研究者業績

宮村 浩徳

miyamura hironori

基本情報

所属
藤田医科大学 医学部 医学科 産婦人科学 講師
学位
博士(医学)(2013年3月)

J-GLOBAL ID
201501004478802341
researchmap会員ID
7000012956

日本産科婦人科学会・専門医・指導医

日本周産期新生児医学会・周産期(母体・胎児)専門医・指導医

日本人類遺伝学会・臨床遺伝専門医

日本生殖医学会・生殖医療専門医・指導医

日本がん治療認定医機構がん治療認定医

日本産科婦人科内視鏡学会・技術認定医

日本内視鏡外科学会・技術認定医

母体保護法指定医

日本医師会認定産業医


論文

 42

MISC

 26
  • 高田 恭平, 市川 亮子, 大脇 晶子, 宮崎 純, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 藤井 多久磨, 中川 満, 浦野 誠, 塚本 徹哉
    日本臨床細胞学会雑誌 58(Suppl.1) 255-255 2019年5月  
  • 高田 恭平, 宮村 浩徳, 高橋 龍之介, 宮崎 純, 大脇 晶子, 野田 佳照, 河合 智之, 西澤 春紀, 関谷 隆夫, 安江 朗, 鈴木 清明, 藤井 多久磨
    東海産科婦人科学会雑誌 55 135-144 2019年3月  
    先天性肺気道奇形(Congenital pulmonary airway malformations:CPAM)は、胎児期に気管支系や肺胞の発達異常によって生じる先天性肺腫瘤で、近年では胎児超音波スクリーニングが普及し、出生前に診断される症例が増加している。本症の予後は一般に良好であるが、腫瘤の増大に伴い胎児水腫をきたす場合があり、胎児治療の手段として嚢胞羊水腔シャントや経母体ステロイド投与の有効性が報告されている。今回、出生前にCPAMと診断し、胎児腹水と羊水過多を合併した症例に経母体ステロイド投与を行い、胎児腹水の消失と腫瘍の縮小を認めた症例を経験した。症例は37歳、2妊1産。前医で妊娠20週の胎児超音波検査で左胸腔内に類円形の高輝度腫瘤を認め、本症を疑い経過観察が行われたが、妊娠23週より胎児腹水が出現し、妊娠25週で当院へ紹介となった。初診時の超音波検査で、左胸腔内に類円形の高輝度腫瘤像を認め、心臓が右側に偏位し、さらに胎児腹水と羊水過多(Amniotic fluid index:AFI 25.3cm)を認めた。また、腫瘤内への大血管からの血流はなく、実質性腫瘤像を呈することからCPAMのmicrocystic typeと診断した。胎児水腫の基準は満たさないが、腫瘤の増大に伴う圧迫による影響を考慮して、ステロイド治療の適応と判断した。インフォームド・コンセントを行った上で、妊娠26週0日に母体にbetamethazone 12mgを24時間おきに2回投与した。その後、3D超音波検査によるフォローアップで腫瘤は徐々に縮小し、妊娠32週には検出不能となり、胎児腹水は消失し羊水過多は改善し、妊娠39週1日に自然経腟分娩となった。児は3345gでApgar Score 9/9で出生し、出生時の胸部CTで左肺の過膨張と10mm大の嚢胞像を認めたが、呼吸障害を認めなかった為、待機的管理とした。その後、2歳時に肺炎を繰り返した為、胸腔鏡下左肺上葉切除術が施行されたが、術後経過は良好である。本症例のようなCPAMに対する3D超音波検査による診断は腫瘤の正確な評価を可能とし、経母体的ステロイド療法は、胎児予後の改善に寄与する可能性がある。(著者抄録)
  • 市川 亮子, 吉澤 ひかり, 宮崎 純, 大脇 晶子, 坂部 慶子, 伊藤 真友子, 大谷 清香, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 西尾 永司, 西澤 春紀, 関谷 隆夫, 藤井 多久磨
    東海産科婦人科学会雑誌 55 169-173 2019年3月  
