岡本 秀輔, 鎌田 賢, 中尾 隆司
情報処理学会論文誌. プログラミング 46(1) 19-27 2005年1月 査読有り
アニメーションは,Webページの例で代表されるように,情報伝達手段の重要な選択肢の1つである.特に,キーやマウスなどのユーザ入力によって,表示内容が変化するような対話型のアニメーションは,ユーザの興味を引きつける.しかし,ひとたびこのような対話型アニメーションを作ろうとすると,芸術的な素養のほかに,プログラミング技術やグラフィックスの知識が必要となり,素人には敷居が高すぎる.そこで,我々は小学生の利用も視野にいれた,対話型アニメーション作成ツールの設計と実装を行っている.ユーザは,GUIエディタで状態遷移図と表示画像を指定することにより,オブジェクト指向モデルに沿った形で,アニメーションに登場するキャラクタの動きを決めていく.そして,インタプリタにより動作を確認し,トランスレ一夕によりJavaやJavaScriptといった対象コードペの変換を行う.変換の際には,Javaの内部クラスやJavaScriptの関数ポインタを用いることで,状態遷移図と対象コードの対応関係を保たせている.副産物として,このツールは楽しみながら情報処理を学ぶための教材となる可能性がある.状態遷移図を作成して,その動きをイメージすることは,情報処理教育の導入に適している.また,アニメーションに対応する中間言語表現や,対象形式への変換例を見ることは,プログラミングを含めた次のステップの教育に役立つ.