鷲見 和彦, 内田 誠一, 佐藤 真一, 佐藤 洋一, 日浦 慎作, 福井 和広, 馬場口 登
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers 92(8) 665-675 2009年8月1日
パターン認識・メディア理解分野において,次の10年に解くべき問題として,画像生成過程が不確定的な場合のモデル化,統計モデルの困難さの克服,及び,意味・内容にかかわる問題がある.このような技術要素を含み,科学技術として挑戦する度合いが高く,かつ,成功した場合の社会的な波及効果が大きいことを基準に,今後10年間にチャレンジすべき重要テーマを例示した.これらは,人間の行動の認識・理解・評価,画像情報の関連付けと全自動構造化,視覚情報からの意味ある情報を抽出,人に不足する視覚情報の検出と提示,状況観察による危険予知,健康・医療における画像診断,人の観察による環境認識,一般情景内に存在する文字の認識,地球規模のセンサから得られる膨大な情報の処理,そして最終的には,画像に対する意味の記述を人と同じレベルで可能にすることである.本稿では,この10大チャレンジテーマについて具体的に解説した.