中尾 友美, 高樽 由美, 横田 香世, 正井 静香, 片岡 千明, 仲村 直子
日本糖尿病教育・看護学会誌 19(2) 121-130 2015年9月 査読有り
本研究の目的は,有職2型糖尿病患者のスティグマとその対処について明らかにし,糖尿病看護の示唆を得ることである.研究参加者は12名であり,質的記述的手法で分析した.糖尿病患者のスティグマには,【欠陥身体という感覚】【怠惰な性格への過剰な反省】【社会生活で不利とみなされる集団】という3カテゴリーが抽出された.対処では5つのカテゴリーが抽出された.以下にストーリーラインを述べる.病状が軽い間は【糖尿病を隠す】【療養行動をとらない自分に目をつぶる】対処をするが,自覚症状の出現,インスリン注射の実施を余儀なくされると,【糖尿病の現実を周囲に小出しにする】【糖尿病を隠せる範囲に社会関係を狭める】対処をとった.また,病気の進行とともに療養行動をとらざるを得なくなり,【健康を装いながら療養行動をとる】対処をとりながら,血糖コントロールへの努力を行っていた.発症早期からスティグマの観点を含むアセスメントや支援の必要性が示唆された.(著者抄録)