横田 正司, 北村 信人, 近藤 英司, 小野寺 純, 河口 泰之, 後藤 佳子, 長宗 高樹, 安田 和則
JOSKAS 40(1) 146-147 2015年3月
遺残組織を温存した解剖学的2束前十字靱帯(ACL)再建術15例を対象に、術前後のpivot shift test時の関節動態を、磁気センサーを用いた無侵襲3次元動作解析システムで定量的に評価した。定量的評価はHoshinoらに準じ、pivot shift現象の際に生じる大腿骨に対する脛骨の最大前方移動量(pCAT)と最大加速度(APT)を用いた。その結果、臨床評価ではKT-2000における膝前方不安定性の患健差、Lysholm score、IKDC評価はいずれも術後に改善した。Pivot shift testにおける定量的評価では、pCATの患健差とAPTの患健差は術後有意に減少した。術後1年の遺残組織量と膝動態との関連については、pCATの患健差においてAMBおよびPMBの被覆量、更にその合計で中等度の負の相関を認めた。以上、移殖腱の遺残組織による被覆量と術後のpivot shift動態に有意な相関を認め、被覆量の多い方が良好な膝安定性を示す傾向があると考えられた。