山本 博徳, 阿部 孝, 石黒 信吾, 内田 恵一, 川崎 優子, 熊谷 秀規, 斉田 芳久, 佐野 寧, 竹内 洋司, 田近 正洋, 中島 健, 阪埜 浩司, 船坂 陽子, 堀 伸一郎, 山口 達郎, 吉田 輝彦, 坂本 博次, 石川 秀樹, 岩間 毅夫, 岡崎 康司, 斎藤 豊, 松浦 成昭, 武藤 倫弘, 冨田 尚裕, 秋山 卓士, 山本 敏樹, 石田 秀行, 中山 佳子
遺伝性腫瘍 20(2) 59-78 2020年9月
Peutz-Jeghers症候群は,食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・粘膜の色素斑を特徴とする希少疾患である.STK11遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とし,常染色体優性遺伝形式をとる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある.本症候群でみられる過誤腫性ポリープは小腸に好発し,ポリープが大きくなると出血,腸閉塞,腸重積の原因となる.初回の消化管サーベイランスは症状がなくても8歳頃を目安に行い,10〜15mm以上の小腸ポリープは内視鏡的ポリープ切除術を行う.消化管,乳房,膵,子宮,卵巣,肺,精巣などに悪性腫瘍の発生が認められ,適切なサーベイランスが必要である.本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう,基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.(著者抄録)