    遺伝性乳癌卵巣癌症候群(以下HBOC:hereditary breast and ovarian cancer syndrome)はBRCA遺伝子の変異があり、乳癌や卵巣癌などに罹患するリスクが高い遺伝性腫瘍症候群の一つである。当施設では、HBOC関連癌のうち卵巣癌、卵管癌および腹膜癌の診療にあたり、卵巣癌未発症のBRCA変異保持者に対してサーベイランスおよびリスク低減卵管卵巣摘出術(以下RRSO:risk-reducing salpingo-oophorectomy)を提供している。今回は、HBOCに対してRRSOを施行した一例について考察を加えて報告する。【症例】47歳。2妊2産。子宮筋腫の既往あり。乳癌に罹患した姉にBRCA2遺伝子に変異を認めたことから、BRCA遺伝学的検査目的にカウンセリング室を来談し、検査の結果HBOCと診断され、RRSO施行の是非について相談のため産婦人科に紹介受診となった。患者はRRSO施行推奨年齢に達していたため、RRSOのメリットとデメリットを説明し、RRSOを行う方針となった。手術は腹腔鏡下で両側付属器切除を行い、切除検体については詳細な病理学的検討を行って、STIC(Serous tubal intraepithelial carcinoma)や浸潤癌がないことを確認した。術後は腹膜癌発症の有無を経過観察中である。HBOCは通常の産婦人科患者のうち一定の割合を占める比較的頻度の高い遺伝性腫瘍である。産婦人科医師はBRCA1/2変異保持者に対しては卵巣癌サーベイランスの限界、リスク低減手術の予想される効果と副作用を説明できる知識をもち、RRSOを行うにあたっては、卵巣癌の易罹患者であることを念頭においた手術操作、術後管理が必要である。(著者抄録)
  • 市川 亮子, 大脇 晶子, 坂部 慶子, 河合 智之, 伊藤 真友子, 大谷 清香, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 藤井 多久磨
    日本癌治療学会学術集会抄録集 56回 P30-2 2018年10月  
  • 大脇 晶子, 伊藤 真友子, 西澤 春紀, 尾崎 清香, 宮村 浩徳, 西尾 永司, 藤井 多久磨, 廣田 穰
    東海産婦人科内視鏡手術研究会雑誌 6 99-105 2018年10月  
    子宮筋腫、子宮腺筋症の術後早期に発症し、種々のホルモン治療に抵抗性を示し、かつ閉経後もなお増悪した深部子宮内膜症の1例を経験したので報告する。症例は46歳、G4P3、月経困難症のため当院を受診、子宮筋腫および子宮腺筋症の診断のもとに腹腔鏡下子宮亜全摘術、左付属器切除術を行った。術中所見では子宮後面に左側付属器が強固に癒着していたが、ダグラス窩には癒着を認めなかった(ASRM:8)。術後4ヵ月頃から背部痛、左足のしびれが出現し、尿管狭窄にともなう左水腎症を認めた。腟円蓋部5時方向に母子頭大の暗赤色の腫瘤発現を認め、直腸診では同腫瘤より左骨盤壁にかけて圧痛を伴う硬結を認めた。腟円蓋部腫瘤の生検にて子宮内膜症の所見を得た。そこで尿管ステントの留置の上GnRHアゴニスト製剤の投与を開始した。しかし、尿管狭窄に対する薬物治療の効果が不十分のため尿管新吻合術による尿路変更を行った。年齢が47歳であったため追い込み療法としてGnRHアゴニストに加え、ジエノゲスト、ダナゾール投与を繰り返したが左骨盤側壁の病変は薬物抵抗性を示し、また治療経過中に閉経となったが深部子宮内膜症の病勢は衰えなかった。以上の経過より薬物療法無効および癌化の可能性を考慮し、54歳時に根治を目的に腹腔鏡下深部子宮内膜症病巣切除術ならびに残存子宮頸部切除術、右付属器切除術を行い、その後の経過は良好であった。(著者抄録)
  • 吉澤 ひかり, 市川 亮子, 高橋 龍之介, 塚本 和加, 水野 雄介, 尾崎 清香, 坂部 慶子, 大谷 清香, 伊藤 真友子, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 西澤 春紀, 藤井 多久磨
    愛知産科婦人科学会学術講演会プログラム 107回 8-8 2018年6月  
  • 塚本 和加, 市川 亮子, 高須 清香, 高田 恭平, 吉澤 ひかり, 坂部 慶子, 大谷 清香, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 関谷 隆夫, 廣田 穰, 藤井 多久磨
    東海産科婦人科学会雑誌 54 317-317 2018年3月  
  • 寺澤 すみれ, 鳥居 裕, 宮崎 純, 大脇 晶子, 小川 千紗, 坂部 慶子, 野田 佳照, 大谷 清香, 伊藤 真友子, 市川 亮子, 宮村 浩徳, 西澤 春紀, 西尾 永司, 藤井 多久磨
    東海産科婦人科学会雑誌 53 293-297 2017年3月  
