澤 俊二, 磯 博康, 山川 百合子, 松田 智之, 伊佐地 隆, 大仲 功一, 安岡 利一, 園田 茂, 鈴木 めぐみ, 山田 将之, 酒野 直樹, 鈴木 孝治, 壹岐 英正, 才藤 栄一, 金田 嘉清, 前島 伸一郎, 土屋 隆, 大田 仁史
金城大学紀要, (20) 77-92, Mar, 2020 Peer-reviewed
在宅慢性脳卒中者における心身機能維持・改善のためのリハビリテーション(リハ)練習について、その目的や練習結果等について発病から10年間にわたり在宅調査を行った。初発脳卒中で発病半年以内に入院しリハ医療を行った40歳以上の脳卒中者125名のうち、発病10年時に在宅調査が可能であった36名(男性27名、女性9名)を対象とした。本調査は前向きコホート研究であり、同一調査員が一貫して調査し、原則在宅訪問で行った。心身機能の10年間の推移を調べたところ、入院中にADL(FIM)は有意に改善し、退院後はほぼ維持されていた。IADL(FAI)の改善は乏しく、低値で推移した。リハ練習(自主トレーニングを含む)は、36人全員が「必要」としていたが、発病2年時から「必要なし」が2人から4人とでてきた。リハ練習意欲は「十分にある」が減り、「少しある」が増え、「全くない」が発病4年時から1人、2人と出てきたが、10年時では少数にとどまった。リハ練習は、1年時は全員が行っていたが、「十分に行っている」が年々減り続け、逆に「行っていない」が徐々に増えてきた。その理由は、「良くなったから」が増える反面、「諦めた」および「面倒くさい」が増え、「その他」として仕事をあげた人が多かった。自主リハ練習は、発病1年時で83%が行っていたが、発病10年時では75%に減少した。リハ練習の結果、主観的な改善度は、発病1年時では66%が改善、34%が不変と答えていたが、10年時には、改善が30%、不変が59%、悪化が11%と答えた。