梶谷 令

論文ナビに著者研究概説を掲載<br /> https://rnavi.org/60011/

本項は展示空間に関するアクションリサーチであり、屋外展の成立構造を、屋内展との差異から相互に検証する。<br /> 多くの展示形態が画廊や美術館を中心とする屋内展示である中で、屋外で実施される美術展も稀でない。これを受けて、屋外展成立の根拠を、展示の礎石となる搬入を契機に検証することで、屋内展に比して敷居の高い屋外展の構造的理解を試みる。実例としてLipton 生誕125 周年を記念して、2015 年末に明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で実施された“TEA WAY ART COLLECTION”を参照する。

昨今、画廊を初めとする室内展示に、作者が常駐する場合が珍しくない。本稿は、常駐が作品・鑑賞者・作者に与える影響を制作者の立場から確かめ、作者・鑑賞者の分析を試みる。その手掛かりをハイデッガーの著作『芸術作品の根源』及び各種展示実践に求める。展示は作品のみならず作者も社会的認知を得る機会であり、例えば対話が積極的に活用されるが、展示空間での対話の次第では営為の形骸化を誘発する。形骸化を避けつつ各位相の確保は可能か。制作者として現場に配慮しつつ作品・作者・鑑賞者の位相を整理・再配置する。