    子宮頸部円錐切除術は比較的低侵襲の手術であり、短期入院で行うことが可能であるが、時に術後の強出血が問題となる。そこで今回我々は、子宮頸部円錐切除術術後に出血をきたし止血処置を必要とした症例に関して後方視的に検討を行った。2009年4月から2016年3月までの7年間に、当科で子宮頸部円錐切除術を施行した367例を対象とし、止血処置を必要とした症例(止血群)と必要でなかった症例(非止血群)について、患者背景(年齢、妊娠分娩歴)および術中所見(手術時間、切除断端長)の比較検討を行った。また止血群症例を、縫合処置を要した症例(縫合群)と、止血剤散布と圧迫により止血が可能であった症例(非縫合群)に分類し、それぞれの臨床的特徴について後方視的に検討した。さらに当院では、2013年3月以前は両側子宮動脈下行枝の結紮を行っておらず、以後は行っており、これらを2群に分類し、子宮動脈下行枝結紮の有無で止血群および縫合群の頻度に差があるかについても検討した。全367症例の年齢、手術時間、切除断端長の中央値はそれぞれ、38歳(22-73歳)、26分(9-79分)、15mm(8-25mm)であった。止血群は50例(全症手症例の13.6%)であり、止血処置を行った術後日数の中央値は10.5日(1-45日)であった。このうち、縫合群は18例(全手術症例の4.9%)であった。非止血群と止血群および非止血群と縫合群で年齢、手術時間、切除断端長、妊娠分娩歴に有意差を認めなかった。子宮頸部円錐切除術術後出血をきたしやすい症例を予測することは困難であり、約10%の頻度で術後10日目前後に強出血をきたす可能性について、全ての患者に情報提供を行うことが肝要である。(著者抄録)
  • 渡辺 真一, 松永 利恵, 見田 渉, 三浦 恵, 小林 勇毅, 山中 菜保子, 上畑 みな子, 牧野 弘, 宮村 浩徳, 桑波田 暁子, 越知 正憲, 堀内 俊孝
    日本受精着床学会雑誌 34(1) 24-27 2017年3月  
    ピエゾICSIにおいて卵細胞膜が早期に破膜したため再穿刺を行った場合の卵子生存率、胚発生、移植を行った場合の妊娠率について検討した。その結果、穿刺1回のみで正常破膜が得られた群、穿刺1回目に異常破膜を生じ再穿刺で正常破膜が得られた群、2回以上穿刺を行っても異常破膜しか得られなかった群とした場合の卵子変性率は、それぞれ1.8%、11.6%、29.2%で、各群間に有意差を認めた。穿刺1回群と2回以上の穿刺を行った群の良好胚盤胞発生率はそれぞれ33.6%、36.8%、胚盤胞移植妊娠率は46.7%、58.8%で、いずれも両群間で有意差を認めなかった。複数回穿刺は胚発生能および妊孕能に影響しないことから、異常破膜がみられた場合は卵子の別の部位から再穿刺を行うことが望ましいと考えられた。
  • 松永 利恵, 渡辺 真一, 見田 渉, 三浦 恵, 小林 勇毅, 山中 菜保子, 上畑 みな子, 牧野 弘, 宮村 浩徳, 桑波田 暁子, 越知 正憲, 堀内 俊孝
    日本受精着床学会雑誌 34(1) 44-47 2017年3月  
    Single Step Mediumの有用性について検討するため、正常受精胚が8個以上得られた37症例(平均36.5歳)314個の胚を、SAGEのSequential Medium(Quinn)、Irvine ScientificのSingle Step Medium(CSC)を用いてSplit培養し、培養成績、移植成績を検討した。胚盤胞発生率、Day5の胚盤胞形成率、良好胚盤胞発生率、良好胚盤胞のTE数、胚盤胞移植における患者平均年齢、妊娠率、流産率のいずれの項目でもQuinnとCSCの間に有意差は認められなった。次に、QuinnあるいはCOOKのSequential Medium(以下COOK)で良好胚盤胞を獲得できたことがある患者を対象に、CSCでの培養成績を検討した。CSCで良好胚盤胞が得られた患者の割合は、Quinnで87.5%であったのに対し、COOKでは30.0%と低くなった。Single Step Mediumにより培養液選択の幅は広がったが、患者にとって最適な培養液を検討する必要があると考えられた。
  • 廣田 穰, 大脇 晶子, 秋田 絵理, 河合 智之, 野田 佳照, 伊藤 真友子, 宮村 浩徳, 藤井 多久磨, 酒向 隆博, 塚田 和彦, 寺澤 すみれ, 加藤 智子
    東海産婦人科内視鏡手術研究会雑誌 4 63-70 2016年10月  
  • 廣田 穰, 河合 智之, 野田 佳照, 伊藤 真友子, 宮村 浩徳, 西尾 永司, 西澤 春紀, 藤井 多久磨, 加藤 智子, 小田川 寛子, 廣中 昌恵, 神谷 典男
    東海産婦人科内視鏡手術研究会雑誌 4 51-56 2016年10月  
