研究者業績

中西 永子

ナカニシ エイコ  (Eiko Nakanishi)

基本情報

所属
兵庫県立大学 看護学部 看護学部 助教

研究者番号
10843013
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-0949-687X
J-GLOBAL ID
202001001463689558
researchmap会員ID
R000009576

経済学士→パッケージデザイン営業→ビル等の中央監視システムの設計・製作・導入を行うシステムベンダーのシステムエンジニア→看護学士→看護師,保健師,医療情報技師→応用情報学修士


論文

 14
  • 粟村 健司, 新居 学, 渡邊 里香, 中西 永子, 真鍋 雅史, 河野 孝典, 芳賀 邦子, 撫養 真紀子, 坂下 玲子, 小野 博史
    日本プライマリ・ケア連合学会誌 46(4) 132-141 2023年12月20日  査読有り
    目的:看護小規模多機能型居宅介護(看多機)に特徴的なサービス情報の発信と運営状況との関係を明らかにする. 方法:介護サービス情報公開システムに公表された全国の看多機のテキスト情報を厚生労働省から入手し,KH Coderを用いて語の使われ方の特徴を分析した.看多機に特徴的である医療依存度や看取りに関する語を使用していた事業所とそれ以外に分け,利用者数や従業員数,サービスの実施状況を比較した. 結果:医療依存度や看取りに関する語を使用していた事業所は,使用していない事業所よりも要介護5の利用者数,看護職員の常勤人数が有意に多く,処置の実施率も人工肛門の1項目を除く,12項目で有意に高かった. 結論:医療依存度や看取りに関する語を発信していた事業所は,より多くの利用者を確保し多様なサービスを展開していることが示唆された.今後は事業所管理者が看多機サービスの理解を深め,運営に反映できるような支援が求められる.
  • 撫養 真紀子, 渡邊 里香, 小野 博史, 中西 永子, 芳賀 邦子, 粟村 健司, 新居 学, 真鍋 雅史, 河野 孝典, 坂下 玲子
    社会医学研究 40(2) 150-165 2023年10月15日  査読有り
    背景・目的:本研究では,先行研究において抽出された看護小規模多機能型居宅介護(以下,看多機)で働く看護師に求められるコンピテンシーの内容と,実際に看多機で働く看護師の優れた看護実践から,コンピテンシーの内容妥当性を検討することを目的とした.方法:看護師や施設管理者11名を対象にフォーカスグループインタビューを2回実施し,コンピテンシー評価指標(大項目・小項目)案の内容妥当性を検討した.結果:その人の希望に沿いながら「生きる」ための支援を重視するという意見から【看取りを支える】は【最期まで「生きる」を支える】に修正された.また【その人を支えるチームをつくる】は,平時から地域資源を活用する必要性の指摘を受けて【その人を地域で支えるチームをつくる】に修正された.家族の介護負担を軽減する支援の重要性から【家族を支える】が新たに追加された.変更のなかった【その人の生活の中で歩み寄りを続ける】【その人や家族の強みを引き出し生活に取り入れる】【個々に合わせ臨機応変にケアを創造する】【命をまもる】【その人の居場所をつくる】と合わせ,大項目は8つとなった.小項目の妥当性についても検討と修正した結果,37項目から48項目となった.考察:フォーカスグループインタビューでは利用者だけでなく家族支援が望まれていた.本調査を経て,看多機で働く看護師のコンピテンシーが精錬され,内容妥当性は確保された.(著者抄録)
  • Hiroshi Ono, Kuniko Haga, EIKO NAKANISHI, Rika Watanabe, Masashi MANABE, Kenji AWAMURA, Takanori Kawano, Manabu Nii, MUYA, Reiko Sakashita
    Asian/Pacific Island Nursing Journal 7 e45779-e45779 2023年5月9日  査読有り
    <jats:sec> <jats:title>Background</jats:title> <jats:p>Japan is a superaging society unparalleled in the world. Elderly people who need medical care do not receive adequate support in the community. As a new service to address this issue, a small-scale multifunctional in-home care nursing service called Kantaki was created in 2012. Kantaki, in collaboration with a primary physician, operates 24 hours a day and provides various nursing services (home visits, home care, day care, and overnight stays) to older people living in the community. The Japanese Nursing Association is working hard to promote this system; however, its low utilization rate is an issue.</jats:p> </jats:sec> <jats:sec> <jats:title>Objective</jats:title> <jats:p>This study aimed to determine factors influencing the utilization rate of Kantaki facilities.