中井 光男, 有川 安信, 古賀 麻由子, 安部 勇輝, 長井 隆浩, 前川 修, 藤岡 慎介, 白神 宏之, 疇地 宏
プラズマ・核融合学会誌 90(11) 659-664 2014年11月
高速点火核融合実験では,高強度レーザーとプラズマの相互作用で発生する高速電子流が,高輝度の高エネルギーX線,光核反応中性子および電磁パルスを放射し,これらがプラズマ診断において障害を引き起こしている.放射線量計測とモンテカルロ・シミュレーションを比較することで,LFEXレーザーに起因する高輝度高エネルギーX線,光核反応中性子および電磁パルスの絶対エネルギー分布と放射角度分布を明らかにし,分布に基づいて計測器の設置位置や不要放射線の遮蔽体を設計した.具体的には,全反射ミラーあるいは高エネルギーX線遮蔽体をX線画像検出器に導入することで,X線画像に重畳するγ線信号を低減した.中性子検出器では,検出器の時間応答特性を改善することでγ線信号と核融合中性子の弁別能を改善し,更に中性子コリメーターを導入することで,高輝度γ線が構造体と光核反応することで発生する光核反応中性子の影響を低減させた.このような過酷なX線・電磁パルス・光核反応中性子の放射環境は,将来の実験炉で想定されるものであり,高強度レーザーを用いたプラズマ実験は,見方を変えると,実験炉における計測技術の開発環境を提供してくれていると捉えることもできる.