    子宮筋腫および子宮腺筋症を適応として2ステップ全腹腔鏡下子宮全摘術(Two-step TLH)を行った243例を対象とした。手術術式は、標準術式であるTwo-step TLH、大きなサイズの症例には筋腫核出を先行するTwo-step TLH combined with myomectomy(Two-step TLHcM)、筋腫発育方向により通常のTwo-step TLHができない症例には子宮分割を行いながら手術を進めるTwo-step TLH by 3 divided technique(3DT)、通常の手技では癒着剥離が困難な高度ダグラス窩癒着例にはThree-step TLHを適応した。Two-step TLHcMは標準的なTwo-step TLH症例の約2倍サイズの大きな症例を対象とするため手術時間の延長と出血量の増加を認めた。また癒着症例を19/23例(82.6%)に認めた。3DTは標準的なTwo-step TLHと比較して手術時間の延長や出血量の増加は認めなかった。Three-step TLHは手術時間の延長と出血量の増加を認めた。開腹手術に移行したものはなく、同種血輸血を行ったものもなかった。
  • 宮村 浩徳, 廣田 穰, 秋田 絵理, 大脇 晶子, 会田 訓子, 野田 佳照, 河合 智之, 伊藤 真友子, 西尾 永司, 西澤 春紀, 藤井 多久磨
    東海産婦人科内視鏡手術研究会雑誌 4 117-122 2016年10月  
    症例は45歳女性で、36歳時に腹腔鏡下右卵巣チョコレート嚢胞摘出術を施行した。術後1年で月経不順から、その後に無月経になり血中FSH値が45IU/mlであることから39歳時に早発卵巣不全(POI)と診断した。卵巣チョコレート嚢胞の再発がないことを確認し、自然排卵周期の回復を目的にEPCT(Estrogen progesterone cyclic therapy)を開始した。月経機能が回復しないため、42歳時にホルモン補充療法(HRT)に移行した。1年4ヵ月後、一般健診で便鮮血を指摘された。左付属器は超鷲卵大に腫大し、可動性は不良、ダグラス窩に硬結を認めた。経腟超音波検査で左卵巣チョコレート嚢胞の所見を認めた。注腸造影検査ではRS領域に全周性の狭窄の所見があり、大腸内視鏡検査で肛門側から16cmの部位に腫瘤を認め、生検から子宮内膜症を同定した。左卵巣チョコレート嚢胞と深部骨盤子宮内膜症、腸管子宮内膜症の診断で腹腔鏡手術を施行した。病理検査で、多臓器稀少部位子宮内膜症と診断した。術後16日目に退院した。現在、追加治療はなく、再発所見は認めていない。
  • 佐々木 ひと美, 河合 昭浩, 伊藤 正浩, 彦坂 和信, 竹中 政史, 引地 克, 深谷 孝介, 飴本 剛之介, 深見 直彦, 日下 守, 石川 清仁, 星長 清隆, 白木 良一, 宮村 浩徳, 西澤 春紀, 藤井 多久磨
    日本女性骨盤底医学会誌 12(1) 75-78 2015年12月  
    仙骨腟断端固定術は経腟的骨盤底形成術と比較してメッシュによる合併症が少なく本邦でも2014年から腹腔鏡下手術が保険適応となったことから各施設における手術件数が増加している。当院では2013年からロボット支援下での仙骨腟断端固定術を開始した。術後1年以上を経過したロボット支援仙骨腟断端固定術4例を報告する。症例:4症例の年齢は59歳から70歳(平均年齢:64.5歳)、既往歴として2例で子宮摘出術を施行されていた。いずれもPOPIIIの骨盤臓器脱を認めた。子宮摘出後の2例では腟断端仙骨固定術のみを行い、1例は腟上部切断にて子宮を摘出、他1例は腟上部切除および両側付属器切除を施行、その後腟断端仙骨固定術を施行した。結果:コンソール時間はそれぞれ180分、162分、200分、240分で出血量は平均28mlであった。4例とも術後経過は良好であり5PODに膀胱造影を施行、平均在院期間は術後8日間であった。術前後に施行したQOL調査では5点から1点に改善、尿失禁を認めた1例は術後1年目にTVTを施行した。結語:daVinci Siサージカルシステムを用いた腹腔鏡下腟断端仙骨固定術は良性疾患に対するロボット手術適応拡大が期待できる術式と思われる。(著者抄録)
  • 大脇 晶子, 関谷 隆夫, 野田 佳照, 宮崎 純, 石井 梨沙, 岡本 治美, 宮村 浩徳, 南 元人, 西尾 永司, 西澤 春紀, 藤井 多久磨
    東海産科婦人科学会雑誌 51 105-113 2015年2月  
