藤木 大介, 山中 典和, 玉井 重信
日本緑化工学会誌 26(3) 209-222 2001年
鳥取砂丘の種組成と立地環境が異なる5つの植生タイプ(無植生地, コウボウムギ群落, ハマゴウ群落, ニセアカシア林, クロマツ林)の埋土種子集団の種組成を明らかにし, 地上植生の種組成が埋土種子の種構成に与える影響について考察した。各植生タイプの埋土種子集団において木本種の埋土種子数は少なく, 各植生の単位面積当たりの埋土種子数の違いは草本種の種子数の違いに起因するものと考えられた。また, 主に生活型による種類組成の点から, 埋土種子集団の分布様式を検討した結果, 雑草群落の構成種である一年生-二年生草本の埋土種子は半安定砂丘と安定砂丘に多くみられた。砂丘植物の埋土種子は移動砂丘と半安定砂丘, 砂丘植物を除く多年生草本の埋土種子は安定砂丘に多く出現し, ハマゴウを除く木本種の埋土種子は安定砂丘に多くみられた。各植生タイプの種子供給源を検討した結果, コウボウムギ群落, ハマゴウ群落, ニセアカシア林, クロマツ林では多くの埋土種子が地上植生由来であり, これらの群落において地上植生の種組成が埋土種子集団の種組成に与える影響は大きいと考えられた。しかし, 無植生地では全ての埋土種子が植生外から供給されていた。