</jats:p> </jats:sec> <jats:sec> <jats:title>Methods</jats:title> <jats:p>This was a cross-sectional study. A questionnaire on the operation of Kantaki was sent to all administrators of Kantaki facilities operating in Japan from October 1 to December 31, 2020. A multiple regression analysis was used to determine factors associated with a high utilization rate.</jats:p> </jats:sec> <jats:sec> <jats:title>Results</jats:title> <jats:p>Responses from 154 of the 593 facilities were analyzed. The average utilization rate for all valid responding facilities was 79.4%. The average number of actual users and the break-even point were almost equal, resulting in little surplus profit from facility operations. A multiple regression analysis showed that factors that had a significant impact on the utilization rate included the break-even point, a surplus of users relative to the break-even point (ie, the margin of revenues), the number of months in office of the administrator, the type of corporation (ie, nonprofit), and Kantaki’s profit from operating home-visit nursing offices. The break-even point, a surplus of users relative to the break-even point, and the number of months in office of the administrator were robust. In addition, support for reducing the burden on family helpers, a service sought by the system, significantly and negatively affected the utilization rate. In the analysis that removed the most influential factors, the cooperation of the home-visit nursing office, Kantaki’s profit from operating the home-visit nursing office, and the number of full-time care workers were significantly related.</jats:p> </jats:sec> <jats:sec> <jats:title>Conclusions</jats:title> <jats:p>To improve the utilization rate, managers need to stabilize their organization and increase profitability. However, a positive relationship was found between the break-even point and utilization rate, suggesting that simply increasing users did not contribute to cost reduction. Moreover, providing services that meet the needs of individual clients may result in lower utilization rates. These results, which are inconsistent with common sense, reflect the divergence between the assumptions underlying the system’s design and actual conditions. To solve these issues, institutional reforms, such as an increase in nursing care fee points, may be necessary.</jats:p> </jats:sec>
  • 中西 永子, 高見 美樹, 石垣 恭子
    医療情報学 42(6) 249-262 2023年4月  査読有り筆頭著者
    本研究の目的は,ベテラン看護師と新人看護師の電子カルテからの情報収集の時間,範囲,量の違いを明らかにし,新たな評価手法を提案することである.研究対象者は模擬患者について電子カルテから日勤勤務前の情報収集を行った.情報収集の様子は視線計測機を用いて録画を行い,情報収集の時間,範囲を明らかにした.情報収集終了後,研究対象者へインタビューを行い,最終的に把握した患者情報の量を明らかにした.結果,「看護記録」の平均注視時間がベテラン群より新人群が長く,両群の有意差を認めた.情報収集の範囲は,ベテラン群は必要だと考える情報を選択し,新人群より多く画面を切り替えて注視していたが,新人群は1つの内容を集中的に,時間をかけて情報収集を行っていた.情報収集の量は,「薬物療法」に関する内容は両群とも多かったが,「今後の予測」に関する内容はベテラン群が新人群より平均値が高く,両群の有意差を認めた.(著者抄録)
  • 渡邊 里香, 撫養 真紀子, 中西 永子, 芳賀 邦子, 小野 博史, 粟村 健司, 真鍋 雅史, 新居 学, 河野 孝典, 坂下 玲子
