人間関係学研究(大妻女子大学人間関係学部紀要) (10) 2009年3月
高齢化の進展に伴い,地域で生活する高齢者のニーズは多様化し,インフォーマルなサポートを提供する地域住民への期待が大きくなっている.この状況において,2005年の介護保険改正では地域包括支援センターが創設された.地域における高齢者問題に対して,介護保険サービス等とインフォーマルな活動を含む地域の資源とを統合した「地域包括ケアシステム」の構築を担う機関として期待されている.地域の問題解決に向け,地域住民の力を高めることや潜在化した地域住民の力を引き出していく「地域住民のエンパワメント」が期待されているといえよう.数多くの取り組みが行なわれているが,地域住民への働きかけによって地域住民の力が引き出されたのか,十分な評価が行なわれていない.本研究では,その効果測定に向けた評価指標の開発を目的として「地域住民の高齢者支援パワー尺度」を作成し,構成概念妥当性の検討を行なった.検証的因子分析の結果,「地域の福祉への影響力意識」