窪田 拓生, 北岡 太一, 三浦 弘司, 大幡 泰久, 三善 陽子, 藤原 誠, 山本 景子, 難波 範行, 武鑓 真司, 山本 威久, 大薗 恵一
日本内分泌学会雑誌 89(Suppl.Update) 52-54 2013年6月
遺伝性低リン血症性くる病(以下A)はFGF23の増加が病態の中心的役割を担っているとされ、血清FGF23の高値が診断に有用であると報告されているが、ビタミンD欠乏性くる病(以下B)とAの鑑別における血清FGF23濃度の有用性については明らかにされていない。そこで今回、自施設で2003〜2012年にBと診断した24例およびAと診断した8例について、血清FGF23値を含む諸検査の値を疾患別で群間比較した。結果、血清FGF23値はA群が70.8±11.5pg/ml、B群が10.3±2.8pg/mlであり、A群のほうが著明に高かった。また、A群の最低値は58pg/ml、B群の最高値は18pg/mlであり、両疾患の間には明瞭な差異が認められた。血清FGF23以外の検査では、血清Ca値、リン値、PTH値、25OHD値などに有意な群間差を認めたが、いずれも症例によってバラツキがあり、個々の数値のみによる両疾患の鑑別は困難なケースもあると考えられ、そのような場合に血清FGF23濃度は有用と思われた。