    本邦の周産期死亡率は4.1と世界で最も低いが、さらに周産期予後を向上させる為には、早産に対する慎重な対応が必要である。そこで、当施設の現状を検証し、超早産児の周産期予後向上を目的として、妊娠28週未満の早産例の臨床所見について検討した。方法は、2007年4月から2013年3月までの6年間に分娩管理を行った2997例のうち、妊娠28週0日未満で分娩に至った双胎妊娠を含む母体42例と新生児46例を対象として、妊娠分娩記録と母児の診療録をもとに周産期予後を検討した。なお、染色体異常、胎児奇形は対象から除外した。成績は、全46症例のうち36症例が生存例、10例が死亡例であった。死亡退院となった10例は、全て妊娠25週未満、出生体重700g未満であった。死亡例の早産の原因は、4例が前期破水、3例が切迫流産のコントロール不良、双胎間輸血症候群(TTTS;Twin to twin transfusion syndrome)による双胎一児死亡、二絨毛膜性双胎(DDtwin;Dichorionic diamniotic twins)の一児前期破水から生じた臍帯脱出、双胎妊娠による妊娠高血圧症候群に続発する常位胎盤早期剥離が各1例であった。双胎妊娠8例のうち死亡例は4例で、全例が妊娠25週未満であった。生存症例36例のうち33例は外来経過観察中で、3例は転院となった。生存例のうち現在も障害を有する例は33例で、重複も含めて18例が慢性肺障害、5例が言語、運動障害等の発達障害、4例が動脈管開存、4例が水頭症や脳室拡大などの頭蓋内疾患、2例が眼障害、脳性麻痺、無呼吸発作が各1例であった。今回の検討結果から、死亡退院をエンドポイントとした場合、妊娠25週0日以降、体重700g以上の妊娠継続が必要で、その対策として破水・絨毛膜羊膜炎・羊水過少例への適切な対応と、妊娠10週台からの絨毛膜羊膜炎と早期頸管熟化の予防が課題である。また、生存児でも発達障害や神経学的後遺症の発生を念頭においた管理が必要である。(著者抄録)
  • 河合 智之, 南 元人, 伊藤 真友子, 宮村 浩徳, 安江 朗, 西尾 永司, 西澤 春紀, 塚田 和彦, 関谷 隆夫, 廣田 穰, 藤井 多久磨, 桐山 諭和, 黒田 誠
    日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 29(1) 189-194 2013年11月  
    著者らは子宮内膜症性病変を認めない子宮筋腫症例に腹腔鏡下子宮亜全摘術(LSH)の施行後、臍部子宮内膜症を発症した3症例(症例1:36歳、症例2:44歳、症例3:45歳)を経験したので報告した。その結果、症例1は創整容性を優先したため初回腫瘤摘出時の切除範囲が不十分で再発を来した。そこで、2回目の腫瘤摘出術では根治性を優先して側臍靱帯まで含めた周囲組織の広範な切除が行われた。その結果、術後5ヵ月経過現在、再発は認められていない。症例2は症例1の経験から根治性を優先した手術を行い、術後1年6ヵ月経過現在、再発は認められていない。一方、症例3は手術療法と薬物療法を提示し、後者を希望したためジェノゲスト投与継続中の症例であった。だが、症例1のように薬剤中止後に再燃する可能性は否定できず、目下は手術療法も視野に入れた経過観察を行っている。
  • 可兒 知加子, 渡辺 真一, 上畑 みな子, 森田 大, 石川 孝之, 伊東 雅子, 宮村 浩徳, 桑波田 暁子, 越知 正憲, 堀内 俊孝
    日本受精着床学会雑誌 30(1) 89-95 2013年3月  
    ピエゾ装置をバイオプシに応用し、内径の大きいバイオプシ・ピペットによるマウス8細胞期胚からの割球採取を行い、バイオプシ胚の体外培養におけるHB-EGF添加が胚盤胞発生率と胚盤胞の総細胞数に及ぼす影響、および初期胚の発生速度に及ぼす影響について検討した。結果、バイオプシ胚の48時間培養による胚盤胞率は対照群(無処理群)と有意差を認めなかったが、胚盤胞の総細胞数は対照群よりも有意に少なかった。胚盤胞の総細胞数を増加させるためHB-EGFを培養液に添加したところ、胚盤胞率に有意な変化はなかったが、総細胞数は有意に増加し、初期胚の発生速度は有意に早まった。
  • 宮村 浩徳, 南 元人, 伊東 雅子, 市川 亮子, 大江 収子, 河村 京子, 加藤 利奈, 長谷川 清志, 宇田川 康博
    東海産科婦人科学会雑誌 49 201-207 2013年2月  
