西岡 英菜
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要, 28 49-63, Mar, 2021
【目的】小児がん経験者およびAYA世代がんサバイバーを対象とした研究について国内外の文献をレビューし、看護実践における今後の課題を明らかにする。【方法】分析対象は2010年から2020年7月までに発表された文献とした。国内文献は「医学中央雑誌」web版(ver.5)、国外文献はCHINAL、MEDLINEを用いて検索した。検索キーワードは小児がん経験者、若年がんをそれぞれ掛け合わせ検索した。英文献はchildhood cancer survivors、adolescent and young adults、cancer or neoplasms、nursing or nurse、とし検索し、27文献を分析対象とした。【結果】研究デザインは、質的研究が主であった。また、対象者の疾患では血液疾患が多くを占めていた。研究対象者は、小児がん経験者や思春期・若年成人がんサバイバーを対象としたものが23件、看護師を対象としたものが4件であった。【闘病体験】に関する研究は9件であった。研究内容としては、<サバイバーとして生きる上での思い><社会復帰・就労への影響><死生観>であった。【長期フォローアップ】に関する研究は14件であった。研究内容としては、<心理・社会的支援><長期フォローアップの実態と困難さ>であった。【小児がん経験者及び若年患者への看護】に関する研究は4件であった。研究内容としては、<妊孕性温存><若年患者への関わり方や姿勢>であった。長期フォローアップの現状を踏まえ、成長発達や治療後の経過に応じた情報提供ニーズや心理・社会的支援の必要性があることから、本研究の看護への示唆として、《CCSとAYA世代がんサバイバーのニーズの違い》を考慮し、《長期フォローアップにおける予防的介入の必要性》が明らかとなった。【結論】小児がん経験者及びAYA世代がんサバイバーにおける看護として、告知状況やセクシュアリティに関するニーズを踏まえ、個別性に合わせた情報提供が必要である。また、長期フォローアップにおける晩期障害や遺伝的リスクについて介入する必要性がある。(著者抄録)