研究者業績

木本 幸憲

キモト ユキノリ  (Yukinori Kimoto)

基本情報

所属
兵庫県立大学 環境人間学部 准教授
東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 共同研究員
学位
博士(人間・環境学)(2017年7月 京都大学)

J-GLOBAL ID
201901006447136787
researchmap会員ID
B000366433

論文

 36
  • 木本幸憲
    新しい認知言語学―言語の理想化からの脱却を目指して―(渋谷良方・吉川正人・横森大輔 編) 2024年9月  
  • Ewing, Michael, Yukinori Kimoto
    The Oxford Guide to the Malayo-Polynesian Languages of South East Asia (Edited by Alexander Adelaar and Antoinette Schapper) 2024年7月  
  • Yukinori Kimoto, Asako Shiohara, Danielle Barth, Nicholas Evans, Norikazu Kogura, I Wayan Arka, Desak Putu Eka Pratiwi, Yuki Kasuga, Carine Kawakami, Keita Kurabe, Heiko Narrog, Hiroki Nomoto, Hitomi Ono, Alan Rumsey, Andrea C. Schalley, Yanti, Akiko Yokoyama
    Special issue of Language Documentation and Conservation No. 12 Social Cognition Parallax Interview Corpus (SCOPIC) 2024年5月  査読有り筆頭著者
  • 木本幸憲
    日本認知言語学会論文集 24 508-513 2024年3月  筆頭著者
  • 木本幸憲
    境界と周縁:新しい社会言語学の地平(仮)(三宅和子 編) 2024年  
  • 木本幸憲
    境界と周縁:新しい社会言語学の地平(仮)(三宅和子 編) 2024年  
  • 木本幸憲
    『Homō loquēns:しゃべるヒト』 136-141 2023年3月  筆頭著者
  • Shiohara, Asako, Kimoto, Yukinori
    アジア・アフリカの言語と言語学 16 1-7 2022年3月31日  
  • Kimoto, Yukinori
    アジア・アフリカの言語と言語学 16 9-44 2022年3月31日  査読有り筆頭著者
  • Narrog, Heiko, Yokoyama, Akiko, Kimoto, Yukinori
    アジア・アフリカの言語と言語学 16(1) 133-163 2022年3月31日  査読有り
  • Kimoto, Yukinori, Kogura, Norikazu, Evans, Nicholas, Barth, Danielle
    1-14 2022年1月  筆頭著者
  • Barth, Danielle, Evans, Nicholas, Arka, I Wayan, Bergqvist, Henrik, Forker, Diana, Gipper, Sonja, Hodge, Gabrielle, Kashima, Eri, Kasuga, Yuki, Kawakami, Carine, Kimoto, Yukinori, Knuchel, Dominique, Kogura, Norikazu, Kurabe, Keita, Mansfield, John, Narrog, Heiko, Pratiwi, Desak Putu Eka, van Putten, Saskia, Senge, Chikako, Tykhostup, Olena
    Language Documentation & Conservation Special Publications No.25: Doing Corpus-Based Typology With Spoken Language Corpora (Edited by Geoffrey Haig, Stefan Schnell, and Frank Seifart) 179-232 2022年1月  査読有り
    There is a long tradition in linguistics of seeing each language as a powerful factor setting out predetermining grooves in how people express themselves. But how strong is this effect? We know that despite the forces of linguistic habit people nonetheless enjoy some freedom in formulating their thoughts. Canwe measure the relative contributions of language structures and individual variation to how people formulate statements about the world? Do accounts of