井関 直政, 羽山 伸一, 益永 茂樹, 中西 準子
環境化学 : journal of environmental chemistry 10(4) 817-831 2000年12月20日 査読有り
東京湾周辺に生息するカワウ肝臓 (n=16) 中ダイオキシン類 (PCDD/Fs, Co-PCBs) を分析した。PCDD/Fs濃度は平均33, 000pg/gfatであった。すべての試料で2, 3, 7, 8一置換体が約90%を占め, 特に1, 2, 3, 7, 8-PeCDDと2, 3, 4, 7, 8-PeCDFが優占的にみられた。生物蓄積係数 (BMF) は, 2, 3, 7, 8-TCDF (0.82~1.4) から2, 3, 4, 7, 8-PeCDF (130~380) まで魚種や異性体によって大きな差がみられ, またCo-PCBsにおいてもCB77 (5.6~32) からCB169 (320~1900) まで幅広いBMFの値がみられた。これらの蓄積性はLog Kowや分子量, 構造のいずれの比較でも説明できず, 生物特有の代謝が考えられた。WHO-BirdsTEFを用いて求めた総TEQは, 27, 000pgTEQ/g fatであり, その半分をPCDD/Fsの1, 2, 3, 7, S-PeCDD (13%) と2, 3, 4, 7, 8-PeCDF (36%) , Co-PCBsのCB126 (28%) が大きく寄与していた。オランダ産カワウの報告例と比較すると1, 2, 3, 7, 8-PeCDDが高濃度であった。