上村 拓矢, 中村 和起, 米田 和代, 陳 延偉, 水野 松本 由子, 三好 智満, 澤井 元, 田村 進一
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 109(407) 133-138 2010年1月21日
われわれは相互相関を用いて,脳波,MEGなど脳内信号が各部位間でどのように伝播するかを図示・可視化する方式を開発し,これをtime-shift図と名付けた.そこでは,各周波数帯において,時々刻々活動電位情報が的確な遠隔部位に伝達・処理されることが示された.これを説明するために,我々は記憶の基本はループ型回路であり,それらの間で時間的疑似直交パルス系列により統一的な形で情報の伝達,転写,連想,抽象化ができるモデルを提案している.バックプロパゲーション学習を用いたシミュレーションにより,遠隔部位間で物理的実現可能な形で自己組織的に系列情報の伝達・転写ができることが確認できた.すなわち,脳内で,情報が神経ループ回路で記憶され,遠隔伝達,連想,抽象化が物理的実現可能であることを示す端緒を示すことができた.