typological differences need to take individual variation into account, and is such variation more prevalent in some kinds of linguistic domains than others? In this paper, we deploy a parallax corpus across thirteen languages from around the world and explore four case studies of linguistic choice, two grammatical and two semantic. We assess whether differences are accounted adequately just by individual participant variation, just by language information, or whether taking into account both helps account for the patterns we see. We do this through comparisons of statistical models. Our results make it clear that participants using the same language do not always behave similarly and this is especially true of our semantic variables. We take this to be a strong caution that the behaviour of individual participants should be considered when making typological generalisations, but also as an exciting outcome that corpus typology as a field can help us account for intra- and inter-language variation.
  • 木本幸憲
    動的語用論の構築へ向けて(田中廣明・秦かおり・吉田悦子・山口征孝 編) 3 19-44 2021年5月  査読有り筆頭著者
    本稿は、言語理論、記述言語学のなかで、取り扱いが難しいとされてきた、フィリピンのヴォイス体系について、量的データを元に分析を行った論文である。フィリピンのルソン島北部ではなされるアルタ語のテキストを、Geoffrey HaigとStefan Schnell氏によって開発されたGRAIDと呼ばれるテキストのタグ付けシステムでアノテーションを行い、それを分析した。その結果、個々のヴォイス(行為者ヴォイスと受影者ヴォイス)の情報構造的・意味論的差異が量的に示せることを明らかにした。
  • 木本幸憲
    カルチュラル・グリーン 2 77-96 2021年3月  査読有り筆頭著者
    本稿では、当該言語が言語記号によってどのように世界をカテゴリー化しているかについて、動植物名詞から派生して作られる動詞に着目して分析を行った。この研究では、フィリピンで話されている4つの言語、アルタ語、カシグラン・アグタ語(伝統的に狩猟採集文化を有する話者集団の言語)と、イロカノ語、カンカナウイ語(農耕文化の言語)を分析した。それによってフィリピンの言語が共通して持っている派生動詞の意味に関する特徴、そして狩猟採集文化、農耕文化という生活様式の違いがもたらす分節化の違いを調査した。その結果、4つの言語に共通して、有益な動植物、有害な動植物、不要・無益な部位、動植物の成長部位、という4つの意味的区分によって、派生動詞の意味が予測できることを明らかにした。一方で、狩猟採集文化、農耕文化の違いは、主に、動物から派生する動詞が「〜を狩猟する」という意味になるかどうかの違いに影響するが、その他のカテゴリーにおいては両文化の差は見られないことが分かった。
  • 木本幸憲
    社会言語科学 23(2) 35-50 2021年3月  査読有り筆頭著者
    言語学では1990 年代から消滅の危機に瀕する言語についての研究が精力的に行われ,言語ドキュメンテーションや言語復興運動など関連する取り組みも盛んに行われている.本論文ではこれに対し,本来多面的で複雑な事象であるはずの危機言語の問題が過度な単純化を持って取り扱われてきたことを明らかにする. ここでは事例研究として,フィリピンにおいて,10 人の母語話者によってしか話されていないアルタ語を取り上げ,その社会言語学的活性度と消滅のプロセスを詳述する.具体的には,アルタを取り巻く多言語社会では,国語,公用語ではなく,相対的に大きな言語コミュニティの言語へのシフトが起こっていること,その言語シフトには,同じ狩猟採集民であるという文化的アイデンティティが関与していることを明らかにする.さらにアルタにとっての言語シフトは,周辺のマジョリティに柔軟に対処するために戦略的に選択されていることを論じ,危機言語を悲観的に評価する従来の態度は相対化されるべきであることを指摘する.
  • 木本幸憲
    認知言語学と談話機能言語学の有機的接点:用法基盤モデルに基づく新展開(中山俊秀・大谷直輝 編) 321-353 2020年12月  筆頭著者
