山中説子, 瀬川博子, 大野康恵, 古谷純也, 荒波史, 塩沢和代, 大本智世, 伊藤美紀子, 桑波田雅士, 宮本賢一
発達腎研究会誌 13(1) 6-10 2005年9月1日
成長期の腎に強く発現し,機能が見られる新規ナトリウム依存性リン酸トランスポーター growth-related Na/Pi(type IIc)を同定し,本分子の生体内での役割を解明するため,type IIaナトリウム依存性リン酸トランスポーターノックアウト(type IIa KO)マウスを用いて実験した.本分子の発現は,腎近位尿細管に高発現しており,特に母乳から通常食に切り替わる時期にtype IIa Na/Piの減少を補っていた.成長とともに本分子の寄与は低下するが,リン制限状態,type IIa KO マウスにおいては,著しい増加を認めた.遺伝性低リン血症モデルマウスにはtype IIaとともに著しい減少が確認された.尚,type IIa Na/Pi トランスポーターが細胞膜から消失した際においても,type IIc Na/Pi トランスポーターは細胞膜に強く局在し,リン酸再吸収を担っていると考えられ,遺伝性低リン血症等で出現するリン酸調節ホルモンの標的分子であることが示唆された