    Phenomena in Nursing 7(1) R20-R29 2023年  査読有り
    【目的】看護小規模多機能型居宅介護(以下,看多機)は,訪問看護・介護,通所,宿泊サービスを臨機応変に組み合わせ,医療ニーズにも対応するという多様な機能をもつため,既存の看護提供施設とは異なる能力が求められると考えられる。看多機でのより質の高い看護を展開できるような行動指標の開発を目指し,本研究では,研究者らが先行研究にて明らかにした看多機看護師のコンピテンシーについて,定量的な内容妥当性の検討を行うことを目的とした。【方法】2020年9月時点の全看多機で勤務している看護師に対し,自記式質問紙調査を実施した。質問内容は看多機看護師のコンピテンシー(8カテゴリー,48サブカテゴリー)についての重要性であり,記述統計を行った。【結果】国内全看多機の看護師498人へ調査票を配布し217人から回答を得,回収率は36.5%であった。48サブカテゴリーのうち,ほぼすべての項目において9割以上の人が「とても重要」「重要」と回答し4点満点中,平均値3.4点以上でったため,重要であるという評価であった。特に,【その人や家族の強みを引き出し生活に取り入れる】【個々に合わせ臨機応変にケアを創造する】【命をまもる】【最期まで「生きる」を支える】【その人を地域で支えるチームをつくる】は,複数の項目において,平均値3.8点以上と高い点数であった。【結論】先行研究で抽出し専門家により精錬された8カテゴリー,48サブカテゴリーからなる看多機看護師のコンピテンシーについて定量的な内容妥当性が確認された。療養者を取り巻く家族や地域のあり方が多様化する中で,最期まで住み慣れた場所で暮らしていくためには,看護師が中核となり療養生活を支える役割があることが確認された。(著者抄録)
  • 中出 麻紀子, 森本 雅和, 新居 学, 中西 永子, 笹嶋 宗彦, 小野 博史, 河野 孝典, 谷田 恵子, 坂下 玲子
    Phenomena in Nursing 7(1) R10-R19 2023年  査読有り
    【目的】本研究では,2型糖尿病が強く疑われる人とそうでない人の生活習慣の比較を行うことを目的とした。【方法】A市において2008年度から2019年度までに国民健康保険の健康診査を受診した30歳以上の男女のうち,解析項目に欠損がある人,既に生活習慣改善に取り組んでいる人を除く10,401名を解析対象とした。糖尿病が強く疑われる人を「HbA1c(NGSP値)が6.5%以上かつ/または血糖値を下げる薬の服薬ありの人」と定義し,χ2検定を用いて糖尿病の疑いの有無の2群間で生活習慣の比較を行った。その後,糖尿病が強く疑われる/それ以外を従属変数,各生活習慣項目を独立変数,性別と年齢で調整した二項ロジスティック回帰分析を行った。解析は65歳未満と以上で行った。【結果】二項ロジスティック回帰分析の結果,65歳未満の対象者においては,日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していない人,他の人と比較して食べる速度が速い人,就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある人は,そうでない人と比較して糖尿病が強く疑われる人のオッズ比がそれぞれ1.69倍(95%信頼区間:1.22-2.32),1.31倍(1.01-1.72),1.52倍(1.12-2.07)であった。一方,お酒を時々あるいは毎日飲み,かつ1日当たり1~2合飲む人では,ほとんど飲まない・飲まない人と比較して糖尿病が強く疑われる人のオッズ比が0.65倍(0.46-0.92)であった。65歳以上の対象者では,日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していない人,ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速くない人,他の人と比較して食べる速度が速い人は,そうでない人と比較して糖尿病が強く疑われる人のオッズ比がそれぞれ1.41倍(1.18-1.70),1.21倍(1.01-1.45),1.29倍(1.09-1.53)であった。【結論】本研究より,糖尿病予防のためには65歳未満,65歳以上の人に共通して身体活動を行うこと,早食いをしないことが重要であり,加えて65歳未満の人では就寝前2時間以内の夕食摂取に注意すべきことが示唆された。(著者抄録)
  • 坂下 玲子, 撫養 真紀子, 小野 博史, 渡邊 里香, 芳賀 邦子, 粟村 健司, 真鍋 雅史, 新居 学, 中西 永子, 河野 孝典
    日本看護科学会誌 41 665-673 2021年12月  査読有り
    目的:看護小規模多機能型居宅介護(以下,看多機)で働く看護師の行動特性を明らかにする. 方法:看多機の施設長から推薦された看護師29名を対象に行動結果面接法を参考に半構造的面接を行い質的記述的に分析した. 結果:看多機で働く看護師の成果は,【利用者・家族の生活の質の向上】【利用者・家族に提供するケアの質の向上】の2カテゴリーと8サブカテゴリー抽出された.これら成果につながる行動特性として【その人の生活の中で歩み寄りを続ける】【その人や家族の強みを引き出し生活に取り入れる】【個々に合わせ臨機応変にケアを創造する】【命をまもる】【看取りを支える】【その人の居場所をつくる】【その人を支えるチームをつくる】の7カテゴリーと37サブカテゴリーが抽出された. 結論:今回抽出された看護師の行動特性によって,最期まで住み慣れた自宅や地域で暮らし続けていくという看多機の役割が促進されることが期待される.
  • Rika WATANABE, Eiko NAKANISHI, Kuniko HAGA, Hiroshi ONO, Makiko MUYA, Kenji AWAMURA, Masashi MANABE, Manabu NII, Takanori KAWANO, Reiko SAKASHITA
    Asian Journal of Human Services 20 34-47 2021年4月  査読有り
