土屋 忍
國文學 第51巻(10号) 96-102 2006年9月
出版社からの依頼に応じて、「折口信夫―新しく見えてきた像」に寄稿。釋迢空の短歌には、琉球(沖縄)を詠んだもの、戦地としての東南アジアを詠んだもの、春洋を亡くした硫黄島を詠んだものなどがある。これらはすべて「南の洋(わだ)」を志向しているが、これまでは別々に論じられてきた。今回の私の試みは、これら南を志向する歌を「南洋詠」としてまとめて捉えてみようというものである。なおその先にあるのは、南洋表象史における釋迢空短歌の占める位置の把捉である。原稿用紙約23枚