酒井 浩之, 篠原 直嗣, 増山 繁, 山本 和英
自然言語処理 = Journal of natural language processing 9(3) 41-62 2002年7月 査読有り
文内要約の一要素技術として, 連用修飾表現の省略可能性に関する知識を獲得する手法を提案する. 具体的には, 省略できる可能性のある連用修飾表現を含む節に対して, 同一の動詞をもち, かつ, 格助詞出現の差異が認められる節をコーパスから検索し, 検索された節対から省略可能な連用修飾表現を認定する. また, 連用修飾表現の内容および前後の文脈を考慮して, 重要な情報が多く含まれている連用修飾表現に対しては省略可能と認定できる可能性を低く, 逆に, 認定対象としている連用修飾表現に, それより以前の文に存在する情報が含まれている場合に対しては, 省略可能と認定できる可能性が高くなるような工夫を施した. 本手法によって省略可能と認定された連用修飾表現を評価したところ, 適合率78.0%, 再現率67.9%との結果を得た. また, 本手法を, 格フレーム辞書によって動詞に対する任意格として記述される格要素を, 省略可能な連用修飾表現として認定する手法と比較した. その結果, 適合率, 再現率ともに比較手法より良好な結果を得ることができ, 提案手法の有効性を確認した.