佐々木 琴美, 吉村 美紀, 島田 良子, 江口 智美, 桑野 稔子
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2022年9月2日 日本調理科学会
【目的】本研究では、大豆たんぱく質、大豆多糖類を用いて、嗜好性が高く、高齢者のフレイル予防に繋がる食パンを創製し、その物性・嗜好性・咀嚼性・自律神経の関連性を検討した。
【方法】試料は、通常の小麦粉(W)を用いた食パン(C、コントロール)と、大豆たんぱく質(SPI)と大豆多糖類(SPS)の混合比の異なる食パン(SP1、SP2 、SP3)を用いた。W、SPI、SPSの混合比はC=W 250 g、SP1=W 220 g +SPI 30 g、SP2=W 210 g+SPI 30 g+SPS 10 g、SP3=W 200 g+SPI 30 g+SPS 20 gとした。食パンの測定項目は、膨化率、テクスチャー測定、外相・内相の表面色測定とした。高齢者(n=12, 73.4±4.6歳)による官能評価、咀嚼筋電位測定、加速度脈波測定を行った。
【結果・考察】Cと比較し、SP1は膨化率が下がり硬く、内相色の黄みが強く明るくなった。SP2とSP3では、膨化率がやや上がり、軟らかかった。官能評価では、Cと比較し、SP1は硬く、SP2とSP3はSP1より軟らかいと評価され、テクスチャー測定と類似した結果を得た。嗜好性に関しては、SP1とSP3は好まれなかった。嗜好性の高かったCとSP2を用いて、咀嚼筋電位測定と加速度脈波測定を行ったところ、差は認められなかった。SP2は、大豆たんぱく質と大豆多糖類を含み、嗜好性が高く、常食として食べることが可能な食パンであると考えられる。