    子宮内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma:ESS)は、WHO分類では低悪性度子宮内膜間質肉腫(low grade endometrial stromal sarcoma:LESS)と未分化子宮内膜間質肉腫(undifferentiated endometrial stromal sarcoma:UES)と2分類されているが、分類が困難な例も多く経験される。WHO分類以外にも、核異型や核形態を中心とした分類が提示されているが、コンセンサスが得られていない。今回、当科独自の分類としてLESSとUESの中間的な核異型を示すグループをintermediate grade ESS(IESS)とし、WHO分類やその他の分類との相同性を検討した。方法は子宮内膜間質肉腫6例を対象とした。正常の子宮内膜間質細胞との類似性、核異型、核分裂数(/10HPF)、浸潤形態および免疫染色所見(CD10、ER、PgR、MIB-1、p53)の比較検討を行った。さらに、Changの分類(ESS with grade 1 atypia、2 or 3 atypia、undifferentiated sarcoma)と九大分類(LESS、UES with nuclear uniformity(U)、UES with nuclear pleomorphism(P))との対比を試みた。その結果、6例のうちWHO分類ではLESS2例、UES4例とされたが、本検討ではLESSの1例、UESの3例はIESSに分類された。これら4例は、Changの分類ではESS with grade 2 atypiaに、九大分類ではUES-Uに相当した。一方、浸潤形態と当科の3分類には関連が認められず、核分裂数はLESSの1例は7/10HPFと少ないのに対し、IESS4例は17〜69(中央値:47)、UES1例は41と差を認めなかった。MIB-1 indexも同様の関係であった。6例中5例がCD10強陽性、5例中5例ER陰性で、LESS1例のみPgR陽性、IESS1例のみp53陽性であった。今回の検討においてUESを形態学的に細分類することは可能であり、分類に際しては浸潤形態や核分裂数を加味する必要性は少なく、核異型(核形態)に基づいて良いものと思われた。今後更なる症例の蓄積と評価によりクリアカットな細分類が作成されることに期待したい。(著者抄録)
  • 南 元人, 廣田 穰, 河合 智之, 伊藤 真友子, 鳥居 裕, 宮村 浩徳, 伊東 雅子, 安江 朗, 西尾 永司, 西澤 春紀, 塚田 和彦, 関谷 隆夫, 宇田川 康博, 桐山 諭和, 黒田 誠
    日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 28(1) 346-352 2012年8月  
    症例1(31歳、0経妊0経産婦)。症例2(35歳、1経妊1経産婦)。症例3(28歳、1経妊1経産婦)。3症例とも子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術目的に受診となった。いずれの症例も術前検査にて子宮は正常形態を保ち、漿膜下および筋層内に筋腫は認められなかった。だが、腫瘤は子宮に近接しており、周囲臓器と強固な癒着を形成していたため臓器圧迫症状があった。以後、腹腔鏡下手術を行なったところ、腫瘤の癒着剥離操作により腫瘤は速やかに虚血性変化を示した。尚、病理検査では中心性壊死が認められ、臨床経過と総合し、PM(骨盤内腫瘤)の自然発生が考えられた。
  • 岡本 治美, 西澤 春紀, 関谷 隆夫, 稲垣 文香, 江草 悠美, 南 元人, 宮村 浩徳, 多田 伸, 宇田川 康博
    東海産科婦人科学会雑誌 47 219-225 2011年3月  
    妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension;PIH)と子宮内胎児発育遅延(fetal growth restriction;FGR)の一病態として胎盤形成障害や機能不全が考えられ、こうした例では胎盤内血流が減少することが指摘されている。近年3D power Doppler法におけるvolume histogram機能の開発も相まって、胎盤内血流の分布ならびに強度の立体的評価が可能となった。今回我々は、PIHとFGRにおける病態解明に関する研究の一環として、妊娠29週〜40週のPIH14例、FGR15例および正常妊娠18例を対象に、vascularization-index(VI)、flow-index(FI)およびvascularization-flow-index(VFI)を用いた胎盤内血流の評価を行った。