池谷 真梨子, 柳沢 幸江
日本家政学会誌 67(2) 55-65 2016年 査読有り
本研究は手づかみ食べに関連する料理特徴について検討した. 手づかみ食べが最も多くみられる1か月間を後期, その直前2か月間を前期とした. 前期と後期の3か月間を合わせて手づかみ食べ発達時期とし, 前期と後期の料理特徴の差異について分析した. 対象は手づかみ食べ発達時期の乳幼児10名とした. 保育所の昼食時に週2回ビデオ観察を行った. 手づかみ食べ発達時期の手づかみ食べ頻度を料理区分別にみた結果,主菜が53.7±42.2%, 副菜が51.6±45.2%であり, それぞれ主食・汁物より有意に高かった. 次に, 主菜・副菜について前期と後期で手づかみ食べをする料理特徴を分析した. 前期は長さのみ (p<0.05), 後期は主材料の肉類 (p<0.05) ・調味における酢の使用 (p<0.01) ・調理法の揚げる (p<0.05) ・長さ (p<0.05) ・摂取率 (p<0.05) で有意差が認められた. 前期より後期で手づかみ食べに関連する料理特徴が多く認められたことから, 前期は料理特徴にあまり関係なく手づかみ食べをする時期であるのに対し, 後期は料理特徴が関係しやすい時期だと考えられた. さらに, 後期の手づかみ食べに関連する料理要因について二項ロジスティック回帰分析を行った結果, 調味の酢のみp=0.05であり, 手づかみ食べに関連のある要因は料理の要因だけではないことが示唆された.