加藤 尚吾, 赤堀 侃司
教育情報研究 21(2) 39-49 2005年
著者らは, 不登校児童・生徒に対する支援として, 電子掲示板を用いたグループカウンセリングを, 教育センターで3回実施した.本研究では, この実践に参加したカウンセラーが電子掲示板上で行った働きかけに焦点を当てた.はじめに, カウンセラーの投稿内容を分類したところ, 「語りかける」, 「質問する」, 「自己開示する」が多く見られた.そこで, カウンセラーが電子掲示板上で行った働きかけとして, 「自己開示とコミュニケーションの促進」及び「投稿の流れの修正」に注目し, それぞれ分析した.結果から, カウンセラーの「語りかけ」や「質問」は, 児童・生徒の話を広げるなど, コミュニケーションの促進に寄与していたと考えられる.また, カウンセラーが自己開示することによって, 児童・生徒の自己開示も促進されたと考えられる.一方, 社会的スキルが未熟な児童・生徒による, ネガティブな雰囲気の流れになりやすい不適切な投稿に対して, カウンセラーが話題を変える投稿を行ったり, 該当する投稿を認める投稿を行ったりすることで, そのような流れが修正されたと考えられる.