各項目に関して比較検討した結果、PIH群ではcontrol群と比べVI、FIおよびVFIがともに有意に低下し(P<0.001)、またFGR群に比しFIの有意に低下が認められた(P=0.03)。一方、FGR群ではcontrol群と比べVIおよびVFIはともに低下する傾向を認めたが(P=0.07、P=0.05)、FIは有意差を認めなかった(P=0.17)。以上の結果から、PIH群においてほぼすべての症例で胎盤血流が低下しているのに対し、FGR群では胎盤血流の低下を認めない症例も含まれており、胎盤の血管構築に起因しない病態の多様性が反映されたものと考えられた。しかしながら、超音波3D power Doppler法を用いた胎盤血流評価は、構築障害や血流異常に基づく胎盤機能不全と関連する疾患を評価する一助となる可能性が示唆され、胎児胎盤機能を推測する新たな検査法になり得る。(著者抄録)
  • 石井 梨沙, 加藤 利奈, 伊藤 真友子, 宮田 雅子, 宮村 浩徳, 大江 収子, 小宮山 慎一, 長谷川 清志, 宇田川 康博
    東海産科婦人科学会雑誌 46 149-155 2010年3月  
    子宮頸癌I、II期の術後補助療法に関する一般的な指針は、リンパ節転移を含むhigh risk groupには同時化学放射線療法(CCRT)が、intermediate risk groupには放射線療法(RT)が推奨されているが、推奨の基準は「子宮頸癌治療ガイドライン」ではいずれもグレードCであり、特に、CCRTに関しては本邦女性に対する認容性について十分検証されていない。今回我々は、広汎子宮全摘術(RH)を施行した子宮頸癌I、II期症例の予後因子の解析を行い、中でもリンパ節転移陽性例の予後に関して検討した。まず1999〜2007年にRHを施行した108例(扁平上皮癌72例、腺癌36例)を対象に、組織型、pT分類、脈管侵襲、筋層浸潤、リンパ節転移に関して、単変量解析、多変量解析にて予後因子を抽出した。次にリンパ節転移陽性30例(全体の27.8%)に関して、転移個数別(1個vs2〜4個vs5個以上)、および術後補助療法別(CT vs CCRT)に予後の比較、さらに再発部位の比較を行った。予後不良因子は、筋層浸潤1/2以上、リンパ節転移陽性が独立した予後不良因子であった。リンパ節転移個数は2〜4個さらに5個以上で有意に予後不良であった。さらに、リンパ節転移陽性の術後補助療法におけるCT群(18例)vs CCRT群(10例)の比較では、CT群で有意に予後が良好であった。再発部位ではCT群とCCRT群では明らかな差を認めなかった。今回の検討からは、リンパ節転移陽性例に対してCCRT以上にCTで良好な成績が得られていたが、リンパ節転移2個以上、特に5個以上が予後不良であったことより、5個以上の転移に対しては新たな治療戦略(治療の個別化)が必要と思われる。(著者抄録)
  • 宮村 浩徳, 西澤 春紀, 稲垣 文香, 西山 幸江, 西尾 永司, 塚田 和彦, 関谷 隆夫, 多田 伸, 宇田川 康博
    日本産科婦人科學會雜誌 62(2) 583-583 2010年  
  • 西澤 春紀, 廣田 穰, 宮田 雅子, 宮村 浩徳, 安江 朗, 西尾 永司, 塚田 和彦, 宇田川 康博
    日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 25(1) 261-265 2009年9月  
    不妊または挙児希望のある子宮筋腫症例78例に対して腹腔鏡下子宮筋腫核出術を行い、、手術成績、術後の妊娠率および分娩予後について検討した。手術成績は筋腫摘出重量が平均111.3g、核出個数が2.7個、最大筋腫核径が5.4cm、術中出血量が103.2ml、手術時間が189.6分であった。術後合併症は2例(2.6%)に認め、退院延期となる高度貧血および創部感染が各1例であった。術後妊娠率は53.3%(42/78例)で、そのうち筋腫以外に不妊因子を認めなかった子宮筋腫単独例での妊娠率は73.3%と高率であった。妊娠成立例と不成立例の手術成績を比較したところ、筋腫の摘出重量、核出数などに有意差はなく、発生部位についても有意差はなかった。術後の分娩予後については、42例に対して44回の妊娠を確認し、そのうち79.5%(35/44例)が分娩に至り生児を得ることができた。重篤な新生児合併症は認めなかった。分娩時合併症としては、潜在性子宮破裂を1例に認めた。
