奥田 亮, 川上 正浩, 坂田 浩之, 佐久田 祐子, 川野 佐江子, 川端 康之
大阪樟蔭女子大学研究紀要 6 3-12 2016年1月
筆者らはこれまで、大学における全学科学生を対象とした帰属感高揚プログラムを開発してきた。本研究では、それまでのVTR を改善し、かつ受講生の所属する学科教員が登壇した2014 年度以降のプログラムの方が、2013 年度のプログラムに比べてより効果的であるかを再検証し、さらにその効果について「教員の対談」に注目して分析し検討することを目的とした。質問紙調査の結果、2014 年度以降のプログラムの方が効果的であり、特に教員の対談の効果が高まっていることが示された。さらに教員の対談の狙いを語りの内容から分析したところ、①フランクに自身の学生時代を示すことで、受講生の教員に対する親近感を高める、②自身の体験を踏まえて、大学・学科に関して語りかけ、受講生の大学生活の内省と帰属意識を促す、③個としての成長の取り組みを示し、呼びかけることで、成長の場として今の大学生活への自己関与意識を高め、帰属感につなげる、といった内容に分類され、受講者にとって親近性の高い教員がそれらの狙いに沿って語ることで、プログラムの効果が高まることが示唆された。