    Objectives: In order to cope with a rapidly aging national population, the Japanese government promotes the use of a comprehensive community care system known as Kantaki, which was established in 2012. Aimed at older populations, Kantaki offers a variety of services, including home-visit nursing care, day care, and overnight care. This study clarified the factors that affect the estimated revenue of Kantaki services through a secondary analysis of detailed information released by the Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW). Our goal was to provide information that may facilitate the stable management of Kantaki operations across Japan. Methods: We conducted a secondary analysis of official statistics data and detailed information released by the MHLW in April 2020. As such, we calculated the estimated revenue for Kantaki services. We then conducted a logistic regression analysis with estimated revenue set as the dependent variable in order to assess the magnitude of each influencing factor. Results: A total of 594 multifunctional in-home long-term care services were established. Of these, 506 met the requirements for Kantaki set in this study’s analysis. The logistic regression analysis showed that items with large odds ratios included tube feeding (2.59), enhanced working conditions for care workers (I) (2.58), and colostomy/ileostomy care (1.76). Conclusion: To achieve stable management practices for Kantaki, it is important to handle at-home medical needs through the use of skilled care workers, who must be properly trained and ensured stable employment.
  • 高見 美樹, 西海 英子, 中西 永子, 酒井 喜久子, 石垣 恭子
    医療職の能力開発 8(1) 18-26 2021年3月  査読有り
    電子カルテシステムの導入率は上昇傾向にあると報告されている。看護師は最善のケアの提供を目的に、看護研究を継続教育の一環として取り組んでおり、電子カルテシステムに入力されている看護に関するデータ活用に向けて、看護師にもデータ収集や処理に関する知識が必要になっている。そこで本研究では、データ処理研修における教育効果および、データ処理研修に教育用電子カルテを用いた効果を明らかにすることを目的とした。調査対象者は、電子カルテシステムが導入された400床未満の2病院に勤務する看護研究の指導者となりうる看護師で、所属病院の看護師長等により人選された者である。データ処理研修では教育用電子カルテを用いた効果を明らかにするために、2つのうち1病院で、教育用電子カルテを用いた演習を実施した。研修受講者数は62名、教育用電子カルテを使用した演習を受講した群20名、教育用電子カルテを使用しない演習を受講した群42名であった。研修終了後、受講前後の理解度を比較した結果では受講後の平均点が有意に高く、教育用電子カルテを使用した演習の有無による受講前後の理解度を比較した結果では、教育用電子カルテを使用した演習を受講した群の平均点が有意に高かった。これらの結果から、データ処理研修の教育効果および、教育用電子カルテを用いた演習が研修内容の理解を促す効果が示唆された。(著者抄録)
  • Sho Yamada, Reiko Sakashita, Mikinori Ogura, Eiko Nakanishi, Takuichi Sato
    Dentistry journal 9(2) 2021年2月1日  査読有り
    This longitudinal study aimed to clarify the relationship of oral health in infancy with that in adulthood among participants who were the subjects of the oral health promotion project (OHPP) conducted in Miyako Island, Okinawa Prefecture, Japan, since 1984. Twenty-seven subjects, around 35 years of age, were examined for dental caries, periodontal diseases (community periodontal index), dental plaque, occlusion, and bite-force and