小林 政司
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集 39(39) 117-128 2002年3月6日
本稿では,「似合う」ことを「似合い」と呼称することとし,「似合い」,とくに被服の色彩に関する「似合い」を探求する初段階として,「似合う」色の取り扱い方に関する提案を行うとともに,現在知られている「似合う」色の選択,いわゆるファッションカラーコーディネーションについていくつかの手法を概観した。まず,「似合い」の重要性と「似合い」のとらえ方についての考察を行った。ここでは,視覚対象としての着用者と被服について生態光学的な側面からの考察も試みた。次に「似合う」色の色彩調和論的取り扱いとして,色彩調和の経験式の応用や調和の様式による分類を,また,視覚心理学的取り扱いとして錯視としてのあるいは対比現象としての解釈や図と地の分化に着目した理解を提案した。一方,現在,比較的広く知られているファッションカラーコーディネーションの手法をいくつか取り上げ,肌色の分類,判定法などに関する共通点や「似合う」色の決定方法,さらにその提示方法の問題点などを指摘した。