水野 夏子, 杉田 慶子, 中村 圭美, 浜田 久仁雄, 後藤 弘美, 片山 郁子, 西尾 真美, 繁 仁美
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69(0) 218,307-307 2017年5月
目的 大阪樟蔭女子大学と神戸ファッション美術館との学館連携事業の取り組みとして、美術館が収蔵する歴史衣装を用いて服飾教育をはかることを目的とし、18世紀フランスの宮廷衣装であるローブ・ア・ラ・フランセーズの試着用デザインを検討した。 <br>方法 ローブ・ア・ラ・フランセーズ(収蔵品番号2-FR-03-F1-9-1・2)の原品を調査・分析し、レプリカと1/5縮尺のパターンを資料として、実寸のトワルを制作した上、試着用のパターン作成および裁断・縫製方法を選定し、一般・入館者を対象とした試着可能なローブを制作した。制作は、大阪樟蔭女子大学被服学科の学生8名が学館連携事業の一環である実習授業において発表者の指導のもとに行った。 <br>結果 実物のローブの構造や設計、裁断・縫製技法、着装スタイル、当時の身体の特徴などを具体的に知ることができたのは当然ながら、着用にあたり現代の成人女性の体型・体形に合わせた各部位の修正点を把握することに加え、修正に伴ったローブ全体のデザインのバランス調整の取り方と美しいシルエットの演出方法を提示することができた。そこには歴史衣装の構成をできるだけ忠実に守るための洋裁技術の活用と工夫を施した。試着用ローブの制作を通して、美術館の収蔵品や歴史衣装の取り扱いに対する理解が深まり、歴史衣装の役割や制作することの意義を考察することができた。人々には歴史衣装に触れ着装を追体験できる機会を提供した。