渡邉, 浩文
目白大学総合科学研究 = Mejiro journal of social and natural sciences (1) 99-111 2005年
type:P
type:生活科学
type:Living Science
介護支援専門員、要介護者本人、介護者等の家族の問で判断や意見が異なっている場合、そのすり合わせを行う必要があるが、この調整場面にいかに取り組むべきかついてはあまり議論されてこなかった。そこで、本研究では、実際に介護支援専門員が調整に取り組んだ事例を収集し、分析を行うことにより意見・判断が相違していく構造を探索し、またその解決を促す援助のあり方にはどういったことが考えられるのかについて検討した。事例は2介護支援センターから収集され、誰と誰の間で意見・判断が異なるかによって5つのカテゴリーに分類された。そして各カテゴリーから任意に抽出された事例をそれぞれ分析対象とした。ニーズを明確化し、具体的なケアプランの立案・実行に移る過程には、支援の必要性そのものに対する認識の一致と、それに続く方法・手段の段階での一致が必要であるが、各段階には認識の一致を阻害する様々な要因が関わってズレが生じていると考えられる。今回の事例分析の結果、やアンビバレントな感情、低い介護意欲といった阻害要因とともに、入院やサービス利用の体験が一致を促進させる要因となることも示唆された。そして、最終的な決定は、家族の中で意思決定者として役割を持つものの決定を経て行われる。したがって、その意思決定者との意見・判断のすり合わせが重要であることが示唆された。
identifier:14
identifier:KJ00004761450