嶋崎さや香
第3回京都国際図書館フォーラム 2012年8月
発表では明治初期(1873~1884)の図書館設立者や運営者が、どのような図書館像を想定していたのか(1)利用者、(2)資料アクセス、(3)図書館建物(空間)に関する〈規則〉を通して考察した。具体的には『文部省年報』(1873~1884)に掲載された各図書館の〈規則〉を検討対象としている。検討の結果①利用者の制限範囲が「狂病」者隔離政策などの社会的要件とともに拡大していたこと、②資料アクセスは全利用者に開かれたが、煩雑な手続きが必要で実質的な制限がかかっていたこと、③館外貸出は官吏や教員などが「公益」目的で使用する以外はほとんど不可能であったこと、④図書館での黙読の励行が行われていたこと、⑤図書館が定時法や祝祭日を実践し、そのことで国の政策を利用者へ伝達する機能を担っていたこと、以上5点を指摘した。