大久保 和正, Kazumasa OKUBO, 武蔵野大学
大学アドミニストレーション研究 3(3) 31-48-48 2013年3月 査読有り
日本における高等教育財政は、機関補助に偏っていること、国立大学に手厚いことなどが特徴である。しかし、こうした財政支援は、教育の「外部性」からも「逆進性」に対する配慮からも正当化されない。また、私立大学に対する助成の増大は、私学への公的支配をさらに強め、私学の企業家精神を奪うおそれがある。日本における国立私立の二重構造の下で、国立大学の法人化に対する評価や私学と行政との関係等を分析しながら、財政支援充実の方策を探った。その結果、現在十分に行われていない、教育の「逆進性」を緩和する政策が予算獲得上重要であるとの結論に至った。あわせて、国立大学に対する国の明確な目的設定と機関補助から個人補助への移行などが必要であるとの示唆も得た。