  • 西尾 永司, 廣田 穰, 南 元人, 宮田 雅子, 山田 英登, 宮村 浩徳, 西山 幸江, 安江 朗, 塚田 和彦, 宇田川 康博
    日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 23(1) 273-277 2007年12月  
    独自の腹腔鏡下子宮亜全摘術を施行した子宮筋腫症例を提示し、手術手技を紹介した。本手技は子宮体部切除後に子宮頸部摘出を行う子宮全摘術の経験に基づいて考案したもので、適応は病理検査で子宮頸部・頸管・内膜に悪性所見がなく、画像検査で子宮頸部に異常を認めないものとした。まず子宮上部支持靱帯と卵管の処理、逆流血を防ぐための止血凝固を行った後、子宮体部を内子宮口周囲で水平に切断する。次に子宮頸管内膜を含んだ子宮頸部組織を超音波メスでV字型に縦切開・切除する。子宮操作器具で残存子宮頸部を頭側に強く挙上することで、子宮頸管内膜腺領域を含んだ頸部組織を十分切除することができる。切開縁は縫合結紮して断端形成し、腹膜で被覆する。本術式は術後性器出血が少なく、低侵襲手術の一つの選択肢になり得ると考えられた。
  • 安江 朗, 廣田 穰, 宮村 浩徳, 宮田 雅子, 山田 英登, 南 元人, 西山 幸江, 石川 くにみ, 西尾 永司, 西澤 春紀, 塚田 和彦, 宇田川 康博
    日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 23(1) 278-280 2007年12月  
    48歳女。不正性器出血、下腹部腫瘤感を自覚し、多発子宮筋腫の診断で腹腔鏡下摘出術を行った。手術時間は4時間50分、出血量146g、摘出子宮筋腫重量は600gで、術後経過順調であったが、術後3日目に左下腹部痛が出現した。同時に左トロカール穿刺部内側下方に弾性軟の腫瘤を触知し、経腹超音波断層法で腸管の皮下直下への陥入を認めた。徐々に症状が増悪したため、外科医の協力を得て緊急腹腔鏡手術を施行した。左下腹部のポート孔に小腸の一部が陥入しており、空腸約25cmが筋膜と皮下の間に迷入していた。大部分は用手的還納により整復されたが、一部整復困難で、腹腔鏡下の鉗子操作により整復を行った。この際に鉗子による腸管損傷を来たし、欠損部の縫合・閉鎖を行った。腹膜創部の長径は20mmで、その孔より筋膜の欠損と皮下トンネルの形成を認めた。術後経過は順調で、13日目に退院し、その後イレウス症状などは生じていない。
  • 小石プライヤ 奏子, 西澤 春紀, 加藤 武馬, 山田 英登, 宮田 雅子, 南 元人, 宮村 浩徳, 関谷 隆夫, 多田 伸, 倉橋 浩樹, 宇田川 康博
    東海産科婦人科学会雑誌 44 187-193 2007年12月  
    妊娠高血圧症候群の原因に関しては、多岐にわたる病因論が展開されているが、いまだ不明な点が多い。我々もこれまでに妊娠高血圧症候群の分類の中でも重症妊娠高血圧腎症胎盤を用いて網羅的な遺伝子発現解析を行い、発症機序に関する分子生物学的な研究を行ってきた。今回、重症妊娠高血圧腎症胎盤で発現の増加した遺伝子の一つであるfollistatin-related gene(FLRG)に着目し、その産物の母体血中レベルでの発現を比較し、また重症度の指標としての有用性に関して、臨床的パラメータとの相関を検討した。重症妊娠高血圧腎症妊婦と正常血圧妊婦を対象とし、血中FLRG蛋白濃度の測定や血圧、胎盤重量との相関、また血流速度波形を超音波パルスドプラー法で計測し、子宮動脈および臍帯動脈のPulsatility Index(PI)とResistant Index(RI)との相関を検討した。その結果、血中FLRG蛋白は重症妊娠高血圧腎症妊婦で正常血圧妊婦に比べ有意に高値を示し、また血圧や胎盤重量と有意な相関が認められた。血中FLRG蛋白と血流速度波形との相関は、子宮動脈のPIおよびRIとの間に有意な正の相関を認めたが、臍帯動脈のPIおよびRIとの間にはいずれも相関を認めなかった。以上の結果より、重症妊娠高血圧腎症では血中FLRG蛋白は正常血圧妊婦に比べ高値であることが判明し、その増加は母体血圧の上昇や子宮胎盤循環のパラメータである血流速度波形と関連することが確認された。今後、血中FLRG蛋白レベルを測定することが臨床的な病態の重症度や胎盤形成障害の指標となることが期待される。(著者抄録)

書籍等出版物

 4

講演・口頭発表等

 199