坂地 泰紀, 酒井 浩之, 増山 繁
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション 107(158) 151-156 2007年7月17日
本研究では,新聞記事から景気動向を示す「根拠となる表現」を統計的手法を用いて自動的に抽出する手法を提案する.また,抽出された景気動向を示す「根拠となる表現」を景気が回復することを示すPositive表現と悪化することを示すNegative表現に分類する手法も併せて提案する.企業や投資家にとって,株価や商品の売行きを予測するために,景気動向を知ることは重要なことである.そこで,我々は景気動向に関する記事から景気動向を示す「根拠となる表現」を抽出し,それを用いることにより,景気動向の予測が可能ではないかと考えた.今回,景気動向を予測するための材料として,景気動向の根拠となる表現を抽出し,それが景気が回復することを示すのか,悪化することを示すのかを判定する.我々は1990年から2005年の日経新聞を用いて実験し,景気動向を示す「根拠となる表現」の抽出手法と分類手法をそれぞれ評価した.その結果,景気動向を示す「根拠となる表現」の抽出手法に関しては適合率が71.43%,再現率が33.33%となり,分類手法に関してはPositive表現分類のF値が0.695,Negative表現分類のF値が0.849となった.