石橋 直樹, 清木 康
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 102(209) 129-134 2002年7月12日
日々増加する高域ネットワーク上の音楽データを対象とした検索方式として,メロディを入力として用いた直接的な検索方式,また,曲名,作曲者名等といった楽曲情報を用いた検索方式などが提案されている.これらの方式は,それぞれ,既聴楽曲の検索,または,既知の楽曲情報を用いた検索を実現する方法論として有効だが,高域ネットワークにおいて急増する未知の楽曲を対象とした検索の実現は困難である.これら未知の楽曲を対象とした検索において,楽曲の与える印象に応じた検索等,楽曲と利用者の主観を結びつける検索方式の実現が望まれる.本論文では,高域ネットワークに散在する未知楽曲を対象とした検索を実現するために,楽曲の与える印象を表すメタデータの自動抽出方式を提案する.提案方式は,複数の楽器を用いた楽曲データから,楽器毎の印象を表す形容詞群,および,それらと楽曲の相関量を動的に抽出し,また,楽器毎の印象を合成することで,楽曲のメタデータとして動的に定義する.本論文では,提案方式,および,主旋律のみを用いた方法論を比較することで,提案方式の実現可能性を示す.