    外国語話者に限らず、母語話者であっても、語彙を忘れて、コミュニケーション上の些細な非流暢性に遭遇することはままある。本論文では、日本語、英語ほか、アルタ語という言語では、そのようなときに彼らがどのようなストラテジーを使って切り抜けているのか、そこには母語話者特有の「流暢な非流暢さ」あることを指摘した。特にアルタ語ではwaという代替語を当該文脈に埋め込み、必要に応じてジェスチャーで補足することで、相手の理解を促し、そのような場面を切り抜けていることを実証的に論じた。
  • Yukinori Kimoto
    Journal of Japanese Linguistics 36(2) 291-303 2020年11月  招待有り筆頭著者
  • 木本幸憲
    Multi-CAST: Multilingual corpus of annotated spoken texts 2019年8月  筆頭著者
  • 木本幸憲
    ELAN入門:言語学・行動学からメディア研究まで(細馬宏通・菊池浩平 編) 172-203 2019年6月  筆頭著者
    ELANとは、話し言葉や映像を扱う際の書き起こしソフトウェアである。本論では、ELANがいかに今日の言語研究に重要であるかを、言語研究の学史を振り返りながら論じ、研究未開発言語におけるELAN使用の有効性を5点指摘した。その上で具体的な使用方法について著者の研究対象であるアルタ語を例に解説した。特に他のソフトウェアとのインターフェース、書き起こしたデータのアーカイブ化を念頭に置いた使用方法について解説を行った。
  • 木本幸憲
    Asian and African Languages and Linguistics 12 17-35 2018年3月  査読有り招待有り筆頭著者
    フィリピンの言語は、その特異性から、通言語的な比較研究になじまないとされていた。本論では、フィリピンの言語であるアルタ語を先行研究とデータに即して能格言語であると見なすことで、GRAIDアノテーションという通言語的な比較研究の対象となることを示した。またそれを踏まえて、アルタ語のデータにGRAIDアノテーションをする際に問題となる個別事象、特に動詞クラス、名詞句構造、複文構造、を概説し、それをどのように実装するかについて論じた。
  • 木本幸憲
    博士論文 2017年7月  筆頭著者
  • 木本幸憲
    Asian and African Languages and Linguistics 11 79-94 2017年7月  査読有り招待有り筆頭著者
    研究未開発言語における文法記述は、その前段階であるデータ収集が必須の作業であるが、そのデータ収集の方法論はこれまで詳しく取り扱われてこなかった。本稿では、言語使用の場面を詳細に記録する方法論が確立することが、言語学のみならず、言語発達、社会学(エスノメソドロジー、会話分析)、そして文化人類学にとっても有益であることを論じ、その具体的な方法論について、理論面から、ソフトウェアの扱い方に至るまでの実践的な側面に至るまで詳述した。
  • 木本幸憲
    Journal of Southeast Asian Linguistic Society: Special Publication No. 1. Issues in Austronesian Historical Linguistics 1-22 2017年7月  査読有り筆頭著者
    アジア・太平洋地域の広範囲で話されているオーストロネシア語族の言語は、母音の長さに関する研究が極めて少ない。本論文では、フィリピンのルソン島で話されているアルタ語における長母音と短母音の区別の歴史的発達をモーラ(拍)の観点から説明した。アルタ語は、かつては母音の長短の区別を有していたが、それが一旦消失した後、代償的長音化と母音融合によって、長母音をもつ音節が発達した。それには拍の長さを保つというモーラの原則が関与していると想定して初めて説明できることを示した。
  • 吉川正人, 木本幸憲, 岡本雅史, 佐治伸郎
    社会言語科学 19(2) 87-92 2017年3月  査読有り
    本論文は、社会言語科学会第38回研究大会で行われた同名のワークショップを総括すると共に、社会言語学における理論やモデルという抽象的装置の有効性について論じた。木本の担当セクションでは、言語研究をする際の理論のあり方について、理論的一般化と記述との間に通現象的一般化という考えがあることを紹介し、通現象的一般化は理論的な中立性は保ちつつも、どの理論に依拠していても考慮すべき現象が網羅され、検証可能な具体的認定基準を明示化しているなどの特徴があることを見た。そしてこの通現象的一般化こそが理論と記述をつなぐ橋渡しになることを指摘した。
  • 横森大輔, 遠藤智子, 木本幸憲, 梶丸岳, 井出祥子
    社会言語科学 18(2) 88-93 2016年3月  査読有り
    本論文は、社会言語科学会第36回研究大会で行われた同名のワークショップを総括すると共に、Enfieldの記号論的観点が、社会的相互行為の研究(横森・遠藤)・文法的機能を担う形態素の研究(木本)・掛け合い歌に関する文化人類学的研究(梶丸)を統合的に扱え、最後に鳥瞰図的な記号論的観点を取り入れる意義について論じた(井出)。木本の研究では、アルタ語の相互行為における不協和とhugという接語の関係について記号論的観点から整理した。
  • 木本幸憲
    梶茂樹教授退官記念集 56-59 2016年3月  筆頭著者
    本論文では、筆者が研究しているアルタ語において、英語や日本語など、我々に身近な言語と比べて、どのような際立った文法的特徴が見られるのかを、ある文法カテゴリーの欠落、という点に絞って描き出した。アルタ語ではまず所有概念(have)が徹底して存在表現で表されること、前置詞がなく、ものごとの時空間的関係は動詞・名詞で表されること、さらに副詞に相当する意味は動詞、形容詞、接語などに分散して現れることを明らかにした。
