林 知里, 早川 和生
日本地域看護学会誌 16(3) 41-52 2014年 査読有り筆頭著者責任著者
目的:単胎児と多胎児の父親の育児参加度を予測する要因を明らかにする.方法:多胎児の父親1,016人と単胎児の父親300人に自記式調査用紙を配布.多胎児の父親211人,単胎児の父親101人から返答を得た(回収率:20.8%・33.7%).結果:子どもが0歳時点の父親の育児参加度は,多胎児の父親では,「妻の妊婦健診に付き添った」「子育ての悩みを友人・同僚に相談した」「妻は,子育てに関する自分の頑張りをほめてくれた」「妻は,仕事での自分の頑張りをほめてくれた(負の関連)」「子育ては,男女ともに協力して行うものである」で回帰係数が有意であった(調整済みR^2値=0.326).一方,単胎児の父親では,「妻は,子育てに関する自分の頑張りをほめてくれた」「子どもを育てることに対してあまり関心が持てない(負の関連)」「地域での活動や仕事などを通じて,子どもたちとかかわりをもちたい」「仕事と子育ての両立には,上司や同僚の理解が必要である」で回帰係数が有意であった(調整済みR^2値=0.366).同様に,子どもが1・2歳時点および3〜5歳時点での育児参加度を予測する要因についても分析した結果,0歳時点で有意差があった項目のうち1〜2項目においては有意差が認められなかったが,全体として同様の傾向が認められた.考察:単胎児と多胎児の父親では,異なる要因が育児参加度を予測していた.父親の背景にある要因を考慮し,育児参加をスムーズに促すアプローチが重要であろう.