compared with those at 4 and 13-15 years of age. The dental caries status and maximum bite force in adulthood was significantly reflected for those at 4 and 13-15 years of age (p < 0.05). CPI in adulthood was related to the dental caries status at 4 and 13-15 years of age but not to the gingival score at 4 years of age, and it was weakly related to the gingival score at 13-15 years (r = 0.264, p > 0.05). Most of the normal occlusion at 4 years of age became normal permanent occlusion in adulthood (88.9%). Most of the cases involving the discrepancy factor retained the same condition in both the deciduous and permanent dentitions (83.3%) (p < 0.001). Those who participated in the OHPP soon after birth showed significantly fewer DMFT (p < 0.05) compared with those who did not. This study revealed that oral health at 4 years of age was related to that in adulthood, suggesting that fostering good oral health soon after birth is of great importance.
  • 高見 美保, 坂下 玲子, 川田 美和, 中西 永子, 小野 博史, 河野 孝典, 武内 玲, 西池 絵衣子, 中筋 美子, 永坂 美晴
    Phenomena in Nursing 5(1) O1-O9 2021年2月  査読有り
    【目的】健やかな地域生活を促進するためのプログラムへの参加高齢者に対する,COVID-19の感染拡大防止対策の影響と,それによって生じた身体状況及び生活状況の変化を明らかにすることである。【方法】プログラム開始前,プログラム実施6ヵ月後,再開時の3回分の評価が揃っている参加高齢者13名(全員女性,平均年齢80.5歳)を対象とし,身体状況の計測値と生活状況の変化について分析した。【結果】プログラム開始前,プログラム実施6ヵ月後,再開時の比較で,体重,骨密度,2ステップテスト値に有意な変化が確認された。体重は51.4kg,49.1kg,51.2kgと変化し(p=.013),介入前と再開時の比較に減少が認められた。また,骨密度は66.0g/cm2,76.0g/cm2,73.2g/cm2と変化し(p=.013),介入前と介入6ヵ月後の比較で上昇が認められ,2ステップテスト値も0.9,1.1,1.0と変化し(p=.018),介入前と介入6ヵ月後の比較で上昇が認められた。また,生活上の変化として「体調に問題ない」と「外出を控えた/頻度が減少した」の回答者数は同数だったが,その半数に「足腰の弱りを自覚する」状況があり,転倒や骨折による入院に至ったケースもあった。【結論】本研究の結果より,COVID-19の感染拡大による半年以上の健やかな地域生活を促進するためのプログラム休止は,参加高齢者の外出頻度を低下させ,運動機能に影響を与えたことが分かった。高齢者にとって低下した運動機能を引き上げることは容易ではなく,骨折など受傷に伴う入院は廃用性症候群を引き起こす可能性もある。今後は感染対策下であっても,高齢者の活動の場を確保できるような新たな交流方法を整備するとともに,地域で生活する高齢者に持続的にアプローチできる支援活動が必要である。(著者抄録)
  • 渡邊 里香, 小野 博史, 芳賀 邦子, 真鍋 雅史, 粟村 健司, 撫養 真紀子, 新居 学, 中西 永子, 坂下 玲子
    Phenomena in Nursing 4(1) O11-O19 2020年  査読有り
    【背景】高齢化率の進展に伴い,地域包括ケアシステムが推進されている。2012年より,複合型サービス(現在名称は,看護小規模多機能型居宅介護,以下看多機)が創設され,訪問看護・訪問介護,通所,宿泊を組み合わせて包括的な生活支援ができるサービスが展開されているが,全国規模での開設・運営状況の情報は明らかにされていない。【目的】全国の看多機に関する情報や人口動態に関する情報を用いて,看多機の運営状況や開設地域の特徴を明らかにすることである。【方法】「介護事業所・生活関連情報検索」のウェブサイトを用いて,2018年12月31日の時点で登録されている全看多機を対象とし施設属性,運営状況,従業員情報等を抽出した。また,同ウェブサイトから都道府県別の看多機数,小規模多機能型居宅介護数(以下,小多機数),訪問看護事業所数を抽出した。「国勢調査」等から都道府県別の高齢化率,人口密度,人口の情報を収集した。分析は度数分布・記述統計分析,スピアマンの相関係数を用いた相関分析とした。【結果】全国の看多機数は479であった。都道府県別の看多機数は平均10.19±10.51であった。市町村別でみると,1724の市町村のうち233(13.5%)に看多機が所在した。看多機数と有意な相関(相関係数ρ)を認めたのは,小多機数(.765),訪問看護事業所数(.747),人口(.703),人口密度(.513)が正の相関,高齢化率(-.442)が負の相関であった。【考察】地域別の看多機数には大きなばらつきがみられ,高齢者の割合の高い地域ではなく,人口の多い地域や人口の密集した地域に多く開設されていた。過疎地では職員確保やサービス供給コストが影響する可能性があると考えられる。今後,どの地域でも安定して看多機が運営され,拡大するためには,現在生じている運営課題を明らかにしていくことが重要であると考えられる。