  • Yukinori Kimoto
    KLS 34: Proceedings of the thirty-eighth annual meeting of the Kansai Linguistic Society 85-96 2014年6月  査読有り筆頭著者
    本論文では、フィリピン・ルソン島で話されているネグリト言語の一つであるアルタ語(オーストロネシア語族・マラヨ・ポリネシア語派)についての調査報告を行った。先行研究としてはReid氏による論文が一編存在するがそこではあまり述べられていない共時的な文法的事実について記述を行った。特に、名詞句レベルでは人称詞、名詞句標識のパラダイム、動詞のレベルではヴォイスシステムについて特に記述を行った。
  • 木本幸憲
    社会言語科学会第33回大会 発表論文集 198-201 2014年3月  筆頭著者
    本論文では、フィリピンで話されているアルタ語(オーストロネシア語族)の民族誌的記述と話者数・流暢性の度合いの調査をはじめとする社会言語学的、民族誌的記述を通じて、アルタ語がどのレベルの言語危機の状態にあるかを査定した。さらにその言語危機の要因として経済的、言語的、文化的側面が複合的に関与していることを明らかにした。
  • 木本幸憲
    言語の創発と身体性: 山梨正明教授退官記念論文集(児玉一宏・小山哲春 編) 401-414 2013年4月  筆頭著者
    本論文では、一見すると用法として似通った所有格代名詞と定冠詞の間接照応用法は、実際の使用では機能上の相補分布をなしていることを談話分析の手法から明らかにした。具体的には間接照応に所有格が用いられるときにはその先行詞はトピックであることが多く、一方で定冠詞を伴うときには、非トピックである場合が多いことを明らかにした。
  • 木本幸憲
    日本語と X 語の対照 2: 外国語の眼鏡をとおして見る日本語(笹原健・野瀬昌彦 編) 2012年8月  筆頭著者
    本論文では、英語(現代英語)、日本語(現代標準日本語、古代日本語)、アイヌ語(沙流方言)の属格形式を比較・対照し、それぞれが取る機能領域をCroftの構文文法の観点(特に概念空間・意味地図モデル)から分析した。その結果それぞれの言語がもつ所有形式は、その機能が含意的関係を有していることを示した。またその基盤には定形性・名詞のプロトタイプ性のパラメーターが関与していることを論じた。
  • 木本幸憲
    日本認知言語学会論文集 12 453-459 2012年5月  筆頭著者
    本論文では、英語のいわゆる集合名詞の一部が文法的には非可算名詞として取り扱われることに関して、意味論的考察を行った。Furniture, cutlery, equipmentなどは、他の集合名詞(committee, family)と異なり、その集合体を形成する要素間の相互関連性が相対的に弱いこと、そしてその集合としてのまとまりの弱さが、ユニットとして数えることを困難にしていることを論じた。
  • 木本幸憲
    JELS 29. English Linguistics Society of Japan 29 80-85 2012年2月  筆頭著者
    本論文では、英語の間接照応の分布について認知文法の観点から記述・説明を行った。ある先行詞を間接的に承ける場合、theや所有代名詞が選ばれるが、そのいずれが選択されるかどうかは当該名詞句の意味的な飽和性という西山によって提示された概念が密接に関わっている。名詞の意味的な飽和性を認知文法の観点から整理し、それを間接照応の分布の説明に応用できることを示した。
  • 木本幸憲
    言語科学論集 17 21-47 2011年12月  筆頭著者
    本論文では、言語に見られる所有形式(英語ではA's BやB of A)を類型論的な観点から整理し、その形式が多機能性(多義性)を持つ場合、ある種の普遍性が存在することを明らかにした。特に今回は所有形式が主語などの項を標示する場合に着目し、所有形式の多機能性に関する普遍的階層性を提示した。また認知言語学、談話・機能主義言語学の知見を取り込むことによって、その階層性を支える機能的・概念的動機付けが明らかになることを示した。
  • 木本幸憲
    KLS 31: Proceedings of the thirty-fifth annual meeting of the Kansai Linguistic Society 1-11 2011年6月  筆頭著者
    本論文では、英語の可算性の分析を認知文法の枠組みから行った。本論では認知文法で行われている「類」と「事例」の区別をこの分析に適用し,固有名詞を中心とした名詞が「単一の事例」しか有しないことが不可算化の大きな要因であることを種々のデータを通じて示し、またその観点から名詞の下位分類が可能になることを示した
  • 木本幸憲
    日本認知言語学会論文集 11 439-448 2011年5月  筆頭著者
    本論文では、認知言語学のパラダイムから可算性という言語現象を捉え直した時,一般的認知能力である計数化の能力から可算・非可算の区別が説明されうることを指摘した。計数化には、自然数と計数化の対象との間に一対一対応が成立している必要がある、カテゴリーの成員は複数存在する必要がある,という2つの制約が存在し、それぞれが「有界性」「事例の複数性」という可算性のパラメーターに対応していることを示した。

