小池 朝子, 角田 智美, 相場 繁, 渡部 幸, 野口 訓彦, 大堀 昇
医学と生物学 162(3) 1-13 2022年9月
背景:看護系大学の急増により、教員の量的・質的充足が喫緊の課題となっている。教員の資質・能力の向上が求められるが、看護系大学に勤務する助手は様々な課題を抱えていると考えられる。目的:看護系大学の助手について言及した国内文献を検討し、助手の職務上の課題を明らかにする。方法:医学中央雑誌刊行会Webで検索し抽出された61文献から、看護系大学の助手に言及している16文献を対象とした。本文中の助手の職務上の課題をコードとして抽出し、類似性を検討してサブカテゴリー、カテゴリーとした。結果:分析の結果、68件のコードと10件のサブカテゴリーが抽出され、【教育活動に関する課題】【キャリア発達に関する課題】【大学組織での役割遂行に関する課題】の3つのカテゴリーが抽出された。結論:【教育活動に関する課題】に対しては、助手の看護実践能力や教育学への知識、これまでの研究活動に合わせた業務配置や研修等の継続教育が必要である。【キャリア発達に関する課題】に対しては、助手個人では自己のキャリア、将来像を明確にすること、大学組織では、助手を含めた看護学教育の特徴を踏まえたファカルティ・ディベロップメントの企画・運営が必要である。【大学組織での役割遂行に関する課題】に対しては、助手個人では弱みを克服する努力と強みを自信に繋げること、大学組織では、助手が経験を振り返り、意味づけする場と時間の確保など環境の整備が必要である。(著者抄録)