  • Reiko Sakashita, Hiroshi Ono, Takuichi Sato, Miho Takami, Woesook Kim, Eiko Nakanishi, Hiroyuki Kusumoto, Masayo Hamasaki, Misao Hamada
    Asian / Pacific Island Nursing Journal 5(2) 63-72 2020年  査読有り
    This study evaluated the effectiveness of a life-enhancement program designed to focus on dining conditions in welfare facilities for seniors living in Japan. Effectiveness was specifically evaluated based on whether improvements were achieved in (1) nutritional status, (2) oral health, (3) frequency of fever, and (4) vitality of appetite across three sites. As part of a comprehensive-care initiative that began with dining support, the program consisted of two main components: (1) a 3-month intensive program comprised of (a) collective experiential learning for residents and staff (including nutritionists, nurses, and physiotherapists) and (b) a tailor-made individual program for residents followed by (2) a 3-month continuation program. Participants included 168 individuals (31 males and 137 females) from a total of three facilities (average age was 85.9 [60-104] years). Results showed that the intensive program significantly improved nutritional status (e.g., BMI, caloric intake, and water intake; P < 0.000-0.005) and tongue movement (P < 0.000) while significantly reducing dental-plaque and tongue-coating indices (P < 0.000). Significant improvements were also achieved for degree of appetite and vitality indices (P < 0.000-0.001). However, incidences of fever were not reduced. These findings indicate that the program effectively improved nutritional status, oral health, vitality, and appetite. However, these effects did not sufficiently remain once the program was finished, thus suggesting the need for a continuous intervention.
  • 小野 博史, 中西 永子, 濵上 亜希子, 坂下 玲子
    Phenomena in Nursing 3(1) 1-13 2019年9月  査読有り
    【目的】看護学の発展のためには研究や実践と密接にリンクする理論が必要であることから, Situation Specific Theory(状況特定理論 以下,SST)という新しいタイプの理論が提案され,20年が経った。本研究では文献レビューを通して,SSTに関する論文数や内容の変遷,構築手法や活用された情報源を分析することを通じてSST構築の発展経過を明らかにするとともに,SST構築の今後の展望を得ることを目的とする。【方法】CINAHL,PubMed,医学中央雑誌を用い,国外誌には"situation specific theory" situation specific theories"をキーワードとし,国内誌にはさらに「状況特定理論」を加えて検索を行い,88件の論文が抽出された。スクリーニングを経て得られた50件の論文を対象とし,論文の発行年や論文内容で分類を行った。さらにSSTを構築した論文に対して,理論の構築手法と活用した情報源の分析を行った。【結果】英語論文は47件あり,理論構築,概念分析,理論の下位レベル概念の明確化,理論検証,理論を枠組みとした研究,総説・解説の6種類に分類された。また,論文の公表数は年代を経るにつれて増加していた。SSTとして構築された理論が検証され,研究の枠組みとして使われ,看護学の知の構築に貢献している状況が明らかとなった。SSTの構築が行われた論文は23件で,いずれも特定の領域や対象に限局された現象を取り扱っていた。構築手法としては統合的アプローチが最も多かったが,それ以外の手法を用いた論文も認めた。構築の情報源として,既存の理論,研究データ,文献レビューが多く活用されていた一方で,実践経験の活用は少なかった。【結論】SSTは数を増やし続けており,理論検証やSSTを枠組みとした研究もおこなわれ,これから看護学領域内での認識が拡大していくものと予想される。また,統合的アプローチ以外の構築手法も出現していることから,今後はより多様なアプローチを通して,より多くのSSTが生み出されていくことが期待される。

