橋本 侑樹, 村松 大吾, 小方 博之
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 96(12) 769-779 2013年12月 査読有り
CBTシステムの研究・実用化が進展するにつれ,自宅受験も技術的に可能になってきている.しかし,自宅受験の場合は,試験監督の監視が行き届かない.そのため,会場受験と比較した場合,受験者にとって不正行為が容易であり,それが自宅受験実現の阻害要因となっている.そこで,本論文では,不正行為の一つである替え玉受験の防止に向けて,ペン持ち方認証におけるなりすまし耐性の強化を図り,その評価を行う.本研究では,替え玉防止のために,筆記時のペンの持ち方が個人ごとに異なることを利用した個人認証法に着目する.具体的には,試験実施中の受験者のペンの持ち方をカメラで撮影し,そこから抽出した複数の特徴を用いて個人認証を行う.替え玉は個人認証を突破するため,正規受験者と協力しながらその持ち方を意図的に模倣して試験に臨むと考えられる.そこで,本論文ではそれを踏まえて実際に替え玉役の被験者に,正規受験者役の被験者の持ち方を練習してもらうことで,協力関係による強い攻撃を考慮したデータを新たに収集した.そして,なりすまし耐性を強化した手法を提案するとともに,既存手法との比較によりその耐性の評価を行ったので報告する.