矢澤美香子, 鈴木公啓, 生田目光, 山宮裕子, 吉澤裕世, 田村好史
日本健康心理学会第38回大会 2025年9月20日
本研究では,アジア圏4ヵ国 (日本,韓国,中国,シンガポール)とアメリカの若年女性を対象に,各国の身体満足度,痩身願望,ダイエット,そしてBMIについての比較を行い,これらの変数における日本,アジアの特徴について,基礎的現状を明らかにすることを目的とした。分析の結果,体型不満は日本が中国・シンガポール・アメリカよりも低値であり,痩身願望は韓国が他国よりも高値であった。ダイエットはアメリカが他国よりも高値であった。すべての国においてBMIの単純主効果は0.1%水準で有意であり,理想BMIがBMIよりも低値であった (p < .01)。各国のBMIと理想BMIについて比較した結果では,日本や韓国,シンガポールに比べ中国が高値であり,また中国よりもアメリカが高値であった。これまで日本人は体型不満が大きいといわれていたが,今回もその傾向が確認された。一方,痩身願望は韓国が顕著であり,理想の追求の動機が強いことが示唆された。ダイエットはアメリカが顕著であったが,これは,BMI自体が大きいことが関連していると考えられた。そして,全ての国において今よりも小さいBMIを理想としており,いずれの国においても実際と理想の差は同程度であった。集団としてBMIが大きくなくとも,その集団内の比較によって,体型不満を抱いたり,また,痩身願望を抱いたりしていることが示唆される。