)が機能することでユーモアが生じる可能性を示唆している。中村(2022b)は,中村(2009)のデータに対して主成分分析を実施し,保護フレームの機能が強まるほど面白さも強まる可能性を報告している。しかし,関連性のある事柄との関係については必ずしも明確にはなっていない。本稿では,中村(2009)の刺激で使用されている感情語と保護フレームの関係について検討した。結果,感情語を含む謎かけ形式の表現として13個を特定した。それを保護フレームと面白さの関係の図(中村, 2022b)に重ねると,保護フレームが機能し,強めの面白さが生じているあたりにネガティブ感情の語が認められた。すなわち,ヒトの生存と関連性のある事柄が,保護フレームの機能するなかではユーモアを生じるとする見いだし理論の見解と整合する結果であった。
  • 中村太戯留, 松井智子, 内海彰
    生理学研究所年報 43 212-213 2022年12月  招待有り筆頭著者
    本研究では、語用論的解釈における認知要素と情動要素の協働機制を神経基盤の観点から探求した。皮肉理解において、認知要素としての文脈情報と発話内容の不調和を感知する際に、内側前頭前野の前方、側頭極、小脳の活性が認められた。これらは「心の理論」の処理に関与している可能性が示唆された。一方、情動要素としての発話韻律と発話内容の不調和の感知では扁桃体が賦活した。そして、両要素の統合機構として、帯状回を含む内側前頭前野の後方、島皮質、前頭前野が活性化した。すなわち、両要素は顕著性ネットワークを介して前頭前野で統合されると解釈された。

書籍等出版物

 3
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第7章 保護フレームと関連感知によるユーモア理解の動的語用論 (pp.132-151))
    開拓社 2025年1月 (ISBN: 9784758913782)
    「自分は守られている」という認識(保護フレーム)のときに「危ない知らせ」を得る(関連感知)とユーモアが生じる。ユーモア理解の「見いだし」理論(中村 2021)では、平たく言うとこのように私たちがユーモアを理解するプロセスを捉えている。私たちが動的に他者の言葉を理解する過程においては、一見すると複雑に見える現象の背後に、比較的シンプルな原理が働いていると考える。この論文では、保護フレーム(Apter 2007)と関連感知(Sander et al. 2003)という二つの概念装置を用いることで、先行研究で紹介されている動的に意味が変化するユーモアの例文も整理可能であることを示した。また、それらの概念装置の神経基盤についても考察した。
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第4章 MESHを駆使しよう、第5章 MESHでデザインしよう)
    オーム社 2019年5月
  • 中村太戯留 (担当:分担執筆, 範囲:第19章「比喩の面白さを感じるメカニズムの検討」)
    ひつじ書房 2007年10月 (ISBN: 9784894763173)
    不調和解消理論によれば、ユーモア理解には不調和の感知段階と解消段階とが関与するため、不調和を解消するというプロセスを経る場合は、経ない場合よりも反応時間がやや長くなることを実証的に示した。

講演・口頭発表等

 75
  • 大石凌仁郎, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    日本教育工学会研究報告集, 2025(3), 117-120 2025年10月
    本研究は,学習時の集中を支える要因を把握するため,質問紙調査と画像認識で抽出した表情特徴量を用いて分析した.集中の自己評価,環境要因,デバイス利用等を収集し,課題時の表情と合わせて検討した結果,環境要因に加え,集中時の表情を可視化し自己認識することが,各学習者に適した集中戦略の設計に寄与する可能性が示された.
  • 中村太戯留
    情報教育シンポジウム2025論文集, 185-188 2025年8月
    心理測定尺度の回答の結果を考察の対象とする授業において,結果を回答した受講生に自動配信するシステムを導入することにより,授業の効率化と受講生の学修意欲の向上を図った.心理測定尺度は20項目程度の5段階尺度から構成されており,そのうちの数個の項目は数値の大小を逆転して集計する必要がある.前年度の授業では,回答した受講生自身に表計算ソフトを用いて集計してもらったが,集計スキルの個人差が大きく,本来の結果の考察という活動までなかなかたどりつけない受講生がいるという問題点があった.そこで,本年度の授業では,心理測定尺度の回答システムに逆転項目を考慮した集計とその結果を回答者に自動配信する機能を追加した.学期末に,授業方法に関するアンケートを実施したところ,前年度よりも高い評価となっていた.そのため,心理測定尺度の逆転項目を考慮した結果の自動配信システムを授業内で活用することの有用性が示唆された.
  • 中村知愛, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    情報教育シンポジウム2025論文集, 163-164 2025年8月
    「愛想が良い」という主観的かつ文脈依存的な概念を,客観的で定量的な指標を用いて明確化することを目的に,人と AI の面接場面における非言語行動の特徴を比較・分析した.具体的には表情分析を通じて愛想の評価基準を検討するとともに,複数の AI 面接支援アプリを評価し,その機能性や UI/UX 上の課題を明らかにした.これらの結果は,AI 面接の改善および応募者が意識すべき非言語行動の明確化に寄与すると期待される.
  • 山下琴音, 中村太戯留, 有馬宏和, 山本浩之, 武藤ゆみ子
    情報教育シンポジウム2025論文集, 159-162 2025年8月
    岡山県笠岡市のご当地銘菓「かぶとがにまんじゅう」の認知度向上を目的に,人と AI の協働によるリブランディング手法を提案した.まず,全国 47 都道府県の饅頭を対象に〈名産品活用・コラボレーション・キャラクター採用・観光地関連性・バリエーション〉の 5 属性と,食感を示すオノマトペについて抽出・分析し,消費者アンケート結果とあわせて地域固有のニーズを導出した.次に,その結果に基づき,大規模言語モデルと画像生成モデルを活用して新たなフレーバー案やパッケージデザインを提案した.一般消費者を対象とした評価の結果,その有効性が確認され,笠岡市の地域活性化に寄与する可能性が示された.本手法は,笠岡市の地域活性化に寄与するとともに,データ分析・生成 AI・Human-AI in-the-loop を統合することで,他地域のリブランディングにも汎用的に適用し得ることが示唆される.
  • 鈴木玲菜, 高橋和枝, 山本浩之, 中村太戯留
    情報処理学会研究報告,2025-CE-178(1),1-8 2025年2月
    本論文では,データサイエンスを活用するスキルの育成のための実践学修の事例を報告する.従来,データサイエンス(機械学習)のスキルは,大規模なデータから一般的な傾向を見つけるために活用されてきた.それに対して,現在,自身に関するデータを容易に収集できるようになったため,そのデータから自身の暗黙的な性質を見つけることで,自身が直面している問題に対処しうることが期待される.本論文では,片頭痛の発生予測の実践事例を通して,このようなデータサイエンス活用およびそのためのスキル育成の重要性について議論する.片頭痛は学業や日常生活に大きな影響を与えるが,その原因は各人各様であるため,既存の予測ツールでは個人の状況に応じた予測に十分には対応できない.そこで,機械学習ツールを用いて個人に特化した片頭痛の予測を試みた.天候データやスマートウォッチで取得した睡眠データや生体データを特徴量とし,各自の主観データである片頭痛の痛みの度合いをターゲットとした片頭痛の予測モデルを構築した.約1.5か月間のデータ収集により,それまで気づけなかった天気予報中の用語の出現頻度,睡眠時間や心拍変動との相関が明らかになった.

担当経験のある科目(授業)

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共同研究・競争的資金等の研究課題

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