MISC

 7
  • Eiko NAKANISHI, Hiroshi ONO, Takanori KAWANO, Reiko SAKASHITA
    Health Emergency and Disaster Nursing 10(1) 46-48 2023年3月31日  査読有り筆頭著者
  • 坂下 玲子, 中西 永子
    看護管理 32(4) 276-282 2022年4月  
    <文献概要>本稿では,日本看護質評価改善機構が提供する「看護ケアの質評価・改善システム」の特徴について解説する。その上で,このシステムおける得点分布がどうなっているか,項目ごとの関連性を解説し,この評価ツールを用いることで,どのように自主的な質改善運動が創出されるかを紹介する。
  • 坂下 玲子, 小野 博史, 中西 永子
    看護研究 55(1) 58-68 2022年2月  
    <文献概要>はじめに 本稿においては,私たちが状況特定理論構築にチャレンジした過程を示したい。本稿のねらいは,誰でも気軽に理論構築に取り組めるように,その道筋を示すことである。本理論の素材は,2012年より日本学術振興会科学研究費の助成を受けた「食からはじめる高齢者福祉施設における生活の再構築」の研究において,介入モデルを展開したときから形づくられてきた。しかし,理論という形にしようと考えたのは,2019年にDr. Imから状況特定理論の本を出版するので執筆しないかと,お声をかけていただいたのが契機だ。それまで,上記の介入モデルは理論に近いものと考えていたが,実際に理論に仕立てる過程でこれまで不足していた多くのことを学び,違う地平線をみることができた。特に,理論の前提,哲学的な背景を明確にすること,理論の要素をひとつずつ吟味し見直すことで,どのような看護介入を実践しようとしたかがより明確になった。本理論は英文で出版するために構築したので,英文のタイトル「Dining supports for life enhancement at welfare facilities for seniors in Japan(DLWS理論)」が先につけられた。日本語では,「高齢者福祉施設での活き活きとした暮らしを支えるための食支援理論」という意味である。なお,本理論の詳細は,前述の成書(Sakashita, Ono, & Nakanishi, 2021)を参照してほしい。
  • 坂下 玲子, 森本 雅和, 新居 学, 中西 永子, 小野 博史, 谷田 恵子, 河野 孝典, 笹嶋 宗彦, 中出 麻紀子
    Phenomena in Nursing 6(1) S5-S11 2022年  
    本学(県立大学)看護学部のプロジェクト「ビッグデータを活用した健康リスク予測と高度看護介入による新たなデータヘルス・システムの開発」の一環として実施した、糖尿病の悪化を予測するためのアルゴリズムの開発と特定保健指導で活用可能なアプリケーションの開発について報告した。糖尿病悪化予測アルゴリズムの開発は、A市の平成12年(2000年)から平成31年(2019年)までの健診データ19750人分をもとに、過去2回分のデータから3回目の糖尿病の総合判定の予測を行った。1回目のデータを「過去データ」、2回目のデータを「現在データ」、3回目のデータを「未来データ」とし、検査項目を「基本データ」「診断データ」「アンケートデータ」と区分し、区分ごとに「過去データ」「現在データ」「未来データ」「過去→現在への変化データ」「現在→未来への変化データ」に分け、3回目である「未来データ」が悪化するかしないかを機械学習などを用いた。上記のアルゴリズムを用いて糖尿病の悪化および発症のリスク変化を提示し、生活習慣の改善の動機づけとすることを目的に、保健指導アプリを構築した。その結果、糖尿病悪化予測アルゴリズムでは、「判定の悪化」を予測対象としてしまったため、判定が一段階悪化したばかりの者は次回に悪化しにくく、良いスコアが表示されてしまう結果となり、これだけでは生活習慣改善の動機づけにつながらないことが分かった。
  • Hiroshi ONO, Eiko NAKANISHI, Rika WATANABE
    Health Emergency and Disaster Nursing 2021年  

書籍等出版物

 2

講演・口頭発表等

 27

所属学協会

 6

共同研究・競争的資金等の研究課題

 5

社会貢献活動

 5