岩田 裕子, 森 恵美, 坂上 明子, 前原 邦江, 森田 亜希子, 青木 恭子, 玉腰 浩司
母性衛生 58(4) 567-574 2018年1月
本研究は、褥婦が有する身体症状の産後6ヵ月間の推移を明らかにすることを目的とした。母子共に重篤な異常がない褥婦を対象に13施設で実施したコホート調査の一部である。産後入院中、1、2、4、6ヵ月時の5時点において、自由意志による質問紙調査に有効回答が得られた2,709名を分析対象とした。37種類の身体症状の有無を調べ、時間の推移による割合の変化の統計学的検定には、コクランのQ検定を用いた。対象者の年齢は平均33.0歳、初産婦1,464名(54.0%)、経産婦1,245名(46.0%)であった。産後6ヵ月間の身体症状の出現パターンは、以下の5通りであった。1)出産直後の有症率が最も高く、その後産後6ヵ月まで低下、2)出産後1ヵ月間の有症率が最も高いがその値は低く、産後6ヵ月まで緩やかに低下、3)出産直後から産後1ヵ月にかけて有症率が上昇し、その後徐々に低下するか変化なし、4)出産直後の有症率は低いが、産後4ヵ月までに急激に上昇、5)出産後6ヵ月間殆ど有症率の変化なし。産後6ヵ月間に褥婦が経験する身体症状は様々であり、身体症状の出現パターンを考慮したケアが必要になると考えられる。(著者抄録)