書籍等出版物

 2
  • 横森, 大輔, 梶丸, 岳, 木本, 幸憲, 遠藤, 智子, 井出, 祥子 (担当:共訳) (原著:Array)
    大修館書店 2015年12月 (ISBN: 9784469213539)
    本書は、学部・大学院生に向けて書かれたコミュニケーション研究の入門書である原著を、日本の読者向けに注釈を施した訳書である。順番交替、隣接対などの会話の構造を理解するのに必要不可欠な概念を解説しながら、それが言語構造、ジェスチャー、認知システム、物理的環境、そして当該文化とどのように関わるかを論じた本である。特に、哲学の発話行為論を会話分析・心理学などから捉え直した章は、学生にとって発話というものを複眼的に捉えられる極めて有益な解説が展開されている。
  • 木本幸憲
    Dallas: SIL International

講演・口頭発表等

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  • 木本幸憲
    日本英文学会九州支部第76回大会 2023年10月14日  招待有り
    所有概念を言語化する際、伝統的に英語は have 型の言語であり、日本語は be 型の言語であると述べ られてきた(池上 1981, 1982、Hinds 1986、上山 2009 ほか)。本発表では、言語類型論的観点から、 そのような日英比較による 2 項対立な観点を相対化し、また所有構文の多様性を存在・所有のイメージ の拡張の度合いの差によって整理する。世界の言語と比較した場合、日本語は、「私は赤い車を持ってい る」「彼女は細い腕をしている」など「持つ、する」という他動詞が存在する点など、日本語は純然たる be 言語とは言えない。これは、exist 動詞のみでしか所有を表せない北部フィリピンの言語などとは対照的である。また英語においても、have は存在表現までは十分に拡張しておらず、フランス語、ドイツ語スイス方言、中国語と比べると、have 型の傾向は低いと言える。このような構文の多様性は、言語が 話者に課す捉え方の違いであり、存在ないし所有のイメージがどの程度言語によって比喩的に拡張でき るかの違いである(Langacker 1976, 1990, 1999, 2009)。本発表では、存在・所有のイメージないし捉え方が拡張される意味領域の差によって、英語と日本語の所有構文が相対的に位置付けられることを述 べる。
  • 木本幸憲
    日本認知言語学会第24回大会 2023年9月2日
    英語の書き言葉では思考内容や発話内容、知識などを表現する際に、that 節などの補文節を用いるのが一 般的である。しかし言語類型論的に見渡した場合、それは普遍的な事象ではない (Dixon & Aikhenvald 2006) 。特に話し言葉においては、補文を使わずとも、多様な構文を用いてそのような意味内容を伝える ことができる。本研究では話し言葉のコーパス類型論の調査を踏まえて、並置構造や、副詞、助動詞など がその代替構文として頻繁に用いられていることを指摘する。また、それが心の理論の研究にどのよう なインパクトを与えるかについても議論する。
  • Kimoto, Yukinori
    Endangered Languages and Language Documentation (LING 703600) 2023年3月29日 Liao, Hsiu-chuan  招待有り
  • Kimoto, Yukinori, Shiohara, Asako
    14th Conference of the Association for Linguistic Typology 2022年12月16日
  • Yukinori Kimoto
    Webinar of Grammar of Philippine languages 2022年10月8日  招待有り

担当経験のある科目(授業)

 15

Works(作品等)

 1

共同研究・競争的資金等の研究課題

 9

社会貢献活動

 2