三善 陽子, 酒井 規夫, 池田 佳世, 長谷川 泰浩, 橘 真紀子, 清原 由起, 山田 寛之, 近藤 宏樹, 濱田 悠介, 木村 志保子, 里 龍晴, 峰 淳史, 神尾 範子, 鈴木 保宏, 塩見 正司, 太田 秀明, 下澤 伸行, 大薗 恵一
日本内分泌学会雑誌 87(Suppl.) 83-85 2011年6月
副腎白質ジストロフィー(ALD)の日本人小児の臨床的特徴と副腎皮質機能の把握を目的として、ALDの男児11例について、診療記録をもとに6例は後方視的に、5例は前方視的に解析した。初発症状およびALDの診断理由は、神経学的異常が最も多く8例で、歩行障害3例、視力障害3例、痙攣重積1例、学力低下と性格変化1例であった。臨床病型は、小児大脳型8例、小脳・脳幹型1例、アジソン型1例、発症前男児1例であった。家系解析の結果、家系例が4例あった。頭部MRIで全例ALDに特徴的な脱髄所見を認めた。治療として、Lorenzo's oilが全例に試されていたが明らかな臨床効果を認めなかった。現在副腎皮質ステロイド剤の内服が7例で行われた。造血幹細胞移植は5例に施行された。ALD診断後の経過・予後として、12歳時に肺炎で死亡した男児1例を除き10例が生存した。