永田 健悟, 大槻 信也, 熊谷 智明, 相河 聡
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ 2003年4月18日 一般社団法人電子情報通信学会
無線LANの規格であるIEEE802.11規格では,マルチレートをサポートしており,伝搬環境に応じて伝送レートを切り替えることで,高い通信品質を保ちつつ,かつ,高いスループットを実現するシステムの構築が可能である.上記の規格では,アクセス方式として定期的な制御信号の交換を必要としないCSMA/CA方式を用いており,この方式を用いるシステムに適する動的レート切替方式として,過去の送信成否情報を用いる切替方式が提案されている.しかしながら,従来方式では,伝送レートを切り替えた後のパケット誤りの確率を推測することが困難であるため,伝送レートを切り替える際に不要なパケット誤りを生じ,スループットが低下するという問題がある.本稿では,上記の問題を解決する方式として,送信成否情報と伝搬路情報を用いた動的レート切替方式を提案する.また,計算機シミュレーションを用いて,従来方式とのスループット特性の比較を行った結果を報告する.