有賀 敦紀, 井上 淳子
日本認知心理学会発表論文集 2014 9-9 2014年
人間は希少な物に魅力を感じる(希少性効果)。二色のクッキーを用いて対象の希少性を操作した先行研究では,希少性効果が減少した対象の色に基づいて生じることが明らかにされた。本研究ではこの知見に基づき,希少性効果の生起要因を特定した。実験1において,特定の色のクッキーを被験者の目前で増加させることによって,別の色のクッキーに相対的な希少性を付与したところ,希少性効果は生じなかった。しかし,実験2において,被験者がサクラと二人で課題を行ったところ,希少性効果は生じた。以上の結果から,(1)対象の減少が希少性効果の決定的な生起要因であること,(2)他者の存在が希少性効果の生起を促進することが示された。本研究によって,商品に対する消費者の魅力形成は時間的・社会的文脈に強く依存することがわかった。